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【実況する美術鑑賞#42】黒田清輝「湖畔」【毎日60分で1記事】

名画を鑑賞して実況しながら、毎日1時間でnote1記事作っています。

<ルール4.0>
・なんとなく知っているけど、よく知らない作家作品を一つ選ぶ。
・作品を3分鑑賞しながら実況し、文字起こしする。
・15分を目安に作品について調べる。
・必要あれば再度作品をよく見る時間をとる。
・5分で調査の結果なども含めて再度鑑賞実況し、文字起こしする。
・30分を目標に文字起こし内容を編集する。
・上記の作業を1時間で完成させNOTEの記事にする。
・ほぼ毎日続ける。
・名称を【実況する美術鑑賞】作家名「作品名」【毎日60分で1記事】とする。
(2021.9.23改定)

では、まず作品を3分鑑賞して、発見したことを書き出します。
今回の作品はこちら

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・3分の鑑賞で気づいたこと

黒田清輝の「湖畔」という絵ですね。浴衣姿の女性が湖のほとりに座っているという様子でしょうか。手には団扇を持っていますね。浅葱色の浴衣の感じとかからは夏っぽいイメージがありますね。

後ろの風景から清々しい雰囲気にも見えるんですが、この女性の表情が多少険しい感じもあったりとかして、そんなリラックスしてる感じではない・・かといって凛としているとかっていうよりは、ネガティブな感情の印象かな。

そういう印象もあるので、この風景もそれに引っ張られて不穏に感じられなくもない・・ような気もします。

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多分油絵だと思うんですけど、すごく日本的なと言うか西洋のものとはちょっと違ったテイストがしますよね。水彩画みたいなすごい優しい塗り方で独特だなっていうのと、あと人体描くのすごく上手なんだなーっていう感じがします。頭のところとかすごい上手いですね。

近づいて女性の顔を見てみると、ネガティブっていうよりかは、非常に複雑な表情って言い方の方がしっくりくるのかなっていう感じがします。いろんな要素が顔の上に混ざっているような感じかな。ひとつの感情に絞れないような、そんな風にも思えますね。

自然の中にいるんですけど、手が暗いって言うか、顔とか胸のあたりに光が当たっている感じがするので、もしかしたら室内でモデルさんを置いて描いたものと合成して描いた絵なんじゃないかなっていうようにも見えてきました。

・作品・作家について
黒田清輝
「湖畔」1897年


参照

・さらに5分の鑑賞で考えたこと

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この絵は実の奥さんをモデルにした絵で、箱根の芦ノ湖で描かれた絵みたいです。その場で描いた絵ということですね。でも奥さんなので、もうちょっとリラックスした親しみのあるような、そういう表情でも良いのかなとも思うんですが、この何とも言えない表情ってのはどういうことだったんだろうかなーって・・

これを描いた時に、実際の現場に夫婦で旅行しに行って、一か月ぐらいかけて描いたらしいんですが、もしかしたら長い時間、何日も何日もスケッチされてた、そういう思いと言うか、気持ちが表情になっているのかもなって、エピソードを聞いて思いました。

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黒田さんは海外で洋画を学んで、最初の方は構想画って言われるような、絵の中の世界を構成してメッセージを伝えると言うか、多少不自然な、日常ではありえないようなそんな状況を絵の中の世界で作るみたいな、そういうことがやりたかったらしいんですが、自分の技量の限界なのか、あまり周りの理解を得られなかったのか、徐々に今回のこの絵のような日常的なスケッチとかスナップ的な作品に傾倒していくみたいなことが資料には書いてありました。

で、後に東京芸術大学の教授になって、前に見た萬鉄五郎さんとかが生徒にいるんですけれども、萬さんはこういう黒田さんのアカデミックな雰囲気を覆す形で、独特の絵を描いて卒業していったという・・そういう話がありましたが、そういう意味では今回の湖畔もアカデミックと言うかちゃんとした絵だなーっていう風に思います。

資料の中に、この絵自体の表現云々というよりも、この絵の黒田さんの画家人生の中でのポジション的な話が多かったので、この絵自体がどうこうっていうよりも、過渡期であったりとかのタイミングとして、この作品が取り上げられているのかなっていうのも感じたりしました。

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後世において、日本美術に与えた影響も大きかったし、あと二次使用的な、商品やCMなどへのイメージの流用もこの絵はたくさんあったらしくて、そこに・・何て言ったらいいんだろうな、後良くも悪くも「クセの無さ」みたいなものがあるのかなっていう感じもしました。使いやすいと言うか。

この絵自体の表現への個別の言及みたいなものがちょっと薄めな感じがして、この絵がしめるポジションであったりとか、クセのない使いやすさみたいなところで、知名度があるということなのかなあ・・どうなんだろうかなと、そこがちょっとモヤモヤとしました。

あなたにはどう見えましたか?
また次回!


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