マガジンのカバー画像

心惹かれる本。素敵な読書の記事。

71
運営しているクリエイター

2022年1月の記事一覧

姜 在彦「朝鮮半島史」

姜 在彦「朝鮮半島史」

去年は、社会人として最低限の常識を身に着けようと、苦手な政治・歴史・経済・安全保障の分野について入門を期し、アメリカ、中国、中東、中央アジアと、入口を叩いて来た。今年も教養課程の2年目のつもりで本をあたっていこうと思っている。まずはお隣の朝鮮半島の歴史を勉強しようと本書を手に取った(*1)。やはり読んでよかった。

日本史や世界史を勉強しても、朝鮮半島の扱いはいつも小さく、半島の歴史を半島の視点で

もっとみる
わたしの本棚136夜~「哲学の蝿」

わたしの本棚136夜~「哲学の蝿」

 衝撃の本でした。ここまで書くか、といった人間の闇の部分を丁寧に考察し、本を読むことで、哲学書を読むことによって、人間を知ることによって、作者が寛解してきたものを追体験したような感覚が残る自伝的エッセイでした。一昨年、白石一文氏の小説「君がいないと小説は書けない」を読んだときにも赤裸々な自伝的な告白にびっくりしましたが、エッセイの形態をとっている分、この本の自伝部分はより強烈でした。

 ☆哲学の

もっとみる
わたしの本棚135夜~「楽隊のうさぎ」

わたしの本棚135夜~「楽隊のうさぎ」

 去年、重版で25刷になったというロングセラーです。わたしが持っているのは平成22年の15刷の値段です。中沢けい先生というと、「海を感じる時」の衝撃が大きく、大ベストセラーですが、こちらの「楽隊のうさざ」もまた、吹奏楽部の中学生を描いた成長物語として、不朽の名作です。

☆「楽隊のうさぎ」 中沢けい著 新潮文庫  550円+税

 主人公奥田克久くんは、小学生のころ、いじめられた経験があり、引っ込

もっとみる
照屋華子 ・ 岡田恵子「ロジカル・シンキング」

照屋華子 ・ 岡田恵子「ロジカル・シンキング」

年末年始、9年前に読んだ照屋華子 と 岡田恵子 の「ロジカル・シンキング」を再読した。

論理学を駆使して考える方法の解説でもないし、論理学そのものの解説ではない。ビジネスの中で与えられた課題に対して結論を「ロジカルに」まとめあげる方法論を解説している。

ここでいう「ロジカルに」というのは説得力があり納得できる方法であることだと理解できる。すなわち、コミュニケーションする相手との関係を考慮し相手

もっとみる