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短編【ホテルのある風景 vol.3】 鎌倉わかみや(神奈川県鎌倉市)

「俺だけの夏の思い出」  オーシャンビューの温泉宿 「鎌倉わかみや」(神奈川県鎌倉市) 主人公は、40代のサラリーマン。実在するホテルを舞台にした、ビジネスショートストーリーです。 産業機器メーカーの営業マンであり、4人家族のパパでもある倉田恵司。第3話は、神奈川県の鎌倉を訪れます。 ************************* 江ノ電の由比ヶ浜駅から、朝来た道を戻る。 鎌倉在住の会社員に見えているだろうか。夏休みに入ったばかりの子供たちを連れて訪れたのは「鎌倉

    • 短編【ホテルのある風景 vol.2】 湯どの庵(山形県鶴岡市)

      「なにも求めず 旅にでる」  木に囲まれる宿 「湯どの庵」(山形県鶴岡市) 主人公は、40代のサラリーマン。実在するホテルを舞台にした、ビジネスショートストーリーです。 産業機器メーカーの営業マンであり、4人家族のパパでもある倉田恵司。第2話は、山形県を訪れます。 ************************* タクシーの中。そっと目をやると、Chrisは満足げにシートに収まり、窓から見える田んぼを眺めている。 取引先の品質保証(QA)担当であるChrisは、アメ

      • 短編【ホテルのある風景 vol.1】 ソラノホテル(東京都立川市)

        「空という絶景を前に、自分に帰るひととき」  SORANO HOTEL(東京都立川市) 主人公は、40代のサラリーマン。実在するホテルを舞台にした、ビジネスショートストーリーです。 産業機器メーカーの営業マンであり、4人家族のパパでもある倉田恵司。第1話は、東京都立川市を訪問します。 ************************* 植物がぼうぼうと生えている。だが、高低差のある草木に見慣れぬ鮮やかな花々は、明らかにプロが手掛けた庭だろう。 この街にはよく来るが、い

        • 瞑想とカラオケ

          カラオケで歌おっと。そう思った歌は、すごく何度も聴いて歌う。今とても気に入っているのはAIのアルデバラン。 ひとりカラオケのように心を込めて歌っているとすっきりするのは、上手に歌おうと集中して他のことを考えないから。邪念は脳みその端っこに追いやられる。瞑想に近いぞこれ、と思ったのですが違いますでしょうか? 私の瞑想は、集中できないなぁ、か、寝てしまった、のどちらか。後者の場合、我慢しようとするせいなのか、ぐらんぐらんと揺れて寝てしまい、誘導してくれている人に申し訳ないなぁ

        短編【ホテルのある風景 vol.3】 鎌倉わかみや(神奈川県鎌倉市)

        • 短編【ホテルのある風景 vol.2】 湯どの庵(山形県鶴岡市)

        • 短編【ホテルのある風景 vol.1】 ソラノホテル(東京都立川市)

        • 瞑想とカラオケ

          パラレル5秒劇場

          コーヒー豆をミルに入れる計量スプーンが、調理台からゴミ箱に落ちた。 ワールド1 あたし:なんでわざわざゴミ箱に落ちるんだよ! スプン:知らねーよ、おまえが落としたんだろ! ワールド2 あたし:あ、ごめんね、落ちちゃった。 スプン:いいの、手が滑っちゃったね。 どっちも存在している。

          パラレル5秒劇場

          恋は恋は恋

          昨日のごきげん。 コーヒーの準備をしながら、私は歌っていました。 谷山浩子さんの「恋するニワトリ」です。 庭のニワトリが屋根の風見鶏に叶わぬ恋をしている、切ない歌。 気づくと、コーヒーミルを両手に持ってガリガリしながら、 流しに向かって感情こめて歌っていました、膝の屈伸でリズムをとって。 ごきげんって、こういうことだな、と自覚しました。 こっこっこー、ここーここーここー、こここ、♪

          恋は恋は恋

          地に落ちた私と

          帰ると、落ちている私の名前。広告で埋まった郵便受けからはじき出された喪中はがき。落ちるなら、チラシの方にしてほしいな。 ランチ難民で歩き回った後、初めて入ったお店。いただいたのは「鹿肉のオニオングラタンスープ」。さっぱりめの牛肉のような、ほろほろほぐれる繊維質のお肉と、大きい舞茸にセロリや人参、バゲットの上のチーズ。よく伸びて、ガムみたいに噛んで美味しい、オニグラスープのあのチーズ。 こじんまりした店内。カウンター越しに見える、あるべきものがあるべき場所にきっちり備わって

          地に落ちた私と

          見上げる月

          私が月を見上げると、 月は星を見上げていた。 ひときわ明るい大きな、星、だよね? テールランプをチカチカさせ、 その横を飛行機が通り過ぎた。 11月11日、上弦の月。 私は月を見上げ、月は星を見上げていた。

