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三瓶山ってどんな火山?:島根県北東部山間地域【バーチャル観光vol.7】

島根県北東部の山間地域では、約1億年も昔から断続的に火山噴火が起こっていた火山三昧の地域でした。
そのトリを飾るのが三瓶山(さんべさん)です!!

地形を見る

では早速、行ってみましょう~♬

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スーパー地形(カシミール3D)より抜粋。
なおカシミール3Dは元データとして国土地理院の「電子国土」を使っているそうです(出典:国土地理院ウェブサイト
※トップ画像や以下の地形・地図画像すべて引用もとは同じです。

全体的に山がちで谷が複雑に入り組んだ地形の中、ひときわ目立つ円形の地形がありますよね。

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この円形の地形が三瓶山です。

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フジツボのような、おちょこを伏せたような可愛らしい雰囲気です。
三瓶山とその近辺は、他の地域とは明らかに地形が違いますね。

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さらにアップにしてみます。
三瓶山は高いところで標高1000mを超える大きな山体となっていて、周囲には凹凸の少ない緩やかな地形が広がっています。
一方、その外側の地域は標高300~500mほどの丘陵地~山地谷が細かく刻んでいます。

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シームレス地質図V2をかぶせました。

周囲を囲んでいるピンク色(一部は紫色)の地質は、古第三紀の約6600万~4800万年前の花崗岩類です。
古くから浸食が進んでいるので、細かい谷ができてるんですね。

中心の赤色が三瓶山本体となるデイサイト~流紋岩質(ドロドロのマグマ)の溶岩類です。
そして周囲の朱色・薄い赤・オレンジ色は同じく三瓶山から噴出した溶岩類や火砕流堆積物で、時代が少し古いものです。
だから三瓶山本体に比べれば浸食されてますが、花崗岩地域よりはノペッとしています。上の地形図と見比べてみましょう。

薄い水色がこの地域で一番新しい地質で、三瓶山本体の浸食で流出した土砂が堆積したものです。
古い地形の凹凸を埋めて、なだらかな地形ができたのです。

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空中写真をかぶせました。いい眺めです。

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やはり、周囲の平坦地形は畑や水田になっていて、人も住んでいます。


三瓶山の歴史

三瓶山は活火山と言えども、他の活発な火山と比べれると噴火の心配は小さいようです。
そんな三瓶山ですが遥か昔にはプリニー式噴火(噴煙柱を伴う大規模噴火)を何度か起こし、その時の火山灰は東北地方にまで降ったようです(※おおだwebミュージアムより)。


形成史概念図
三瓶火山形成史概念図:服部ほか1983より

この図は三瓶山が歴史の経過とともにどのように変化したか?を表す概念図です。
下から上へ向かって、新しくなります。
つまり一番上が現在の姿です。

以前は今の三瓶山とは違う古三瓶火山があったようです。
後のカルデラ形成によって今では残骸がわずかに残るのみ。

第1期(約3.0~2.5万年前)に大規模な噴火が繰り返され、地下に出来た空洞で地面が陥没し、カルデラが形成されます。
その後も噴火を繰り返し、カルデラ内に溶岩火砕流堆積物円頂丘溶岩(溶岩ドーム)などが積み重なって現在に至ります。

カルデラ範囲

地質図(服部ほか1983)にカルデラ縁が図示されてましたので、空中写真に描いてみました。ピッタリではありませんが、だいたいこんな感じです。
こんなに広い範囲で陥没したなんて、よほど大きな噴火だったのでしょう。


三瓶山の姿を楽しむ

では、三瓶山の姿を写真や3D画像(空中写真)でお楽しみください。

三瓶山_気象庁
北川から見た三瓶山(気象庁ホームページより)
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スーパー地形アプリによる3D表示(空中写真)画像 以下同じ
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手前側の斜面はスキー場です。

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火口には池があります。

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今回は以上となります。
お読みいただき、ありがとうございました。


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参考文献

服部 仁・鹿野和彦・鈴木隆介・横山勝三・松浦浩久・佐藤博之(1983) 三瓶山地域の地質 . 地域地質研究報告(5 万分の1 図幅),地質調査所,168 p.

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