わたしの本棚135夜~「楽隊のうさぎ」
去年、重版で25刷になったというロングセラーです。わたしが持っているのは平成22年の15刷の値段です。中沢けい先生というと、「海を感じる時」の衝撃が大きく、大ベストセラーですが、こちらの「楽隊のうさざ」もまた、吹奏楽部の中学生を描いた成長物語として、不朽の名作です。
☆「楽隊のうさぎ」 中沢けい著 新潮文庫 550円+税
主人公奥田克久くんは、小学生のころ、いじめられた経験があり、引っ込み思案の中学生。入学後、誘われて吹奏楽部に入部することになります。
中学入学前の春休み、花の木公園で、克久は、うさぎを見ます。それから、克久の心の中にうさぎは住み続けます。かわいらしいのは、このうさぎ、時には裃を着て、白足袋をはいています。
少年期の多感な時期に音楽に夢中になり、全国大会を目指す毎日。父親の不倫疑惑があったり、母親と福岡に旅行したり、田中さんへの思いがあったり。いじめ子の相田くんから、嫌みなことを言われたりされたりもしますが、没頭するものができた克久はあまり苦にならなくなります。いじめている相田くんの方の問題点、時間の使い方、仲間たち、教室内でのバランスのとり方など、伸び盛りの中学生の成長を自然体で爽やかに描いた小説です。
2013年、鈴木卓爾監督で映画化もされました。
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