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過去と向き合うこと

不登校や、引きこもりの生徒と関わる中で
わたしが大切にしているのは、「傾聴」です。
一番してはいけないことは、
その原因を「探る」ことや、「聞き出す」ことです。

先日関わった男子生徒は極度の引きこもりで、
ご両親も困り果て限界でした。
その生徒と関わり始めて半年後、突然
「僕が嫌なことから逃げ始めたのは、4歳の時からなんです。」と、
幼少期の話をしてくれました。

教育熱心な両親のもとで育ち、
4歳で、小学4年生の算数を解く塾に通わされ、
分からなくていつも隠れて、答えを見て解答していたこと。
両親の悲しむ顔が見たくなくて、
塾をやめたいと言えなかったことを涙ぐみながら話してくれました。
中学受験で進学校に合格したものの、勉強についていけなくなり不登校に。
かつて悲しませないと思っていた両親は悩み苦しみ、
自責の念に押しつぶされながら気持ちを閉ざし
社会との関わりも経ち、引きこもったのです。

愛のある期待は、時として
子どもの負担になります。

「あなたの行動ひとつですべてが変わる。過去と向き合い、わたしに話してくれた勇気があれば、あなたは変われる。」
傾聴を続ければ、自分で過去と向き合い、
閉ざしていたことを話すことでを前を向ける時が来るような気がします。

彼は来年度、大学受験を目指すため
今は通信制高校の卒業に向け、頑張っています。

傾聴する存在がいるということ、
継続的に自分を認める存在がいるということ、
そして背中を押してくれる存在がいるということ、
わたしはその「存在」になれれば、と思い
日々生徒と関わっています。


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