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いつでも変わらずに帰れる場所があるということ

まん延防止策が解除され、春休みということもあり、ビジネスホテルも祭りのような賑やかさです。


今日は休日でした。


閉店するっていうと、めったに来ない人とか、なんなら初めてくる人とかでごった返すお店。
スンとした目で見てたけど、でも、「たまにしか行かないけど、そこにある、いつでも行ける」っていうお守りみたいな場所は、私にもいくつかあります。

今日はそんな話。


高校生の頃、管弦楽部に所属していたのですが、ある後輩が顧問になったと耳にし、なんということだ、どういうことだと、今日は定期演奏会に駆けつけてきました。


受付で記帳するときに、卒業年がパッと出てこなくて、長い年月が経ってしまったなぁと、馬鹿笑いする私は、高校生の前ではすっかりおばさん。


現役の部員で知っている子はひとりもいませんが、指揮をする指導者の先生は、私のときと同じ。実に30年以上も続けていらっしゃいます。


顧問になった後輩もすっかり三十路の教師になっておりましたが、私の中の彼女は10代のあの日のままなので、思わず「大きくなったね」と言いそうになったり。


他にも見知った顔をチラホラ見かけ、一体何年振りに会うかわからない同級生とも、スルッとあの頃に戻れる不思議な優しい感覚。


演奏会では、先生の変わらない指揮、懐かしい音楽のおかげで、忘れてしまっていた教室や仲間とのシーン、匂いとか、あの頃の気持ちとか、あの人この人、いろんなことが鮮やかに蘇ってきて、いちいち涙が。



少し話はそれますが、私が4年間働いていたゲストハウスは、私が辞めてからまもなく閉店しました。社長は、旅人が戻ってきたときに宿がなくなっていたら悲しいだろ、って言っていたのに。

併設していたBarにはたくさんの常連さんがいたので、辞めてもそこに行けば誰かしらに会えると思って、連絡先を交換せずにいた人も多いので、今は散り散りになって、すっかり疎遠に。
いろいろ疲れてしまったときに、きっと癒しの場になってくれていただろうに。
閉店して2年経ちますが、いまだ心に隙間風が...

寂しく感じていたときに、今回の演奏会のお知らせがあって嬉しくなり、本日お花見日和の昼下がり、母校に足を運んだのでした。


普段からストレスは上手にリリースしているつもりですが、短時間でぷるんぷるんに潤った心は、さながら開封したてのフェイスパックのよう。あぁカッサカサだったんだなぁと現実を知る。


それは私だけではなかったようで、数年ぶりに再会した当時一番仲良しだった友人は、小さな子どもも連れて元気そうに見えたのですが、帰宅するとその子がLINEで、職場でずっとパワハラといじめに遭っており他部署に飛ばされたが、今日は会った瞬間にあの頃に戻れてだいぶ元気が出た、と打ち明けてくれました。


会わないうちにみんなそれぞれ、幸せなことも悲しいことも、たくさんあるんだろうけど、久々に顔を合わせて笑い合うだけで一気に元気になれるような、何年経ってもそんな場所があるって、当たり前じゃなくてすごく尊いことなんだなぁと、夕暮れ時に遠い目で浸るのでした。


舞台で演奏をしている現役生たちは、OGがこんなことを感じてウルってるなんて思いもしないでしょうし、「先輩方が築いて守ってきた伝統をこれからも引き継いでいきます」という挨拶も、彼女たちにとっては定型文なのでしょうが、私にはちゃーんと響きました。


私も若い子たちを応援しよう。
そして、私は小さな宿を始めることが目下の目標ですが、始めたらずっと続けることは義務でもあるのだな、とも思いました。

なんか、おばさんになるのも悪くないな。


あぁ、春ですねー

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