段差を知り、ふるさとを知る:愛知県南東部平坦~中山間地域【ふるさと探訪vol.14】
愛知県の南東部平坦~中山間地域は約3億年~1億年前の古い地質を土台にして、その上に約70万年~現在の新しい地質が載っている地域です。
両極端の地質がつくる地形はバラエティに富んでいて見るだけでも楽しい♬
特に段差に着目することで、楽しいだけじゃなく得することもある?
場所は?
再確認しましょう。
愛知県は日本のど真ん中!
スーパー地形(カシミール3D)より抜粋した画像をもとに筆者作成。
なおカシミール3Dは元データとして国土地理院の「電子国土」を使っているそうです(出典:国土地理院ウェブサイト)
※トップ画像や以下の地形・地図画像すべて引用もとは同じです。
南東部平坦~中山間地域は上図の④です。
緑色で着色した渥美半島を含む地域になります。
今回は新城市(しんしろし)が舞台です!
地形を見る
では行ってみましょう!
渥美半島の付け根を流れる豊川(とよがわ)が広い谷をつくっています(青点線)。今回はその少し上流の地域(赤点線)を見てみます。
なかなかバラエティに富んだ地形ですよね。
北西と南東に山地があって、その間の谷には段丘が広がっています。
そして案外と段差が多いですよね。
両山地とも古くて硬い地質です。
北部一帯の濃いピンクは約8400万~6600万年前にマグマが地下深部で冷えてできた花崗閃緑岩で、東西にはそのマグマに焼かれて変成した片麻岩(泥質片麻岩や珪質片麻岩)です。
一方、南東の山地は同じ時代ですが、付加体が地下深部の圧力で変成した泥質片岩(青)や珪質片岩(オレンジ)などの結晶片岩(けっしょうへんがん)類です。
これらの間の薄い緑色が段丘堆積物で、約70万~13万年前の新しめの地質です。
北東部をさらに拡大しました。
段丘内でもいくつもの段差がありますね。
白っぽい緑色は標高100~120mくらいで一番高い台地をつくっています。
高速道路も通っていて、人も沢山住んでいますね。
普段生活していると地域ごとの段差を気にすることはないでしょうが、こうして見ると、かなりデコボコしています。
この段差を知り、周辺と比べて自分の家(あるいは職場や学校など)がどんな位置関係か?などと考えながら地形図を眺めてみると楽しいですし、イザ災害が起こった時に役立つかも?
もしも大雨が降ったら?
そう考えながら地図を見ることは、まずないと思いますので、この機会に一緒に眺めてみましょう。
この地域は河川が合流している場所です。
豊川が北から西へ流れ、そこに宇連川(うれがわ)が合流しています。
両河川とも深い谷を刻んでいます。それだけ浸食する力が強く、水量が多いということ。
もしも上流で大雨が降った場合、合流点で一気に水量が多くなって水が溢れる危険があるかも知れません。
そうなると付近一帯で一番低い場所が浸水の危険があります。
赤点線で囲った範囲が標高50~60mくらいです。
でもこの場所はほとんど水田地帯でした。
隣接する青点線の地域はお寺もあって古くからある街でしょうが、ここは一段高くて標高は70mくらい。
やはり昔の人は知っていたんだろうなぁと感心します。
長篠城がありました
豊川と宇連川の合流点の先端部に長篠(ながしの)城があったのですね。
織田対武田で有名な長篠の戦いの長篠城です。
ここで久しぶりに武士目線になってみますか(笑)
周囲は段丘面で街や水田に適していますし、深い谷(落差約20m)に囲まれて守りやすい場所ですし、城を建てるのも頷けます。
しかも北東から攻めようとすると、山が迫っていて平地が狭い(赤丸)ので守りやすい。
赤点線の範囲を守ろうと思えば、北の山越えルート以外なら、川を渡ってくる敵を警戒すればよい。なかなか守りやすい城ですね。
いかがでしたか?
段差に着目して見ると、災害の時に危険な箇所を予測できますし、古くからの土地の利用のされ方に思いを巡らすのも楽しいものです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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