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日本に火山が多いワケ 【災害から身を守る vol.2】 日本の”災害大国”の真実とは? part3

前回までは日本に地震が多い理由までお話ししました。
今回は「日本の”災害大国”の真実とは? part3」として日本に火山が多い理由についてお話します。

日本に火山が多いワケ

この世界地図を見てください。

世界の火山分布_日本図示

これは世界の火山の分布をしめしています。日本のだいたいの位置をピンクで囲ってます。何か気づきませんか?
そう、前回お見せした世界の地震の分布と似てると思いません?

世界の地震とプレート_地図のみ_日本

これは火山も地震と同様に、プレートの境界に多いという事を示しています。そしてやっぱり日本は真っ赤になっていて火山が多く、世界の7.1%になります。国土面積は世界の0.25%にも関わらず!です。

火山はなぜプレート境界に多いの?

一般的なイメージですと、火山の地下には当然マグマがある。そしてそのマグマは、地下深くの熱いところで溶けている。この様な感じですかね?
でもこれですと地球上の地下深いところには絶対にマグマがありそうですし、世界中どこでも火山はありそうです。
でも実際には限られた場所にしかない。

これはどういうことかと言いますと、身近な事例として「水」を考えてみましょう。水は固体の氷がとけて液体の水になり、沸騰すると気体の水蒸気になりますよね?
そしてここからがポイントですが、普通は100℃で沸騰するのが、高い山の上だと100℃より低い温度で沸騰してしまいます。そのためご飯を美味しく炊くのが難しいという話を聞いたことがあると思います。

そう、物質が固体ー液体ー気体と姿を変える条件は、温度だけではなく圧力も関係してくるのですよね。
つまり地下へ深くなればなるほど熱くはなりますが、岩石にかかる圧力も大きくなるので溶けるための温度が高くなってしまいます。
では地球の地下の温度と圧力の関係をグラフで見てみましょう。

部分溶融

出典:地震調査研究推進本部(文部科学省)

縦軸が温度横軸が圧力(深さ)です。
緑色の曲線が「地温の分布」です。これ、曲線ですよね。
実は深ければ深いほど温度が上がるわけではなく、地下50km以深あたりから温度の上昇が鈍くなっていきます。

そしてオレンジ色の線が岩石が溶ける時の温度と圧力の関係です。
あれ??「地温の分布」の曲線と全く重なりません!つまり溶けないってことです。
深さ50kmの地下の温度は800℃くらいですが、岩石が溶ける温度は1300℃くらい・・・。どういうこと???
当時、この事実を知った科学者たちは頭を抱えたそうです。

謎の正体は、こういうことです。

プレートの沈み込みと火山活動_地震調査研究推進本部

出典:地震調査研究推進本部(文部科学省)

これは海洋プレートが大陸プレートに沈み込んでいる様子を描いた図です。
実は岩石は、水が浸み込むと溶けやすくなるということが分かりました。
つまり海洋プレートの岩盤は海水がしみ込んだ状態で沈み込み、その水が大陸プレートの岩盤に浸み込み、マグマになるらしいのです。
その深さはだいたい100~200kmなのだそうです。
ですので、沈み込んでいる海溝から一定の距離にマグマができ、火山が噴火します。同じ海洋プレートであれば、だいたい同じ角度で沈み込んでいるので、火山もだいたい直線に並びます。
科学者たちは、これを火山フロントと呼んでいます。

ちなみに日本の火山はこんな感じに並んでいます。

火山分布

日本には複数の火山フロントがあります。
なにせ4枚のプレートがひしめいている場所ですからね。
北アメリカプレート太平洋プレートが沈み込んでできた火山フロント(北関東~東北~北海道~千島列島)
フィリピン海プレート太平洋プレートが沈み込んでできた火山フロント(伊豆小笠原諸島~富士山?)
ユーラシアプレートフィリピン海プレートが沈み込み、さらに太平洋プレートが沈み込んでできた火山フロント(?)(富士山?~中部地方の火山)※まだはっきり解明されてません。
ユーラシアプレートフィリピン海プレートが沈み込んでできた火山フロント(中国地方~九州~南西諸島の火山)

これだけあれば、そりゃ火山は多くなってしまいますよね。

いかがでしたか?日本に火山が多い理由、お分かりいただけたでしょうか?
ちなみに世界には火山フロント以外の火山タイプもありますので、それはまた別記事で紹介したいと思います。

今回はここまで。
でも日本が災害大国な理由は、まだまだ続きます!

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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