『国産RPGクロニクル ゲームはどう物語を描いてきたのか?』:遊んだことのないドラクエ・FFを遊びたくなり、遊んだことのあるドラクエ・FFを遊びたくなるお勧めゲーム書籍!(ご恵贈いただきました)
2023年6月21日、イースト・プレス社より出版された「国産RPGクロニクル ゲームはどう物語を描いてきたのか?」をご恵贈いただきました。
著者は、ボードゲームメーカー「ドロッセルマイヤーズ」代表、渡辺範明さん。
私とは、TBSラジオ「アフター6ジャンクション」にて同日に出演した際からのご縁です。
渡辺さんは同番組で定期的に出演され、ボードゲームを中心にお話しされています。一方でもともとはスクウェア・エニックスに所属されていた経歴をお持ちです。
そして、そのような視点も含め、番組内で定期的に特集されているのが「国産RPGクロニクル」というコーナー。ドラクエ・FFを中心に、その歴史を紐解いていくと同時に、渡辺さんの「実際にスクエニに勤めていた経験」から解説される当時の実情は、渡辺さんのトークの上手さも相まって、非常に面白くRPGの歴史を学べる特集でした。
さて、そんな特集が書籍化されたのが今回ご恵贈いただいた「国産RPGクロニクル ゲームはどう物語を描いてきたのか?」です。
上記の特集をベースに、ラジオでのお話がそのまま文章化されたわけではなく、渡辺さんが改めて、一人で国産RPGクロニクルを語る形式にて書籍化。
今まで特集を聞いたことがなかった方はもちろん、既に聞いた方にもおすすめの書籍です。
何より、帯でRhymesterの宇多丸さんが書かれている通り、FFやドラクエをプレイしたことが無い人でもわかる内容。
各ゲームの特徴も記載されているので、日本を代表する2つのRPGがどのような変遷を経て今に至ったかが、すっと頭に入ります。
そして、スクウェアとエニックス、FFとドラクエがどのようなライバル関係であり、それぞれの会社がどのような思惑・スタンスで事業を展開していったのかが具体的に記されているので、RPG好きだった方は過去にプレイしたFFやドラクエを取り巻く環境を知ることができ、それらのゲームの印象がより肉付けされること間違いなしです。
もちろん、ゲームをまったく遊ばなくても、「ドラクエ」「FF」を聞いたことはあると思います。FF16発売直前の現在、コンビニにも大々的に広告が展開されているのを確認しました。
語られているゲームタイトルを遊んでいなくても、十分に面白い内容でした。それは、何か単一のゲームの魅力を語っているのではなく、ゲームをベースとした環境、そして時代の流れ、大きく言えばエンターテインメントの中のゲームというものについて、国産RPGという視点で書かれているからだと思います。
私は1987年の早生まれで、どちらかというとFF派。
世代としてはおおよそFF7~FF10くらいがストライクでした。小学校高学年くらいでFF7。FF10は確か高校1年生くらいだったと思います。
FF4からFF6はリアルタイムではないのですが、学生時代~社会人にかけてクリア。FF1~3は触れたり触れなかったり。触れたものもクリアまでは至っていないですね。
FF11はオンラインだったのでプレイせず。FF12、FF13、FF15はクリアしました。FF14も20時間くらいはプレイしたかなと思います。
一方、ドラクエは5から入りました。その後7をプレイ、後追いで4と6もプレイ。
8,9はちょっと覚えてないんですが多分プレイしていないような…。10はオンラインなのでプレイせず。久々に触れた11はクリアまで。面白かったですね…。
そんな感じで、大体ドラクエもFFも学生時代にプレイした作品の思い入れが強いですね。
2000年代でしょうか、ゲームハード間のファンの間での争いやドラクエFF間のファンの争いがネット上で行われ、やや辟易した記憶もあります。そこで少し離れたかもしれません。ちょうど大学に入学し、ゲームそのものから離れていたというのもあります。
ただ、やはり思い入れの強いFFやドラクエは忘れられないもので。
当時小学生ながら、ドラクエ5で大人になった主人公が子供の頃の自分に話しかけ、ゴールドオーブをこっそり交換するシーンは面白すぎて感動した記憶があります。あとは(有名なデマですが)裏ボスのエスタークを20ターン以内で倒すと仲間になるという噂が流れ、チャレンジした記憶も…。
FFなら、小学生当時はFF7のリユニオンという言葉の意味も分からなかったし、後半の話は難しく理解できなかった記憶があるものの、学校の紙粘土作品でダイヤウェポンを作ったりしていました。あの作品を提出したとき、先生が少し笑った記憶があるのですが、今思えば先生もFF7をプレイしていたような気がします。
また、FF8はゲームをプレイしていて初めて感動して泣いた作品でした。フェイ・ウォンの「Eyes On Me」が流れるシーンでの感動は今も忘れませんし、スコールの成長物語や伏線に唸りました。私のオールタイムベストゲームです。
結果、発売から20年以上経過して、FF8飲みなんかを開いて楽しんだり、新たに友人が出来たり。
RPGが、人生を間違いなく豊かにしてくれました。
この「国産RPGクロニクル ゲームはどう物語を描いてきたのか?」では、ゲームをプレイした人にはそのような「あの頃の懐かしさ」と同時に、大人になってからこそわかる「社会人の裏話的な事情」を理解することが出来ます。
FF7発売からもう25年が経過。当時10歳の子供でも、今は35歳。立派な大人です。社会に揉まれているからこそ、そして今はもうFF7を一からやり直す機会なんてほとんどないからこそ、あの当時の熱中や社会現象感を再び感じることができ、さらに別角度でゲームを理解できる。そんな魅力的な本でした。
FFとドラクエを全作プレイしている人はかなり少ないと思いますが、やったことのないゲームがあるからこそ感じられるのが「未プレイのドラクエ・FFをやってみたい」と思わせるところ。
私もプレイしていないFF・ドラクエを、それこそこの本を片手にプレイして、スクウェアとエニックス(またはスクエニ)がどのような意図をもってゲームを開発し、発売したのか、身をもって感じたくなりました。
さらに、そのような国産2大RPGが生まれる際のキーパーソンである「鳥嶋和彦さんへのロングインタビュー」、これは必読です。
ドラクエ、クロノトリガー、鳥山明、キャラクター論、そしてゲームを作る上で何が最も大切か。そこにはやはり、お金ではないものが存在すると感じましたし、何より説得力が凄い。まさに2大RPGの重要人物であったことがありありと理解できる内容、ここだけでも十分に値段分の価値があると思います。
ゲーマーにとっては間違いなく、FFやドラクエの魅力が倍増する本。そして、ゲーマーでなくても、有名RPGの裏にはどのような思惑があり、国産のRPGという文化が広まっていったかを感じられる本でした。
面白くて1日で一気に読んでしまいましたが、きっとこれからも(特に6月22日発売のFF16なんかをプレイながら)繰り返し読む本なんだろうなと思います。
興味ある方はぜひご購入ください!
渡辺さん、イースト・プレス社さま、ご恵贈ありがとうございました!
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