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【料理小説】ゆりこさん、今日のごはんは?#5 肌寒い日の味噌煮込みうどん

「自分を大切にする」ために、まずは昼ごはんを大事にすることにしたゆりこさん。
今回は味噌煮込みうどんを作ります。
第一話は
こちら

#5 肌寒い日の味噌煮込みうどん

夏が終わったなぁ、と思っていたら、あっという間に肌寒くなった。
気がつけばもう、冬だ。
秋はいつも「気持ちがいい季節が来た!」と思ったら通り過ぎている。
こういう寒い日は、温かいものが食べたい。

そうだ。
味噌煮込みうどんにしよう。

愛知出身の私にとって、味噌煮込みうどんは家庭の味だ。
我が家の味噌煮込みうどんは、ちょっとトロッとして甘い。具材はなんでもいい。ただし、卵は欠かせない。

冷蔵庫に残っていた半端な野菜たちを次々に刻む。
ザクザクと適当に切っていくのは気持ちがいい。
味噌に合わない野菜なんてない。…たぶん。

鍋に少なめの出汁、みりんを入れて火にかける。
沸騰する手前で火を弱め、味噌を溶き入れたら、豚肉と野菜を鍋へ。
肉は鶏肉でもおいしい。その場合は、野菜を入れる前にちょっと肉に火を通す。
丁寧に作るときは、昆布と鰹で出汁をとるけれど、1人ご飯の時は出汁パック。パックをピリッと破いて、中身を水の中へ。出汁の中身まで食べるのが私流。

肉と野菜に火が通ったら、レンジで解凍しておいた冷凍うどんを鍋へ。
水分が少ないから、底にくっつかないように注意して、ほぐしながら入れる。
うどんが浸ったら、卵を投入。蓋をしてしばらく煮込む。
味噌のいい匂いと、ぐつぐつと煮える音に、だんだんお腹がすいてきた。

卵に火が入ったら完成。
ぐつぐつと煮えているお鍋のまま、熱々を頬張る。
れんげにちょっとずつ乗せて冷ましながら、煮込まれてトロトロになった野菜たちを食べると、ちょっと甘い味噌味が口いっぱいに広がる。
食べているうちに、だんだん汗がじんわり出てきた。
寒い時は、鍋にかぎる。

昨日見ながら、気がついたら泣いていたドラマをぼんやりと思い出す。

無理なことってあるんだよ。
無理してやったことって、無理なことなんだよ。

silent  第3話

私がしていたことは、無理なことだったのかもしれないな、と思う。

頑張って当然だと思っていた。
辛くて当然で、結果を出せていない私は怒られて当然だと思っていた。
どうにかしたかったけれど、どうすればいいかわからなくて、暗闇にいるようだった。

当時はそう思えなかったけれど、時間が経つにつれて、そもそも全部「無理なこと」だったんじゃないか、と思えてきた。
達成不可能な目標だったと、今ならわかる。
もっとちゃんと、話し合えたらよかったのに。

無理してやってしまったから、心が根を上げてしまった。
無理はやっぱり、無理だった。
自分に優しくなかったなぁ…と思う。自分の悲鳴が、いつからか聞こえなくなっていた。

この人生の夏休みは、私が私を優しくする練習期間なんだろうと思う。
何が好きで、
何が楽しくて、
どうありたいのか、
ゆっくり探そう。ゆっくり見つけよう。
誰かから見た私じゃなくて、私自身の中から。
そういえば、そんなこと、これまでしたことなかったかもしれない。

次回は、消えたい日のラーメン!

この物語はフィクションです。

肌寒い日の味噌煮込みうどん

出汁パック …  1個 (代わりに昆布と鰹の合出汁でもOK!)
水 … 200ml
味噌 … 大さじ1.5(赤味噌がおすすめ)
みりん … 大さじ1
野菜 … 白菜、ねぎ、椎茸、かぶ など。オススメはみょうが。1種類片手で掴める分くらいがちょうどいい。
豚肉 … 50g(鶏肉でもOK!その場合は野菜の前に鶏肉を入れてよく煮込む)
油揚げ … 1/2枚
冷凍うどん … 1個
卵 … 1個


  1. 鍋に水を入れる。出汁パックの中身を出して、水に入れ火にかける。

  2. 沸騰したら、みりんを1に入れる。

  3. 火を弱火にして味噌を2に入れて溶かす。

  4. 味噌が溶けたら、うどん以外の具材を入れて蓋をして煮込む。

  5. 電子レンジで冷凍うどんを解凍しておく。

  6. 肉に火が通ったら、うどんを加える。底にくっつかないように注意。水分が足りない場合は少し水を足す。

  7. うどんが汁に浸ったら、卵を入れ、蓋をして煮込む。

  8. 味を見て、足りないようなら味噌を足して、完成。あつあつの鍋のまま召し上がれ!

※味噌によって塩加減が違うので、分量に限らず味見をして調整してください。具材はなんでもいいですが、油揚げはあるとおいしいです!


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