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いつ起こってもおかしくないかも?と考えるのが重要です《蒼社川洪水》:愛媛県今治市のハザードマップpart2【御当地ハザードマップvol.3】

part1では愛媛県今治市のハザードマップ、全種類をざっと見てみました。
今回は「洪水」について、ハザードマップを詳しく見ていきます!

ハザードマップを見る方法

ハザードマップをネットで探す方法のおさらいです!

①:「ハザードマップポータルサイト」で検索

②:右側の「わがまちハザードマップ」で場所を選択

HMPトップ_02

③:「ふきだし」の中から見たいハザードマップのリンクをクリック

HMP吹き出し_02

④:自治体ホームページへ飛ぶので、見たい地区を選ぶ!

今治市_01


まず、見てみましょう①:洪水

さっそく見てみましょう。今回は今治地区中部を確認します。

洪水_中地区

出典:今治市

地区のほぼ中央部に広く浸水域が塗られています。

浸水深

浸水深の説明図です。分かりやすいですね。
青色の範囲1階建て住宅にお住いの人は絶対に避難しなければなりませんね。また黄色だとしても水深50cmの水の流れは強いです。
できるだけ黄色の範囲を通らないような避難経路を考えておいた方が良いでしょう。

では、色が塗られていない地区は安全なのでしょうか?


「前提条件」の確認が重要

ハザードマップの場合、マップそのものを見ることはもちろん重要ですが、「マップをつくる時の前提条件」も確認する必要があります。
つまり、どんな場合を想定したのか?です。

洪水であれば降水量流域面積などです。

ということで、今治市ホームページやマップに書いてある注意書きをお示しします。

浸水想定区域について

なるほど・・蒼社川(そうじゃがわ)が氾濫した場合を想定したハザードマップなのですね。

ということは、逆に蒼社川以外の河川は「今治地区中部」には無いの?
イヤイヤ、そんなことはありません。
北には浅川、南には頓田川が流れています。

今治市水系

スーパー地形(カシミール3D)より抜粋した画像をもとに筆者作成。
なおカシミール3Dは元データとして国土地理院の「電子国土」を使っているそうです(出典:国土地理院ウェブサイト

スーパー地形をもとに水系図をつくってみました。私の自作で平野部は判定が難しくて不正確ですので、参考データとして見てください。

真ん中の赤い区域が蒼社川、北の黄色が浅川、南の青が頓田川です。
蒼社川の流域面積、大きいですね。そして市街地の真ん中を流れています。この川が氾濫した場合のハザードマップをつくるのは非常に需要ですよね。

でも南側の頓田川の流域面積もなかなかに大きいです。蒼社川の半分くらいですかね。

頓田川の氾濫はシミュレーションしなくても大丈夫なのでしょうか?

もう1つ気になる点は、蒼社川の氾濫シミュレーションが「50年に1回」の雨量で計算されていることです。
水防法2015年に改正されて以降は「1000年に1回」で検討することになっているので、現在つくりなおしている最中だと良いのですが・・。
(※雨量の考え方については別記事でお話しします。)


この洪水ハザードマップの捉え方について

このマップそのものは水防法の2001年の改正(50~150年に1回の雨量)にもとづいて2015年改正前の2007年に作成されていますので、正当なものではあります。
でも使う側としては気をつけねばならない問題が多いです。

〇条件が「甘め」でつくられていると認識しましょう
法改正以前の条件で考えても1番甘めの雨量(50年に1回=227.5mm)でつくられています。
つまりハザードマップ以上の被害になる可能性も十分考えられます。
参考として、今治観測所では2018年7月6日240mm降っています(気象庁より)。
もちろん今治観測所での雨量なので蒼社川の流域ではないですが、最寄ですからね。いつ想定雨量が降ってもおかしくないと考えるのが妥当でしょう。
〇頓田川の氾濫も想定しましょう
流域面積が約2倍(※目測で筆者想定)の蒼社川が法改正前の1番甘い条件でもあれだけの氾濫が想定されています。
単純に面積比較だけで考えても約450mmの雨が降れば蒼社川と同様の氾濫が起きるかもしれません。
近隣の新居浜観測所で369.0mm(2018/9/30)が記録されていることを考えると、450mmは決して非現実的とは言えません。

今治市の該当地域にお住いの方々、どうぞ以上の2点も考慮の上、豪雨警報の際の避難行動を検討していただきたいです。

そして今治市長はじめハザードマップ関連の担当職員の皆様、どうか少しでも早く最新版のハザードマップを公開していただきますよう、ご尽力をお願いします。

以上となります。お読みいただき、ありがとうございました。

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