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宿をひとりで切り盛りするには

おひとり様のための小さな宿「れんげ荘」の開業を目指しているのですが、その運営はワンオペ、つまり、ひとりで切り盛りするつもりでいます。


ゲストハウスで働いていた頃、接客から、清掃から、運営管理まで、何もかもが楽しくて、やりがいもあって、寝ても覚めても仕事のことを考えていました。



しかし、会社の発展のため、自分は接客の最前線から退いて、他のスタッフとの折り合いもつけなければならないという、もどかしい経験もしました。



100%自分が納得できる宿をつくりたい。
1から10まで自分が接客に関わっていたい。
ひとりで切り盛りしたい。


どうしたらいいのか、あれこれ考えてきたことを書きます。


4日間だけワンマン運営をした経験

2019年春、世の中はどこも人手不足でした。

私の働くゲストハウスも、アルバイトの大学生スタッフの子たちの卒業や就活が重なり、どう考えてもシフトが組めず、4日間ほど私一人で働くことになったことがあります。

この頃は、ゲストハウスブーム&ビジネスホテルも巻き込む価格競争に負けて、閑古鳥が鳴いていました。本来なら満室続きの桜のシーズンなのに、予約は確か1日10人にも満たなかったと思います。

だけどそれは、ワンマン運営も不可能ではないタイミング。

かねてから、朝から晩までひとりで宿をまわしてみたいと思っていた私は、人手不足に焦るどころか、内心、チャンスが巡ってきたと嬉しく感じていました。
いつか開業したい「れんげ荘」のシミュレーションができるぞ、と。


そして、嬉々としてスタッフルームに住み込み、朝8時から夜10時まで、くるくると、あらゆる仕事を全てこなしました。(清掃は、専属スタッフも手伝ってくれました)

通常業務だけでいいのに、はりきってスパイスカレーを作ってみたり、海外ゲストが多かったので書道を一緒にしてみたり。

普段は22時に消灯して、Barも完全閉店するのですが、私は帰る必要もないので、ゲストやBarのお客さんとおしゃべりして夜が更けていきます。


そんな4日間をすごした結果・・・
続けるのは無理だと思いました。

仕事が辛いというのではなく、毎日14時間以上も休む時間がなくONの状態が続くからです。

まぁそりゃそうでしょ、って話(笑)

4日間だからできましたが、これが本当に自営で、何年も何十年も続けるのは、体力的に無理だなと、至極当然のことを身をもって知りました。


でも、楽しかった・・・
朝から晩まで宿にいると、ゲスト全員のことをすべて把握できるし、談笑したり、作ったごはんを一緒に食べたり。
それは、単純に客と店員の関係を超えています。

それがこういう簡易宿泊業の魅力だし、私にはこれ以上の仕事はないと再認識した経験でもありました。

工夫すればできないことはないぞ、と思いました。


「規模」について

私が働いていたゲストハウスは、54人収容できました。
そのため、1日のスタッフの人数は閑散期でも3人、繫忙期では5、6人は必要でした。

その経験上、ひとりで切り盛りするには、ゲストは10人が限界です。
でも毎日10人というと難しいかも。
毎日余裕をもってもてなせるのは5人くらいが現実的かな。
物理的に清掃業務のことを考えても然りですが、
ゲストの滞在中に名前や会話を憶えて呼びかけ、しっかり会話もしたい私は、脳のキャパも考えたいところ。


「休憩時間」について

4日間のワンマン運営で確信したのは、私に昼寝は不可欠であること。
振り返ってみると、これまでどんな仕事をしていても、休憩後は15分から30分の仮眠をしてきました。
よく言われている「仕事のパフォーマンスをあげるため」とかじゃなくて、単純に眠いからなんですけど(笑)

4日間のワンマン運営中は、アドレナリン効果で昼寝しなくても乗り切れていましたが、今後ひとりで宿をして、長時間労働が日常になると昼寝の時間は必須です。

では、その時間をどう確保するか。

規模の小さいゲストハウスは、チェックアウトからチェックインまでの時間は、連泊者以外の出入りができないようにしているところもあります。
例えば、10時〜15時とか、11時~14時とか。

