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気ままな鑑賞エクササイズ#18 長谷川等伯「松林図屏風」

1時間でnoteを1記事作る、エクササイズのような鑑賞をやっていこうと思います。記事を読むだけでも、同じように時間を測って擬似体験してみても面白いかも。

<ルール2.0>
・以下の作品をまず3分鑑賞して、発見したことを書き出します。
・その後15〜20分、書籍やネットで作家・作品について調べます。
・さらに5分鑑賞をして、再発見したことを書き出します。
・25〜30分を目標に記事を編集します。
・気ままに不定期で続けます。(2021.8.31改定)

では、まず作品を3分鑑賞して、発見したことを書き出します。
今回の作品はこちら

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・3分の鑑賞で気づいたこと

また屏風絵ですね。屏風絵はやっぱり画面で鑑賞するのはちょっと厳しいところもあるんですが・・こうゆら〜とした空気の中にぼんやり松があるのかな・・結構でも、この一番手前の濃い松なんかは、凄い毛羽立ってますね。

何か遠くでと言うか、小さい画面だと割と静かな松の木に見えてたけど、この葉っぱの先とかこれ相当ラフなんですね・・

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いや・・いやいや、幹も根っこもこれ相当ラフだぞこれ・・こんなに激しい感じだと思わなかったですね。なんか霞の中に佇んでるような松の絵って今まで思ってたんですけど、これ近くで見るともうなんか台風の中みたいな・・なんかそんな感じですね。あんまり静かな感じじゃない・・

この和紙の繊維みたいなのが見えるんですけど、これも結構風に舞っている葉っぱみたいなのにも見えて・・ものすごい暴風の中で松があるような、そんな風にも見えますね。

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よく見るとこれは山の稜線みたいなのもちょっと描いてあるのか・・

でも引いてみると言うか、画面全体を見るとやっぱりちょっと霧の中とか、まあ言っても小雨の中っていう感じですけど・・これをねアップにすると・・すごいですね、なんて言うんですかね毛羽立ってるというか、猫の毛が逆立ってるみたいな・・なんかそんな松の葉って言うかね・・・

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なんかその漫画とかで、でかい音がした時にビリビリビリって体表が痺れてるような表現というか・・だからなんか雷が鳴ってるようにすら思えるような・・こんな激しい筆跡だとは今まで思わなかったですね。なんかもっとこう静かな絵だと思ってたけど・・・


・作品・作家について
長谷川等伯
松林図屏風 1593-95年

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・調べたこと

松林図屏風(しょうりんずびょうぶ[1])は、安土桃山時代の絵師・長谷川等伯の代表作。紙本墨画、六曲一双、各縦156.8cm横356.0 cm(本紙部分のみ)の屏風画である。「美術史上日本の水墨画を自立させた」と称される、近世日本水墨画の代表作の1つ。国宝。東京国立博物館蔵。

樹木の描き方には、等伯が私淑した牧谿の影響が見られるが、もはや模倣の域ではなく完全に自己の画風に取り込んでいる。粗放で力強い松を書くのに、等伯は藁筆や、使用しても洗わずに固くなった筆を用いたとも言われる。また、室町時代の大和絵でしばしば描かれた『浜松図』(東京国立博物館、他蔵)や伝能阿弥筆の『三保松原図』(頴川美術館蔵)の影響も指摘される。いずれにしても、大和絵の伝統のモチーフである松林のみを、中国から伝わった水墨画で描く点に、等伯の清新さが認められる。等伯の生まれ育った能登の海浜には、今もこの絵のような松林が広がっており、彼の脳裏に残った故郷の風景と牧谿らの技法や伝統とが結びついて、このような日本的な情感豊かな水墨画が誕生したとも想像されている。

