見出し画像

平穏な時代の砂山地形とは?:北部平坦~中山間地域【都道府県シリーズvol.20京都府part1】

プロローグでは京都府を11の地域に区分しました。
今回は「北部平坦~中山間地域」の地形と地質を紹介します。

場所の確認

まず場所の再確認をしましょう。

地形区分番号

スーパー地形(カシミール3D)より抜粋した画像をもとに筆者作成。
なおカシミール3Dは元データとして国土地理院の「電子国土」を使っているそうです(出典:国土地理院ウェブサイト
※トップ画像や以下の地形・地図画像すべて引用もとは同じです。

北部平坦~中山間地域は上図のです。

北部中山間地域_市町村

図のように京丹後市・伊根町・宮津市・与謝野町の各地域になります。


地形を見る

では地形を見ていきましょう。

画像3
北部中山間地域_境界線

下の図は地形区分境界を入れたものです。
主要な谷地形が3つあり、特に真ん中の地域は全体的に山も低め。
そして両サイドの谷は標高が低くて広い平坦地が目立ちます。
また北東の沿岸部はポコポコと小刻みに山が連なっていて、特徴的ですよね。

画像5

まず東の平坦地を見てみましょう。

画像6

国土地理院地形図をかぶせてみたら、なんと浅い海でした!
まるで谷を堰き止めてるような南北に細長い地形(図の右上)は、あの有名な天橋立(あまのはしだて)です。
先日のブラタモリは天橋立だったようですが、残念ながら私は見逃してしまいました。
どうやって出来たか?の話はあったのでしょうか?

画像7

次に、西の平坦地(?)も見てみましょう。

画像8

やはり海でした!
面白いですよね。なぜこうなったのか?
いずれ取り上げてみたいと思っています。


大地の成り立ち

ではこの地域がどんな歴史をたどってきたのか?
地質図を見てみましょう。

画像9

こちらです。ピンクが目立ちますね!

地質図_境界線

地形区分の境界を入れました。

この地域の地質的な歴史イベントは、大まかに3段階に分けられます。
順を追って話しましょう。

①:新生代古第三紀暁新世(ぎょうしんせい)~始新世前期

地質図_境界線02

約6600万年前から4800万年前、恐竜が絶滅した直後の時代です。
本来はもう少し前の時代(約8000万年~7000万年)の火砕流堆積物(凝灰岩類)がありましたが、そこにマグマが大規模に貫入します。
火砕流堆積物のほとんどがマグマに飲み込まれ、この地域では上の赤丸にしか残っていません(もっと南には広く分布します)。

そしてマグマは、地中でゆっくり冷えて花崗岩になります。
これがこの地域で広く分布しているピンクの地質です。
そしてその直後に流紋岩やデイサイト(流紋岩と安山岩の中間)のマグマが花崗岩に貫入しました。
濃い茶色で、下の三か所の赤丸です。

②:新生代新第三紀中新世

地質図_境界線03

の時代から約2800万年が経過した約2000万年~700万年のあいだに、この地域は陸地からだんだんとになっていきます。この時に礫岩や砂岩・泥岩が溜まりながら、各地で火山活動が起こります(※上図赤点線範囲)。
マグマの成分は玄武岩から流紋岩まで、少なくとも3回の火山活動があったようです。

③:新生代第四紀更新世~完新世~現在

地質図_境界線04

約258万年前はだいたい今と同じような地形になり、現在までの間に河川堆積物砂丘堆積物がたまり、現在に至ります。
上図の赤点線と各地の河川の薄青・薄緑の範囲です。

ちなみに天橋立は砂丘堆積物でできていて、完新世(約1万年~現在)に形成されました。

それにしても、やはり日本はいつの時代も火山が多かったと思い知らされます。そういう意味では今は平穏な時代なのかも知れません。
平穏だからこそ、天橋立のような、一見脆そうな「砂の地形」ができたのでしょうね。

以上、お読みいただき、ありがとうございました。


この地域の記事はコチラ👇


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?