それに対して、私が働いていたゲストハウスは、昼の施錠時間はなかったので、アウト後やイン前にゲストは荷物を預けたり、共有スペースで休憩したりできていました。

<ゲストの目線で考えると>
実際ゲストハウスに泊まったときに、荷物を預けにチェックイン前に宿に行っても、閉まっていて「なんでよ!」となったことが何度かあります。
私は荷物は少ない方ですが、それでもお泊り道具というのは、夕方までウロウロするには重い。それに、荷物を預けるだけでなく、一息つきたいし、「これからお昼食べに行くんですけど」って情報収集もしたい。

<宿目線で考えると>
たしかに清掃が終わってしまえば、チェックインがはじまるまでのアイドル時間は、唯一の休むチャンス。
ON/OFFをはっきりするために、施錠するのは致し方ない対応なのは、よくわかります。



つまり、

完全に閉めてゲスト対応しないということは、したくない

でも、

絶対に30分の昼寝時間は確保したいので、防犯上カギをかける必要がある



相反するこの条件を両立するためには、アウト済のゲストとイン前のゲストのだいたいの予定を知っておく必要があります。
そしてゲストの訪問がないタイミングを見計らって、休む。

こればかりはやってみないとわかりませんが、この昼寝問題は、長く続けるために中途半端にするわけにはいきません。

昼寝時間の確保について、真剣に考えてみました(笑)


「定休日」について

宿泊施設って、デフォルトでは定休日ってないですよね。
それについて議論をするつもりはないですが、私はしっかり休みの日を設けようと思います。

これまで、仕事を掛け持ちした過去の経験から、休まず働くのは無理だと悟っているからです。

甘えではありません。どんなに大好きな仕事を生業としていても、休みなく働くのは持続可能ではないです。
実際、4日間のワンマン運営を経験してみて、長い拘束時間が変えられない分、なおさら休日は必要だと確信しました。


しかし、宿の定休日を考えるのは難しいです。

たとえば、火・水曜日を定休日にするとします。
だからといって、月曜の夜から休めるわけではありません。
月曜に泊まったゲストは火曜にチェックアウトするからです。それに、火曜のアウト後に荷物を置いて出かけて、夜まで戻ってこないとも限りません。

ですが、月曜に泊まったゲストだけ、チェックアウト後にもう出入りできないようにするつもりはありません。

そうすると、実質の休みは水曜日だけ。
2連休がほしいと思うと、3日間休業しなければなりません。

開業して、毎日ゲストがいると自惚れるなよ、開店休業かもしれないぞって感じですが、毎日満室を目指すことを想定すると、自己メンテナンスのために少なくとも週休1日、隔週で2連休が必要です。



チームワークの喜びや感動を忘れてはいない

ひとりで働きたいと言っていますが、「ソロ活は好きだけど、大勢でわいわいするのも好き」なのと同じです。

複数人で働くとささいなことでぶつかったり悩んだり、人を雇用するってすごく大変だし面倒なことが山ほどあります。
だけど私は、それ以上に、仲間と力を合わせて働いて得られる喜びと感動も知っています。それは、ひとりで働いていたら絶対に味わえないものです。

それでも、私はひとりで切り盛りする挑戦をしてみたいのです。
「れんげ荘」という小さな宿を生業として、まずは自分が食っていけるようになりたい。


いけると思ったタイミングで、いつか、仲間を募って正当に雇用できるようになれたら最高だなと思っています。

ほぼ確実に、家族やパートナー、友人の手を借りるだろうと思うので、「ひとりでやる」なんて笑っちゃいますし、なんならまだ開業準備中とも言えない段階なんですけどね。

大金持ちになりたいわけじゃない。
好きな仕事で細く長く、無理なく、
小さな幸せに囲まれて生きていきたいだけ。
それが一番尊いことなんだけれども。


こんなんじゃ銀行も金融公庫もお金貸してくれないだろうなー、って燻り続けているわけです。

今日もお付き合いいただき、ありがとうございました。

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