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ぐるぐる渦巻きは火山のシワザ?:北海道南西部山間地域⑭-②&③【都道府県シリーズvol.12:北海道part2】

北海道はかなり大きいので、これまで2段階で地形区分をしています。
まずは北海道(北方4島含む)全体が表示される縮尺で14の地域に区分しました(※私個人の見解です)(※下図参照)。

北海道全域_地形区分

スーパー地形(カシミール3D)より抜粋した画像をもとに筆者作成。
なおカシミール3Dは元データとして国土地理院の「電子国土」を使っているそうです(出典:国土地理院ウェブサイト
※トップ画像や以下の地形・地図画像すべて引用もとは同じです。

前回はこのうちの南西部山間地域⑭をさらに22の地域に区分しています。
今回はその北部山間地域⑭-②と③の地質についてお話しします。

南西部山間地域_地形区分


場所の確認

今回の対象地域は積丹半島(上図⑧の半島)の南西部の地域です。

位置図_市町村

余市町、仁木町の全域と小樽市、赤井川村の一部を含む地域です。


地形は?

さて行ってみましょう!

地形図のみ

この地域の特徴は何と言ってもこれ!
中心のやや西に渦巻き状の地形が目に付きますよね。
そしてこの「渦巻き」のところには平地が多いですが、全体的には山深い地域です。頂部が平坦な台地状の山々も見えますね。


地質を見てみる

このような地形がなぜ出来たか?地質図を見てみましょう。

地質図_岩内

20万分の1地質図幅「岩内」:地質調査所より

20万分の1地質図では東部が少しだけ範囲外になってしまいます。
この地質図は1991年発行とやや古めで、「渦巻き」の中心部付近に見える茶色い地質の時代が現在の見解とは違うようです。
現在は第四紀更新世のカラブリアン紀(約180万年~77.4万年前)とされていますが、この地質図では第三紀鮮新世(約530万年~258万年前)になっています。
また5万分の1地質図は昭和29~30年ともっと以前につくられているので、今回はシームレス地質図V2(最新)をメインにしてお話しします。

②③境界_地質図

コチラになります。
凡例を非表示に出来なかったり似たような色が多く見づらかったりしますがご容赦ください。

この地域の地質は、大部分が火山性の地質でした!
時代は第三紀中新世の中期から後期(約1500万年~530万年前)で、玄武岩、安山岩、流紋岩など様々な成分の火山性の地質です。
そしてこれらの大部分は海底火山だったようです。
その証拠の1つは、この地域のあちこちに見られる水色の地質で、これらは海でできた泥岩です。


渦巻きの中心はカルデラ

そして気になる渦巻き状地形の中心部付近の地質は新しめの地質で、第四紀更新世のカラブリアン紀(約180万年~77.4万年前)に噴火した安山岩・玄武岩の溶岩類です。
そしてその内部には火山灰層(ピンク色)など未固結の新しい地質が分布しており、この一帯は「赤井川カルデラ」と呼ばれています。

つまり火山がドカーンと大噴火して、地下のマグマがなくなって空洞ができたため、陥没して円形の凹地形ができたんですね。

画像7

これです!
地形図中央部に円形の凹地がありますね。見事なカルデラ地形です。
そしてこの周囲をグルッと川が囲み、渦巻きをつくっています。
この川(余市川)がグルッとなっている地形、実はこれもカルデラだと言われています!!
余市カルデラと呼ばれ、赤井川カルデラを囲むようにできているため、二重カルデラと言われています。


いかがでしたか?北海道南西部山間地域⑭-②&③は約1000万年前の海底火山の地質の上に約100万年前に火山が噴火した、火山だらけの地域でした。
そして特徴的な「渦巻き地形」は二重カルデラが原因でできたようです。

お読みいただき、ありがとうございました。


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参考文献

石田正夫・三村弘二・広島俊男(1991)20万分の1地質図幅「岩内」、地質調査所.

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