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日本の”災害大国”の真実とは? part1【災害から身を守る vol.2】

前回は「災害の正体を知ろう」ということで、日本で主に起こる災害のうち、地質学と関係の深いものについて簡単に紹介しました。
(トップ画像出典:国土交通省)

真実を理解するためには、「長い歴史」を理解することが大切です

日本は「災害大国」と呼ばれてますよね。
あまりにも激甚災害が多いので、みなさんどうしても「分かりやすい理由」が欲しくなる気持ちは分かります。
東日本大震災の時も人工地震というデマが広まりましたが・・・。
そう考えたくなる気持ちは分かるのですが、1つだけ皆さんに考えていただきたいのは、地球の歴史はとんでもなく長いってことです。

46億年ですよ!

46億年って気が遠くなるような、想像もつかない年月です。
なぜ地球の年齢が約46億年と分かるのか?については、コレコレをお読みください。

例えば、最近目にしたネット記事で(どれとは言いませんが)、100年前と比べて大地震が急に増えてる!人工的な匂いを感じる!という無責任な記事を見て「あぁ~」と溜息が出ました(笑)
地球の歴史が46憶年に対し、人類が科学的な観測をできるようになったのは、たったの100年前くらい。
つまり、人間が地球の事をリアルタイム観測で知ることができるようになったのは、せいぜい100年とか、そのくらい。
人間の寿命は長くて100年。
地球の歴史では、例えば1000年に1回というペースで大噴火する火山もありえます。だから人間の時間感覚で地球を考えたら痛い目にあってしまいます。

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福島県:磐梯山の3D画像 1888年に水蒸気爆発により山頂付近が山体崩壊を起こし、5村11集落が壊滅。死者477人。川を堰き止め多数の湖沼がつくられる。崩壊前は富士山のような山だったそうです。
スーパー地形(カシミール3D)より抜粋
なおカシミール3Dは元データとして国土地理院の「電子国土」を使っているそうです(出典:国土地理院ウェブサイト

私のサラリーマン時代、災害現場の地元のおじいさんとお話しすることがたまにありましたが、みなさん口を揃えて「ここまで生きて来て(70~80歳)こんなことは初めてだ。」と落胆していて、私からは「そうですか・・。」としか言えなくて辛い気持ちになったことがあります。
気持ちは分かります。
70~80歳と長生きして、初めて災害に遭ってしまったら「なんで?」と理不尽さを感じるのは普通だと思います。

でも例えば、私が仕事で担当した地すべりの調査をしたら約5000年前の縄文時代も地すべりを起こしたと分かった事例があります。

災害を相手にしたとき、人間の時間感覚で考えてはいけない!これだけは最低限、みなさんの心に刻んでもらいたいです。

例え1000年何もなかったとしても、急に今日、災害を引き起こすのが地球の自然なのです。

災害の様々な要素が揃っている

日本の場合災害が起こる要素のほぼ全てが揃っているんです。
列挙してみましょう。

・地震が多い
・火山が多い
・山地が多い
・平野は沖積平野がメイン
・断層が多い
・地層が細切れで安定していない
・岩石が風化しやすい
・風化しやすい火山性の地層が多い
・国土が細長く、地形的に川の流れが急流になる
・温暖湿潤気候で雨が多い
・冬は積雪が多い

もう、落ち込んでしまうレベルですよね。
でも逆に言えば、一方では、豊かな恵みも受けています。

水が豊富。雨や雪解け水のおかげで水が豊富なだけでなく、河川が急流なので水質も良い。もちろん多すぎて水害を起こしますが、かと言って少なすぎても人間は生きていけません。
火山も怖いですが、逆に言えば天然ミネラルが豊富な肥沃な土壌ができます。また火山のおかげで温泉に入ることもできますよね。

つまり日本人は自然の怖さ恵みの両方と付き合ってきた民族なのです。
今は先進的な文明のおかげで快適な生活が当たり前な気持ちになってしまってますが、本来の日本人は「災害と背中合わせ」だと思い直していただきたいのです。

しょうがないと思ってあきらめろと言ってるわけではありません。

ただ近年の日本人は、近代文明のおかげで「安全なのは当たり前」と思ってしまってるような気がします。
でも本来の日本人は、常に災害と背中合わせで、自然に対して畏怖の念をもって過ごしてたハズなのです。
日本人の「八百万の神」の起源は、そういう精神なのですから。

まず大切なのは、日本は災害が多いと受け入れること。
だからこそ、その災害を理解し、如何に生き残るか?を考え抜く!これが日本人の真骨頂であり、私はそのお手伝いをしたいと思っています!!

ってことで、次回は日本の災害大国の真実に迫っていきます!!

お読みいただきありがとうございました。

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