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生きづらさ当事者研究所

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生きづらさの当事者/経験者が、その生きづらさを言語化して、研究する民間シンクタンクです。ひきこもりの「当事者研究」の記事を中心に発表しています。 事務局:YURUMI
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#不登校

結論ありきにならないことの大切さ|「訂正可能性の哲学」(東浩紀)

結論ありきにならないことの大切さ|「訂正可能性の哲学」(東浩紀)

哲学書なのに新書並みにさくさく読めてとても面白かったです。「結論ありき」にならないことの大切さを、ウィトゲンシュタインやルソーなどの過去の哲学者をわかりやすく紐解きながら語っていて、哲学者全部盛り感もあります。異分子があらわれたときに、「異常」なものを排除したり説教したりして、自分たちを「正しい」側に置き続けるのはラクなんですけど、袋小路なんですよね。また、不登校という異分子と出会ってしまった親御

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ひきこもりは実存的な問いなのか|「「ひきこもり」の30年を振り返る」(石川・林・斎藤)

ひきこもりは実存的な問いなのか|「「ひきこもり」の30年を振り返る」(石川・林・斎藤)

ひきこもり当事者(経験者)として気になったので読んでみました。研究者、当事者、精神科医がそれぞれの切り口で語っているのですが、その中で特に興味深かったのは、「ひきこもりは実存的な問いであり、生きることについての苦しさ」であるという当事者の主張です。

たしかに、「ひきこもり」は、生活困窮、発達障害、精神障害といった様々な困りごととセットで語られることが多いですが、そのようにクリアに定義できる問題は

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不登校19万人時代に、元不登校が思うこと② ─ 本当に困っていることは何か

不登校19万人時代に、元不登校が思うこと② ─ 本当に困っていることは何か

元不登校が、不登校自身が本当に困っていることをゼロベースで言語化してみると、どうなるのか? という記事を前回書きました。

不登校の困りごととして、よく言われるのは、①学校への不安、②働くことへの不安、③居場所への不安、です。でも、これらは表層的な心配で、実はその全てに通底している本当の困りごとがあります。

結論から言えば、不登校状態では、一人で生きていくことができないから困る、ということに尽き

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不登校19万人時代に、元不登校が思うこと

不登校19万人時代に、元不登校が思うこと

文科省の統計によると、2020年度に不登校だった小中学生は19万6127人でした。8年連続で増加し、過去最多となりました。少子化で子どもの数自体は減り続けているので、不登校の割合がどんどん増え続けていることになります。

コロナ禍による休校で、学校がもともとイヤだったけどなんとか惰性で行き続けてた人が、緊張の糸が切れてしまい、登校できなくなってしまうケースもよく聞きます。しかし、コロナ禍になる前か

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