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村上春樹ワールドがアニメ映画に!『めくらやなぎと眠る女』UKプレミアへ😸【全文無料】

パリで映画関係のお仕事をしている友人から連絡が入ったのが先月のこと。「村上春樹原作のアニメ映画が発表になって、先日その監督夫妻とお茶してきたのね。ロンドンに村上春樹ファンの友達がいますよと言ったら、良かったらUKプレミアに招待するけどって。興味ある?」と。おおおおお、あるあるある、行く行く行くと即答しました。

ちょっと下調べをした時点で、めちゃめちゃ面白いなぁと思った点が2つあります。

①1つの作品を元にしていない。『めくらやなぎと眠る女』と題されているものの、村上春樹さんの他の小説からも印象的なシーンが多数使われています。さらに、監督がオリジナルで創作したシーンもあります。

②フランス語と英語の二言語で制作されており、アヌシー映画祭でのワールドプレミアではフランス語で、今回のUKプレミアでは英語で上演。これが単純に吹き替えというわけではないという点については後述します。

ロンドンは、たとえばパリなどに比べてあまり「ロマンティック」と感じる街ではないのですが(それよりは「スタイリッシュ」とか「活気あふれる」という感じ)、夜のテムズ川はなかなかの風情。むふふ✨

会場は、イギリスの映画ファンの聖地とも言える「BFIサウスバンク」。BFI=英国映画協会は1933年に設立された歴史ある組織です。

さっそく広告が目に入ってきます。英語版タイトルは『Blind Willow, Sleeping Woman』、フランス語版は『Saules Aveugles, Femme Endormie』(意味は同じ)。この日は2023年2月6日のUKプレミアで、イギリス国内での一般公開は3月31日からとなります。

なお、「新潟国際アニメーション映画祭」での上演も決まっており、3月19日、20日には日本国内でも観ることができますよ😄

なにげに「BFIサウスバンク」に入るのは初めてのわたし。ナニナニ、めっちゃ良い雰囲気じゃないですか…。来ている人たちも、映画を観ながらポップコーンをむしゃむしゃ食べるタイプじゃないというか(笑)真面目な映画ファンという感じの人が多かったです。

ちなみにBFIでは1月・2月は黒澤明祭りを開催中。他にも日本映画の特集をしていることがたびたびあり、日本人としてはありがたい💓

こちらが会場です。椅子がふかふかです(笑)。お客さんはかなり入っていましたが、日本人はわたし以外には1人しか見かけず…。ロンドンにも村上春樹ファンは多そうなのにちょっと意外でした。

UKプレミアだけあって、上映前にピエール・フォルデ監督による解説があります。わーい、楽しみ♪

解説はインタビュー形式で進みます。右側がピエール・フォルデ監督。パリで育ち、ニューヨークでも教育を受けた英仏のバイリンガルで、何人とも言えないような自由な雰囲気を醸し出していました。

『めくらやなぎと眠る女』のフランス語版と英語版も、どちらかを先に完成させてからもう1つの言語に翻訳したわけではなく、なんとなく並行させて台詞を決めていったというのだからすごい。

村上春樹さんと権利関係の交渉をした際には「思ったよりも時間はかかったものの、プロセス自体はエージェントを通して行い、とてもシンプルだった」と。村上春樹さんは「僕の仕事は小説を書くことだから」と、フォルデ監督の映画の制作に口出しすることは一切なかったそうです。

他にもいろんな裏話が聞けてとっても面白かった~~💓

映画自体について詳しくはネタばれになるので書きませんが、わたしはめちゃくちゃ楽しめました…!!「おお、これはあの短編」「ここはオリジナルだな」など、村上春樹作品を思い出しながら観るのも面白かったです。

そして、監督が「僕自身が本当にインスピレーションを受けた村上作品のシーンばかりを使っている」と言っているだけに、深層心理に訴えかけてくるような深みのある場面が多く、心を揺さぶられます。何度か完全にずるずるとワールドに引き込まれて怖いほどだ…と感じたことがあったほど。

特筆すべきは音楽を含めた「音」の良さです。後で、監督がピアノと作曲を学ばれたと知ってすごく納得。さらに、彼自身も声優として作品に出演しています(!)。音へのこだわりや研ぎ澄まされた感覚が、わたしの知っている村上ワールドともぴったりマッチして、このアニメ映画の存在感を際立たせていました✨

ちなみにこの日の帯は猫柄。村上春樹さんと言えば何と言っても猫だし、この映画作品『めくらやなぎと眠る女』にももちろん猫が登場するのですよ、ふふふ。姿を消した猫は果たして見つかるのかどうか。その答えは、猫のみぞ知る😸

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