暴れ川のルーツは高く険しい:南西部高山地域【都道府県シリーズvol.6石川県part3】
石川県の南部を流れる手取川は日本全国の中でも有数の急流です。
河川が急流だということは、それだけ山が高く険しいということ。
今回は石川県南東部高山地域の地質を見てみましょう。
地域の再確認
では南東部高山地域の場所を再確認しましょう。下図の⑩です。
地形だけを見てみる
さて、では地形図を見てみましょう。
山、山、山ですね~。
真ん中を手取川が流れ、その左右に平坦地があります。
パッと見た感じでも、面白そうな地形がアチコチに見えますが、この回ではこの地域の地質をザックリ紹介します!
地質図を見てみる
では、見てみましょう~。
赤線と黒の県境に囲まれた範囲です。
広い範囲なこともあり、色々な時代の地質があります。
でも分布にはある程度の規則性があり、南東側の紫色の線で囲った範囲が古い地質で、そこから北西に行くほど新しい時代の地質になります。
古生代~中生代の地層
地質図をもうちょっとアップにして見てみましょう。
紫色に囲まれた範囲の中でも、北側の色の濃い地域が最も古い地層です。
時代は約3億4千万年前から2億5千万年前くらいで、まだ恐竜が地球上に誕生する前で、ユーラシア大陸の一部でした。
そしてその周囲や南に広がる薄い緑色や青色の地層は手取層群(てどりそうぐん)と呼ばれ、恐竜が生きていたジュラ紀~白亜紀(約2億~1億年前)の砂岩や泥岩。これらも大陸の一部でした。
ちなみに、この手取層群は恐竜の化石が出る地層として有名です。
福井県の恐竜は非常に有名ですが、それらの化石も、同じ手取層群から発掘されています。
代表的な地層が手取川沿いにあるので「手取層群」と名付けられ、同じ地層が福井県にも広がっているのです。
また紫色で囲った範囲の東隣の薄いピンク色は白亜紀後期の流紋岩(ドロドロのマグマが地上で冷えた)など。
そのまた東隣の肌色は恐竜が絶滅した直後の時代である、新生代古第三紀暁新世(ぎょうしんせい)の流紋岩などです。
その後も火山噴火の時代が続く
この地域では、その後もあちこちで火山活動が続きます。
ところどころに砂岩や泥岩が挟まりますが、基本的には火山。
しかも流紋岩質マグマをメインとしつつも、玄武岩や安山岩など色々な成分のマグマが噴火しています。
上の図の赤丸の地域の茶色系は、第四紀(人類の時代)に噴火した火山です。
つまり、この地域も一部を除いて非常に火山が多い地域だと分かりました。
やはり日本は火山が多い!
ちなみに、この地域の古第三紀~新第三紀前期の火山は日本列島が大陸から引き裂かれる引き金になった火山活動ではないかと思います。
これについては、私の理解が深まってから、別で紹介したいと思います。
硬い岩石だらけ
以上のように、この地域は
〇恐竜時代以前の変成岩
〇恐竜時代の砂岩や泥岩
〇恐竜時代以降の火成岩(流紋岩中心)
と、いずれも硬い岩石がメインです。
つまり風化しにくく川に削られにくいため山が高く、手取川が急流になったのでしょう。
でも逆に急流のため、硬い岩石でも大雨で増水すれば削られてしまう。
そして長い年月のうちに大量の土砂を流し、それが海岸沿いで陸地をつくっていったのですね。
今回はここまで!
お読みいただき、ありがとうございました。
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参考文献
鹿野和彦・原山 智・山本博文・竹内 誠・宇都浩三・駒澤正夫・広島俊男・須藤定久(1999) 20 万分の1 地質図幅「金沢」,地質調査所.
石川県白山自然保護センター(2010)桑島化石壁.白山の自然誌30、p.21.
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