『等伯画説』第70条に、堺の宗恵 が梁楷の柳の絵を見て呟いた「静かなる絵」という言葉に等伯は共感して、自分の理想の絵画を「静かなる絵」と考えた話を記す。等伯が考えた「静かなる絵」は、「瀟湘八景」中の「瀟湘夜雨」「煙寺晩鐘」のような、雪、夜、雨、月、煙 (霧)が描かれた物で、遠くの雪山をのぞみ朝霧の立ち込めた松林を描く「松林図」は、まさに等伯が求める絵の具現化と考えて良いだろう。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%BE%E6%9E%97%E5%9B%B3%E5%B1%8F%E9%A2%A8
山下:これは本物見ないと何もわからない絵ですね。東京国立博物館の展示室で恍惚とした経験がない、とこのイメージは共有できない。それと、等伯の生まれ故郷の能登の海辺に行くと、本当にこういう感じの松がある。だからこれは等伯の原風景でもあると思っているんです。

赤瀬川:なるほど。

山下:もともとは襖絵のための下絵として描かれたものだと思うんですよ。屏風のための絵じゃなくて。ここに等伯のハンコが押してあるんですけれど、おそらくこれ偽物なんですね。

赤瀬川:あ、そうなんですか。

山下:他の等伯の印と全然違う。おそらく仕立て直した人が後から押したハンコなんですね。とんでもなく趣味の良い奴がいて、たまたま残ってたこういう絵を屏風に仕立てた。

赤瀬川:へえ、いいセンスですね。

山下:とびきりツボにはまってるな、下絵だからなおさら。

赤瀬川:僕はこれ等伯が下書きの途中でやめたんだと思うなあ。もうこれ以上描いてもしょうがないって。だからかえってフレッシュと言うか。
「日本美術応援団」

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・さらに5分の鑑賞で考えたこと

資料を見ていると、「生々しい線」とか「生き物のような線」だって、そういう書き方をされてるのがあって・・でもなんか自分の見た感じだと・・ちょっとそういう言葉とはまた違って・・

なんだろう、松とかになる前の線と言うか・・なんかそういう感じ・・それが生々しいっていうことなんですかね・・ちょっとね生き物のようには見えないですね。それよりも、何て言ったらいいんだろう・・子供の描いた線と言うか・・といってもそんなに巧みな線じゃないんですよね、なんか感覚としては。

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下手な人がって言うか・・えーっと、あんまり絵を描くのとかに自信のない人が恐る恐る描きそうな線を、ものすごい勢いと言うか、迫力で描いてあると言うか・・なんかその矛盾した感じが・・ちょっと訳が分かんないなっていう感じがしますね。

下絵なんじゃないかとかっていう説もあるので・・これで完成なのかどうかっていうところもあるって言うのは思いますけど・・下絵って言うには、高級な炭が使ってあるから違うんじゃないかって説もあったりするって言ってましたけど・・

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なんかこの矛盾した感じって言うか、Wikipedia とかだと等伯自体は「静かなる絵」っていう、そういう言葉があったんですけど、全く静かじゃないっていう感じだとか、この松林図屏風っていうものが持っている雰囲気、霧の中をけむる感じと、寄って見た時のこのガサガサだったりとかここの・・なんだろうなあ、そのちょっと稚拙に見えるような筆さばきみたいなところの・・なんかこの矛盾した感じが・・

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この鑑賞エクササイズやってて、いろんなところで感覚と見た目が矛盾してるように思える絵っていうのはいくつか見てきたような気がしてるんですけど、その中でもトップのちぐはぐ感って言うか・・なんかどうやって何を描いてあるんだろうっていうのが一番よくわかんない絵のような気がしますね。

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あと資料に書いてありましたけど、「実物を見ない事には何とも・・」って言ってて、こういう画面越しの鑑賞なので、まあそれを言っちゃおしまいよっていう感じもするんですけれども、ちょっとこれは流石に本当によくわかんないなっていう感じが・・実際の見ると全然違うのか、もしくはやっぱり本物見てもこういう感覚を受けるのか・・

いやーこんなアップで見たことはなかったので、ちょっとこの筆の粗っぽさって言うか、ガサガサな感じっていうのはびっくりしたし、この枝振りのちょっとこの何て言うんだろうな、そんなに巧みには見えないような・・僕にとってですけど、この感じっていうのはちょっと驚きでした。

あなたにはどう見えましたか?
また次回!


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