モイモイ!フィンランド紀行(八)

フィンランドは教育熱心な国である。OECDが実施する学習到達度調査(通称:PISA)でも、常に上位に入っています。僕の両親は教員ですし、僕自身も教育学部でしたので、フィンランドといえば何よりも教育です。北欧デザインもいいし、ムーミンもいいけど、フィンランドといえば教育。教育。教育。特徴はいくつかありますが、有名なのは、大学まで無償であるとか、就学前教育とか、修得主義とかでしょうか。フィンランドの教育は「脱落者」を出さない、なんていいますけど、実態は日本みたいな「みんな一斉に進級」ということがないだけですね。ある一定水準を満たさなければ留年は当たり前。修学度合いの公平性よりも、同調圧力のほうが勝ってしまう日本とは、対照的です。

寝台特急で、フィンランド第三の都市・タンペレに到着。寝台特急でのことは全く覚えていないというくらい爆睡。とにかく狭かったな。

タンペレ大聖堂を見ていたら、近くに学校を発見。クラシックな石造りの建物をリノベーションしたような学校で、おそらく小学校か中学校。玄関のロッカーがカラフルなのがかわいかった。北欧デザインがこういうところにもいきているんですね。授業をしているクラスを外から見ることもできたのですが、プロジェクターを2台使ってプレゼンみたいに授業をしている先生の姿が印象的でした。フィンランドの学校の年間授業日数は、PISAに参加しているOECD加盟国の中で最も少ない、という話があります。冬のこの大雪と、日照時間の短さを考えると、それも納得。逆にそこから生まれた想像力が、ムーミンやマリメッコ、イッタラやアラビアを生んだと思うとおもしろい。

写真はタンペレ郊外にある展望台1階のカフェより。ここのドーナツは美味しかったなぁ。

そこから一路イッタラのアウトレットを目指します。イッタラの歴史はとにかく複雑で、調べてみたら現在の株式のほとんどはハサミで有名なフィスカルス社が持っているんですね。食器やインテリアの巨大コングロマリットくらいにしか思っていなかったけど、やっぱフィンランドも大変なんだな。イッタラのおもしろいところは、すべて「イッタラ」ブランドを冠しているにも関わらず、その中のプロダクトラインにおいてはデザイナーひとり一人の名前がものすごくたっていること。アイノ・アアルト、カイ・フランク、アルフレッド・ハベリ、クラウス・ハーパニエミ、オイヴァ・トイッカ、…。フリーの方もいれば、イッタラ所属の方もいる(故人もいれば生きている人もいる)。何人もの天才的なプロダクトデザイナーが、このブランドをずーっと支えているんだなぁ。

イッタラアウトレットでは、一目惚れしたカイ・フランクのグラスとピッチャー、それからスプーンと、こっくりした白のプレートを買いました。大事に使います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?