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北と南では何が違うんサー?:沖縄本島まるごと【都道府県シリーズvol.30沖縄県part1】

語尾に「さー」をつけると沖縄弁っぽいかな?と思いましたが、用法が違ってたらスミマセン(;^_^A
仙台弁は語尾に「だっちゃ」を付けたりしますが、「うる星やつら」のラムちゃんの「だっちゃ」は用法が違うので仙台弁ではないんですよ。
方言って難しいですよね。

さて今回は沖縄本島まるごと、地形と地質を見ていきます♬

場所は?

確認しましょう。

全体

スーパー地形(カシミール3D)より抜粋した画像をもとに筆者作成。
なおカシミール3Dは元データとして国土地理院の「電子国土」を使っているそうです(出典:国土地理院ウェブサイト
※トップ画像や以下の地形・地図画像すべて引用もとは同じです。

沖縄県は多くの離島が集合した県です。
赤点線で囲った範囲内の島々が沖縄県で、その中で一番大きな島が沖縄本島です。


地形を見る

では行きましょう!

地形

パッと見た目では北部の方が山地が多く、南は平坦ですね。

画像3

北部を拡大してみました。
山地と言っても標高は300~500mくらいで、そこまで高い山はありません。
山地はだいたい北東~南西方向に連なっています。
また起伏も大きくはなく、台地状の平坦な地形もポツポツとありますね。

画像4

少し南に視点をズラしました。
北部と同じような雰囲気の山地が続き、南西ほど山地は少なくなります。
そしてギュッと細くなったあたり(図の南西部)まで、似た雰囲気の地形が続いています。

画像5

さらに南部を見ると、雰囲気はガラッと変わりますね。
標高は高くても200m以下と低めで、平坦な台地状の地形がメインです。

これだけハッキリ違うとなれば、やはり地質が関係していそうです。


沖縄本島ができるまで

では地質図を見てみましょう。

地質図

やはり地質図もパッと見た感じ、南北で違いがあるように見えますね。

そんな沖縄本島ができるまでの歴史は、大きく4つのステージになります。


〇ステージ1:古生代ペルム紀前期~中生代白亜紀末期
かなり時代の幅が大きく、約3億年~6600万年前の海の堆積物等が大陸プレートにくっつき、付加体になります。
地質は混在岩(メランジュ)や玄武岩類、チャート石灰岩など。
古いものは圧縮されて一部は変成岩になったりしています。

地質図01

赤線で囲まれた範囲です。山地の中でも西側に偏っていますね。

ちなみに付加体は、本州では大陸の縁辺部にくっつき、その後分離して今の日本列島の位置に移動していますよね。そして日本海ができます。

でも沖縄の場合はだいぶ違います。

沖縄周辺地形_井上

沖縄本島周辺の海底地形図:井上(2007)より

この図では黒が陸地です。
右上(北東)から南西にかけて、九州~沖縄諸島が並び、台湾に至ります。
台湾の北は中国の沿岸部です。
この中国大陸から南東の海は広くて真っ白になっていますよね。
これは大陸棚(たいりくだな)と言い、陸より少し低いために海に沈んでいますが、水深は浅い海域です。
簡単に言うと大陸の延長みたいなものです。

そして沖縄諸島の北西に灰色のゾーンがあり「沖縄トラフ」と書いてあります。これは海にできた大きな溝(へっこみ)です。
本州にとっての日本海が、沖縄にとっての沖縄トラフだと考えると分かりやすいと思います。

つまり沖縄本島に分布する付加体は、以前の大陸棚縁辺部にくっつきました。そして沖縄トラフが開き、今の位置に移動します。
(※沖縄トラフは今でも少しずつ開いてるようです)

〇ステージ2:中生代白亜紀後期~末期
約9400万年~6600万年前付加体です。

地質図02

赤で囲った範囲。灰緑は泥岩で黄色が砂岩です。
つまり新しい地層ほど東に分布しています。

〇ステージ3:新生代古第三紀中期~後期
約5600万年~2800万年前の地質、やはり付加体です。

地質図03

やはり東側ほど時代が新しくなります。
黄色が砂岩、灰緑が泥岩です。

〇ステージ4:新生代新第三紀後期~後期更新世~現在
約720万年前~約1万年前、沖縄本島南部は海だった時期が多く、その時に堆積した砂や泥が砂岩・泥岩になります。
またサンゴ礁起源の石灰岩も各地にみられます。
日本の本州などの石灰岩は古い時代のサンゴ礁起源で遠い南の海から移動してきたものですが、沖縄本島南部の石灰岩は新しい時代の現地のサンゴ礁が起源です。
これは南の島ならではの地質ですよね。

そして約1万年前以降陸化して、上記の地質の上に河川堆積物などが堆積し、現在に至ります。

地質図04

薄い青緑色がサンゴ礁起源の石灰岩、薄い黄緑色が砂岩泥岩です。
また約1万年前~現在にかけての地質は沿岸部に見える灰色が河川堆積物、薄いピンク色が人工的な盛土・埋立地です。


以上のように、沖縄本島の南北の地形の違いは、やはり地質が原因でした。
北は古い時代の付加体がメインで、南は新しい時代の海の堆積物とサンゴ礁の地質です。

お読みいただき、ありがとうございました。


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参考文献

中江 訓・兼子尚知・宮崎一博・大野哲二・駒津正夫(2010)20万分の1地質図幅「与論島及び那覇」、産業技術総合研究所.

井上卓彦(2007)東シナ海における地質構造発達史-研究レビュー-.地質ニュース633号,p37-44.

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