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ず~~~~~っと火山三昧!!:北東部山間地域【都道府県シリーズvol.25島根県part1】

島根県は日本海に面した東西に細長い県で、弓のように張り出した島根半島が特徴的ですよね。また離島の隠岐の島も有名です。
今回は北東部山間地域の地形と地質についてのお話です。

場所は?

まず場所の確認をしましょう。

地形区分_番号

スーパー地形(カシミール3D)より抜粋した画像をもとに筆者作成。
なおカシミール3Dは元データとして国土地理院の「電子国土」を使っているそうです(出典:国土地理院ウェブサイト
※トップ画像や以下の地形・地図画像すべて引用もとは同じです。

北東部山間地域は上図の地域です。

中西部山間地域_市町村

③地域は上図の8市町の一部地域です。


地形を見る

地形図を見てみましょう。

③地域地形_00
画像4

上が③地域の境界(青線)を入れたものです。
下図は地域全体が見える限界ギリギリまで拡大してみました。

目立って高い山がある訳ではなく、まとまった山地も見当たりませんが全体的に山がちな地形といった印象でしょうか。


地質図で生い立ちを探る

この地域がどのようにして現在に至るか?地質図を見てみましょう。

③地域地質_00

おや??
結構、ピンク色がメインですね。ほぼ花崗岩類ってことでしょうか?
でも詳しく見ていくと、色々とイベントはあったようで、歴史は大きく4つのステージに分けられます。


〇ステージ1:中生代白亜紀後期
恐竜が生きていた最後の時代。この時、日本はまだ大陸の一部です。
大きな火山活動が起こり、流紋岩質の大規模火砕流が大地を焼き尽くします。
約1億年~8400万年前約8400万年~6600万年前の2回起こったようです。

③地域地質_01

赤で囲った範囲が最初の噴火による火砕流堆積物。2回目の火砕流はこの地域では青で囲った一か所だけです。
これら火砕流堆積物がこの地域の土台になっています。
あちこち点在しているように見えるのは、新しい堆積物が上にかぶって隠されていたり、後の時代のマグマに貫かれたりしてるためです。

それにしても、白亜紀後期は日本のアチコチで火山が噴火していますよね。


〇ステージ2:新生代古第三紀暁新世~漸新世
この時代は大きく分けて3回の火山活動があります。
まずは暁新世(ぎょうしんせい)前期~始新世(ししんせい)前期(約6600万~4800万年前)に、この地域のほぼ全域に花崗岩質マグマが貫入。
地下深部でゆっくり冷えて花崗岩になります。

③地域地質_02

赤で囲ったピンク色です。・・ってさっきもピンクで、他にも似たピンクありますが、薄めのピンクの中で一番濃いピンクです(表現が・・笑)。
地域内ですぐ隣に同じ色に見えるピンクがあるよ?と思うかもしれませんが、ビミョーに違うピンクなんです(;^_^A

最初の花崗岩が貫入した直後、玄武岩質マグマ安山岩質マグマデイサイト質マグマ(流紋岩と安山岩の中間)が貫入。
地下深部で冷えて、それぞれ斑レイ岩閃緑岩石英閃緑岩になります。
そしてデイサイト質マグマの一部は地表付近で冷えてデイサイト質の貫入岩になります。

③地域地質_03

青で囲った濃い紫が斑レイ岩
赤で囲った紫色が閃緑岩、濃いピンクが石英閃緑岩です。
図中央やや右のオレンジ色が地上付近で冷えたデイサイトです。

次は約4800万年~3400万年前花崗岩質マグマが貫入。
約3400~2800万年前にも花崗岩質マグマが貫入し、なおかつ火山が噴火して大規模火砕流が発生します。

③地域地質_04

青線が2回目の花崗岩。赤線で囲った濃い目のピンクが3回目の花崗岩です。
赤で囲った薄いピンクが火砕流堆積物


〇ステージ3:新生代新第三紀中新世(約2000万年~700万年前)
この時代に日本は大陸と離れていき、そしてまたまた火山が噴火します。
最初は陸上の火山ですが、だんだん海に沈み、海底火山が活動します。
玄武岩質安山岩~流紋岩の溶岩類が噴出。
火山活動の合間には、礫岩泥岩が堆積します。

③地域地質_05

赤で囲った黄土色や黄色が溶岩類、ちょっとだけ見える灰色が泥岩です。
右上の囲みの真ん中あたりの薄茶色が礫岩です。


〇ステージ4:新生代第四紀更新世~完新世(約180万年前~現在)
だいたい今の日本と同じカタチになった時代から現在にかけて。
この時も、火山です!

約180万年前の火山噴火はアルカリ玄武岩という、ちょっと普通と違う玄武岩です。マグマの成分の違いで、詳しくはいずれ別記事で紹介したいです。

その後、地域の西側で三瓶火山(さんべかざん)が噴火します。

③地域地質_06

右の赤丸で囲った薄紫がアルカリ玄武岩です。③地域内はこれだけですが、周囲の地域外にも同じ色がポツポツと沢山あります。
そして左の赤丸が三瓶火山です。
この火山は島根県で唯一の活火山で観測中ですが、現状では今すぐ噴火を起こす兆候はないようです。観光地として島根県民に親しまれています。

長くなってしまいましたが、火山三昧の歴史は以上となります。
お読みいただき、ありがとうございました。


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参考文献

服部 仁・鹿野和彦・鈴木隆介・横山勝三・松浦浩久・佐藤博之(1983) 三瓶山地域の地質 . 地域地質研究報告(5 万分の1 図幅),地質調査所,168 p.

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