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ダンダン!段差はなぜできた?:沖縄本島南東部平坦地域【地元再発見の小旅行vol.24】

沖縄本島は南北で地質が異なるため、地形に違いが生じています。
今回は新しい地質でできている南東部平坦地域を見てみましょう。

場所は?

再確認しましょう。

地形区分番号

スーパー地形(カシミール3D)より抜粋した画像をもとに筆者作成。
なおカシミール3Dは元データとして国土地理院の「電子国土」を使っているそうです(出典:国土地理院ウェブサイト
※トップ画像や以下の地形・地図画像すべて引用もとは同じです。

沖縄本島の南東部平坦地域は上図のです。

南東部平坦地域_市町村

うるま市、沖縄市、北中城村、中城村、西原町それぞれの一部地域です。


地形を見る

では行ってみましょう!

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やはり沖縄本島南部は全体的に平坦な地形ですね。
その中でも、北の与勝(よかつ)半島と南の知念(ちねん)半島に挟まれた地域は、北北東ー南南西方向に細長い平坦地として特徴的です。

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アップにしてみます。
こうして見ると、北西の台地から南東の低地にかけて段階的に標高が低くなっていくように見えませんか?

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さらにズーム!
やはり、あちこちに段差地形が見えます。

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特にこれ、すごいですよね!見事な階段!!
・・・・と思いきや・・

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ゴルフ場のようなので、人工的な地形かも知れませんね(;^_^A
とは言え、普通の斜面を手間とお金をかけて階段状にしないですよね。
仮に削ったとしても、原型になる段差地形はあったろうと思います。
南の方にも段差地形が続いていますしね。

他の場所も見てみましょう。

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ここも人の手は入っているとはいえ、あちこち段差が見えます。
特に緑から黄色、黄色から青灰色に変わるあたりに階段状の地形が見えるかと思います。

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ここも綺麗に階段状ですよね。

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ここは南東部平坦地域の最南端部です。
ここも山や台地から低地に移り変わるところで綺麗な階段状の地形になってます。


地質を見る

なぜ階段なのか?
原因は地質だろうか?ってことで、地質図を見てみましょう。

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海に面した低い平坦地は約1万年前から現在にかけての河川・海岸堆積物
内陸の台地は約700万~300万年前泥岩砂岩です。

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これも同じです。
青っぽい色が泥岩、黄色がかった場所が砂岩泥岩互層。
薄灰色が河川・海岸堆積物です。

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これらも同じ組み合わせでした。
でも特定の地質というよりも、どの地質でも段差地形になってる印象です。

実際、南東部平坦地域以外の地域にも段差地形があり、そこは約258万年~13万年前石灰岩(現地のサンゴ礁起源)でした。

どうも、地質は関係ないようです。
ではなんでしょう?


海岸段丘

海岸沿いには海岸段丘という階段状の地形が見られる場合があります。
そして沖縄本島や周辺の島には、海岸段丘が多く見られるようです。

そしてこれは、海洋プレート(沖縄の場合はフィリピン海プレート)から押されることで、隆起したことで出来たようです。
研究の結果、だいたい20万年前以降に隆起し始めたとのこと。

ではなぜ、隆起すると階段状の地形ができるのでしょう?

隆起波食棚

房総半島南部の海岸:産業総合研究所より

ヒントはこの写真です。
奥の方にテラス状の地形があり、しかも右側が高く、2段になっています。

こんな雰囲気で、岩場の海岸って平坦なテラス状になっているのをよく見かけませんか?
あれは波の浸食作用でつくられる海食台(かいしょくだい)という地形で、干潮の時は陸になりますが満潮の時には海に沈むような場所です。

それが隆起すると、上の写真のようになるんです。
隆起と言っても徐々に盛り上がるわけではなく、地震が起きた時にドン!と盛り上がるんです。

つまり、こういうイメージです。

海岸段丘イメージ図

隆起海食棚のイメージ図(筆者作成)

①:波打ち際は浸食されて崖になり、満潮時に海に浸る場所に海食台がつくられる。
②:地震発生で全体が隆起して海食台は満潮時でも海に浸らない高さになり、波打ち際は削られて崖に。さらに海側に新たな海食台がつくられる。
③:①・②の繰り返し。

この様な地形は、沖縄だけではなく日本のアチコチにあります。
そして過去の地震について研究するための手掛かりにもなっているようです。


以上、お読みいただきありがとうございました。


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参考文献

木庭元晴(1980)琉球層群と海岸段丘.第四紀研究、18 (4)、p.189-200.

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