同心円状のやべぇヤツ!!:山形県中部高山地域【災害から身をまもるvol.28】
山形県の中部山間地域は北は火山、西は花崗岩の山地が険しく、山形市から日本海側へ至るルートは大きく迂回する状況です。
そんな山深い地域ですが、一部には人が住みやすい地域も見られます。
今回はそんな人里の近くに変な地形があるぞ!ってことで見に行ってみましょう♬
場所は?
再確認です。
山形県は新潟県の北、東北地方の南西部に位置しています。
中部高山地域は⑦です。
今回は大蔵村(おおくらむら)を見に行ってみましょう。
地形を見る
レッツゴー!
やはり朝日山地(西)や月山(北)が目立つ山深い地域ですが、よ~く見ると、あちこちに人が住めそうな地域があります。
その1つが月山の北東に!
真ん中あたりに台地状の平坦地、見えませんか?
ここまで拡大すれば見つけやすいと思います。
深くえぐられた谷も見えますが、平坦地がいくつも見られます。
でもこの中に、さらに気になる地形があるんです。
真ん中あたりにご注目を!
なんじゃこりゃ?
同心円状の地形がものすごく目立ちますよね?
こんな感じです。
これ、地すべりなんですよ。しかも大きいし、かなりハッキリ地形に出ています。
範囲はこんな感じ?
ただしこれは私が地形図を見ながら「だいたいこんな感じ?」と引いた線なので正確ではありません。
実はここは長年、林野庁が対策工事を続けている地すべりでした。
対策工事のおかげで地すべりは落ち着いているようです。
この同心円状の地形は、地すべりが動いてできた亀裂の跡なんです。
これまでに何度も動いたのがイメージできるかと思います。
周囲を国道が走っていますよね。
この国道458号線や周囲の農地にキレツが入ったりしています。
(※上のリンクで実際の写真が見られます)
いやぁ、スゴイ地形ですよね。
もっと詳しく!
どんな地すべりなのか?原因は何か?見ていきましょう。
まずは断面図で同心円状のキレツの雰囲気を見てみます。
こんな感じで切ってみます。
小山がたくさん並んでる感じですが、その間のヘッコミがキレツの跡です。
かなり乱れた地形ですよね。
地質図を見てみましょう。
水色が約700万年~258万年前に海に溜まった泥岩です。
そしてその上に載っているのがピンク色の火砕流堆積物です。
この火砕流堆積物は約1万年前に肘折(ひじおり)火山が噴火して流れてきたものです。
この時に肘折カルデラができました。
青丸が地すべり、赤丸がカルデラのだいたいの範囲です。
こうやって見ると、まぁるくへっこんでるのが見えるかと思います。
中は平坦だし、温泉は出るしで人が住んでいます。
ここは肘折温泉という有名な温泉地なんです。
ちなみにこの台地は火砕流台地なのですが、あちこち浸食されて、かなり深くえぐられてますよね。
これは九州南部と同じような、俗称で「シラス」と言われるような地質です。火山灰粒子がギザギザで普段は噛み合ってて硬めなんですが、大雨で水を含むと噛み合わせがほどけ、崩れてしまう。
この地すべりの場合は、シラスがスポンジのように大量の雪解け水を含み、下の泥岩にまで水が浸み込んだことが、地すべりの原因の1つです。
ここ、7mくらい雪が積もる大豪雪地帯なんです(;^_^A
立体で見る
そんな「銅山川地すべり」を3Dで見てみましょう。
いやぁ、ダイナミックな地形ですよね。
同心円状のキレツ跡が生々しいですよね。
空中写真だとイマイチ分かりづらいですかね?
ズーム!
この縮尺で見ると、キレツのイメージが湧きませんか?
うっひょ~!迫力ありますね!!
国道が崖の近くを通っててちょっと怖そうですが、実際にここを走って見ると全く怖くないので御安心を。
周囲もシラスが崩れたりしてダイナミックが地形がつくられています。
ちなみに肘折温泉へのアクセスは、例えば山形市(下の赤丸)からなら、
で、車で約2時間です。(※ルートは一例です)
美味しい蕎麦屋さんもありますし、一度遊びに行ってみてください♬
以上、お読みいただきありがとうございました。
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