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ロンドン・ロックダウン5週目:イギリスの誇るNHS【無料公開】。そして浴衣で歌舞伎鑑賞👘✨

もう5週目に入ったことがびっくりです。月日が経つのって速い(笑)。今回もゆるっとイギリスの様子&他愛無いわたしの日常を綴って参ります♪

こちらでも何度か「NHS」(イギリスの国民保健サービス)という言葉を使ってきましたが、第二次世界大戦後の1948年に設立されたこの制度は、イギリス人にとって非常に特別な意味をもちます。

ほとんどの国では医療サービスを受ける場合には治療費などを支払う必要がありますが、イギリスのNHSでは治療費、入院費、入院食代、手術費用などがすべて無料。処方薬代もほとんどの地域では無料で、イングランド内だけは一律9.15ポンド(約1,200円)の支払いが必要です。とはいえ、たとえば高額な抗がん剤などの処方でも一律9.15ポンドで済みますし、子どもや60歳以上の高齢者、妊婦、低所得者などはこの支払いすら免除されます。だから、病院に行くときはお金の心配をしなくて済むのです。

かつては、なんと外国人旅行者でさえこの制度を利用し、イギリス国内で病気や怪我をした人は誰でも無料で治療が受けられたのです。とはいえ、これはさすがに寛容すぎたので、現在は6カ月以上の滞在資格を有する人だけが(多くの場合は費用を支払って)NHSに加入できます。

NHSは「万人への普遍的なサービス提供」「技術・専門性において高いスタンダードをめざす」「すべての患者の心に届くサービスをめざす」などの憲章を掲げています。一方で、市民にも「市民は自分自身および家族の健康に関心を持ち、責任を持つべきである」「NHSスタッフおよび他の患者へ敬意を払うべきである(暴力行為は起訴・診療拒否される)」などの義務を課しています。ですから、いくら無料といえども、イギリス人は風邪やちょっとした皮膚炎などでは病院には行きません。まずはドラッグストアの薬剤師さんに相談し、症状に合った薬を教わって購入するのがふつう。場合によっては薬剤師さんが「それは病院にかかった方がいいよ」と勧めてもくれます。

イギリスに引っ越してきて、医療サービスがこんな風に日本とずいぶん違うのに驚かされました。わたし個人の感覚では、”日本の医療サービス”に長年親しんできたこともあり、NHSも一長一短だと感じられますが、イギリス人の多くはこの「誰でも分け隔てなく医療サービスが受けられる制度」を本当に誇りにしています。イギリスは非常に貧富の差が激しい国でもあるので、わたしもその気持ちはわからなくもありません。

今回、コロナウイルスとの戦いの最前線に立つNHSスタッフ(医師や看護師など)に大きな賞賛が集まっているのは、言うまでもありません。イギリスではメディアも個人もNHSスタッフを「ヒーロー」として称え、応援しています。

そんな中でとくに大きなニュースになったのが、NHSへの寄付を募るために4月30日の100歳の誕生日までに自宅の庭で25メートルを100往復しようとした、トム・ムーア退役大尉(愛称キャプテン・トム)です。当初、1,000ポンド(約13万円)を目標額にしていましたが、上記のBBCの記事(4月16日)の時点で27億円以上、今日現在(4月23日)ではなんと38億円近くの寄付が集まっています。この寄付金は、NHSスタッフの体調管理や休憩室、入院患者が家族と連絡を取り続けるための電子端末、退院後の地域ケアなどに使われるそう。

ご高齢のキャプテン・トムに刺激を受け、子どもも動き出しました。二分脊椎症の6歳の少年フランク・ミルズが、歩行器を使って10メートルの歩行に挑戦。キャプテン・トムの年齢にちなんで99ポンド(約13,000円)の寄付を目指して始めたこのチャレンジは、現在、2,600万円近くの寄付を達成!

果敢に日々の任務にあたってくれるNHSスタッフを助ける方法はさまざま。以前にご紹介したようにボランティアという形で参加したり、こんな風に寄付活動を行ったり、あるいは家にいることで感染者の減少に貢献したり。ヨーロッパ内でもイギリスは非常に厳しい状況にありますが、ちゃんとこういう人間的な結びつきがあって、団結し、協力し合って機能しているという面もあります。

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