大部分がくっついてきた地層です:西部山間地域【都道府県シリーズvol.47静岡県part1】
静岡県は地形的特徴から8つの地域に分けられます(※筆者個人の見解です)。今回は西部山間地域の地形と地質を紹介します。
場所は?
再確認しましょう。
静岡県は関東地方の南西部に隣接しています。
西部山間地域は④です。
浜松市・磐田市・森町・川根本町・掛川市・島田市それぞれの一部地域です。
地形を見る
では行ってみましょう!
大局的に見ると北ほど山深くなるイメージですね。
中央部と東部にそれぞれ川が見えますが、どちらもかなり蛇行していて、蛇行マニアとしてはとっても興味を惹かれます。
地域範囲を入れてみました。
全体的な方向性は見えないので、地質的にいくつかのブロックに分かれそうです。地形を見る限り、大まかに以下の3つに分かれそうな雰囲気・・。
大まかですが、こんな感じに見えます。
地質図を見ると、確かに「東」・「北西」・「南西」で地質が違うようです。
大地の成り立ち
では、この地域がどのような歴史をたどったのか?見ていきましょう。
概ね4つのステージに分けることができます。
〇ステージ1:中生代中期ジュラ紀~後期ジュラ紀
まだ恐竜が生きていた約1億7400万~1億4500万年前、日本はまだユーラシア大陸の一部でした。この時に海洋プレート上の堆積物やプレートの一部が、大陸の縁辺部にペタペタくっつきます。付加体ですね。
赤枠で囲った灰色が混在岩(メランジュ)、緑色が玄武岩類です。
〇ステージ2:中生代前期白亜紀~後期白亜紀
その後の約1億2500万~9000万年前、引き続き海洋プレート上の堆積物やプレートの一部が大陸の縁辺部にペタペタくっつきます。
またこの時代より過去にくっついた付加体が地下深くで圧力を受けて変成岩になります。地層ができたのはもっと昔ですが、変成作用のピークが終わり、地上に隆起しはじめた時期がこの時代です。
また北西の方は花崗閃緑岩が貫入したり、その熱で変成岩ができたりしています。
上図では変成岩を赤線で囲っています。
青色が泥質片岩(泥岩が変成した)です。ちなみに薄い青と濃い青がありますが、これは含まれる鉱物の違いで、どちらも泥質片岩です。
変成岩は鉱物の違いで圧力と温度の関係が分かるのですが、かなり専門的ですので、ここでの説明はやめておきます。
また緑色は玄武岩類が変成した塩基性片岩(苦鉄質片岩とも言います)、紫色は同じく玄武岩類が変成した蛇紋岩です。
オレンジ色はチャートが変成した珪質片岩です。
こちらが前期白亜紀の付加体です。
水色が泥岩、黄緑色が砂岩泥岩互層です。
東が付加体です。同じく灰色が混在岩、緑色が玄武岩類です。
北西が花崗閃緑岩やマイロナイトです。
マイロナイトとは、地下深くの断層運動で変形した岩石のことです。この地域のマイロナイトの場合は、もとの岩石は泥質片麻岩で、これはもとは泥岩で、マグマの熱を受けて変成したものです。つまり、2回も変わった岩石ということです。
〇ステージ3:新生代古第三紀始新世~鮮新世
恐竜が絶滅した後の約5600万~2800万年前、まだ日本は大陸の一部で、引き続き海洋プレート上の堆積物が大陸の縁辺部にペタペタくっつきます。
水色が泥岩、黄緑色が砂岩泥岩互層です。
〇ステージ4:新生代新第三紀~現在
日本が大陸から離れ、今の位置に移動するまでの時代。
約2000万年前から現在、海や河川の堆積物が溜まります。
また北西では火山が噴火しています。
中央南部や南東の水色が約2000~1400万年前に海に溜まった泥岩です。
北西の黄色が約1600~720万年前に噴出したデイサイト・流紋岩(ドロドロのマグマ)の溶岩や火山砕屑岩です。
また南西部の薄緑色や灰色は、約77万年前から現在にかけての海や汽水域でできた地層や段丘堆積物、河川堆積物です。
これらの地層は、この地域の中ではほんの少しの範囲でしたね。
ということで、静岡県の西部山間地域は大部分が付加体と変成岩でした。
その変成岩も、もとをたどれば付加体ですので、まさに、ほとんどが「くっついてきた地層」でした。
お読みいただき、ありがとうございました。
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