          見上げる月

          落ちた豆、拾うな

          勘の良い人なら気づいたでしょうか。タイトルが「掘った芋、いじるな」と似ています。 ※ ご存じない方のために説明すると、かつて英語が今ほど身近ではなかった時代、英語初心者のために先人が編み出した「日本語を言うと英語として通じる」シリーズのひとつ。  掘った芋いじるな = What time is it now? 芋とは全然関係ない話。 私の部屋にはコーヒー豆が落ちています。今、3粒。コーヒーミルにカバーがなく、ミル自体が古いせいか、挽いているとガッと引っかかって豆が飛び

          落ちた豆、拾うな

          ゆ の旅

          久しぶりの温泉でした。旅自体が久しぶり。 自分じゃない部屋で寝泊まりするのって、気分がいい。たいてい、広い部屋を満喫したくて、ソファに机にテーブルに、あちこち座って落ち着かない。今回もそんな感じ。 温泉は、夕食の後と朝食の前に1度ずつ。柄が選べる浴衣に、中にタオルとビニール袋が入ったかご。ホテルの至れり尽くせりがありがたい。 美術館で足湯も。散々歩き回った疲れを癒すため、鑑賞前にソフトクリームで一服。大きな風神・雷神の壁画を眺めながら。 いい湯、だったな。

          ゆ の旅

          金木犀と竹と楓と

          朝風呂のジャグジーは露天。 朝のひんやりした空気と青空に、いいことありそう。 オレンジ色の花をつけた金木犀。 隣に竹、そのまた隣に楓が立っている。 今の主役は金木犀、春から夏は青竹、深秋は紅葉の楓。 露天風呂も四季折々。 旅館の朝ごはん、的なホテルの朝食。 隣の年配のご夫婦の会話が耳に入る。 「戸を開けたら金木犀の香りしてたもの」と奥さま。 窓から見える金木犀を見て。 私もぼんやり窓を見て、気づきました。 金木犀、の隣に竹、そのまた隣に楓。 地下1階の露天風呂の真上だよ

          金木犀と竹と楓と

          ブレンドコーヒー、と言えば

          コーヒー豆はストレートを買うことが多いですが、たまにブレンドも買います。 先日、初めてのお店でブレンドの豆を買いました。 ブレンドコーヒーとは、厳選したコーヒー豆を絶妙な割合で「ブレンド」して焙煎するものと思っていました。そうではなく、焙煎した豆を「ブレンド」するのですね。 封を開けて、見たことのない光景にびっくり。濃淡色々な豆が混ざっています。今まで、こんなグラデーションには気づきませんでした。店内をキョロキョロしながら、時間かかるんだな、と思っていたのですが、そうい

          ブレンドコーヒー、と言えば

          ラッキーカラーのオレンジ

          終わったと思っていた金木犀が、今日は目につく。もちろん鼻にも。いい香り。今まで見たことがないぐらいどでかい木も満開。小ぶりな生垣からも、花がこぼれてる。ある庭に、金木犀の木。奥には柘榴の実がいくつも、さらには烏瓜もぶら下がっている。 たわわ過ぎる柿の木は、そこかしこでぼとぼと実を落とし、キバナコスモスの花畑は大小、あちこちで群れて揺れる。今日はオレンジ系の日だ。そう思うと、歩けば歩くほどオレンジに当たる。パン屋や整骨院の看板、新築分譲中の旗。 たどり着いたスタバで頼んだの

          ラッキーカラーのオレンジ

          3夜連続の、映画デー

          映画を観た。Amazonプライムで。 ナイブズ・アウト 007 スカイフォール ブドウ畑で離さないで 面白かったー、と嬉しくなるのだけど、寝るのが遅くなるのが難点。 昼に観始めれば良いのか! 3つ目、Love on the Vines が原題。収穫の手伝いにいつか行きたい。広々としたブドウ畑で作業に没頭、皆んなでワイワイ夕飯を食べワインを飲んで、翌日また作業に没頭、という映画を前に観た。 今の気分:ブドウ畑で働かせて 今宵の映画鑑賞はいかに。

          3夜連続の、映画デー

          青い眼

          われわれ人間が「青い眼」と言うとき、 北欧の人たちの、水色に近い薄青を想像する。 群青色とか濃紺を思い浮かべることは少ない。 AIには「青い眼」の認識を、 青色リストから選んであげてるのだな。 全て、データとして食べさせてるはずだ。 ナイブズ・アウト視聴中。 ダニエル・クレイグの眼が青い。

          青い眼

          コアラのように

          ユーカリが枯れる。 オーストラリアの話じゃない。あたしん家の話だ。 花屋で購入したセットにユーカリが入っていた。どうもユーカリは、ぐんぐん水を吸うようだ。負けじと水を入れていたのに、花瓶にいながらカサカサ音がする枯れ木に。なぜだろう。長さを調整する時に切り落とした細い枝3本だけが生き残っていて、みずみずしい。 私のエネルギーに当てられて枯れてるのか? コアラがそばにいたなら、こんなことにはならない? コアラのように眠れというお告げかもしれんぞ。 寝る間際に、ふと思う。

          コアラのように