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「理想」を手放す

人は欠点があっても好かれる

多くの人に共通することかもしれないが、私は今までずっと「人にできるだけ良い自分を見せたい」と思い続けてきた。自分の中に「こうあるべき」という「理想の自分」があり、そこに行き着いていない、自分を責めてきた。そんな中で、自分がそこそこ頑張ったかな?と思う時でも「思ったほど」評価されず、大したことなかったかな、とガッカリすることもあった。

一方で、自分としては「それほど頑張っていない、どちらかというとダメな」自分を出した時に共感してもらったり、励ましのフィードバックをもらうことがあった。「頑張ったのにどうして?」「頑張っていないのにどうして?」という疑問がずっとあったのだが、この本を読んでその謎が解けた気がする。本書は赤羽雄二さんがで強くお薦めされていた本で、私が所属している赤羽さんのオンラインサロンでも非常に多くの方が読み、感想をシェアされている。

『自分に気づく心理学』

この本では、他人が自分を好きになってくれるというのは「無条件」のあなたを受け入れるということであり、たとえあなたに欠点があるとしても、それを理由にあなたを嫌いになるわけではない、ということが書いてある。つまり、他人にとってはあなたの欠点は「好きなあなた」の嫌いな点なのである。それに対して、あなたは、他人が評価してくれたということを、「嫌いなあなた」の好きな点(あなた全体の一部)と理解してしまう。これは本書を読んで私が個人的に一番刺さった箇所だ。

両者は一見些細なようで大きな違いだ。他人の評価を「嫌いなあなたの好きな点」ととらえてしまう「あなた」はいつも苦しい。なぜなら、これ以上嫌われないように、次々といいところを見せないと見捨てられる、軽蔑されると錯覚し、苦しくなってしまうからだ。人はその「いいところ」を見せるために色々ともがき苦しむのだが、それは決して「相手が期待していること」ではない。相手が期待していることは、単純に「そのままの(等身大の)あなた」でいることなのだが、この両者の感覚のずれが上述のような現象を生み、「頑張っているのに、評価されない」「頑張れば頑張るほど、相手が遠ざかっていく」という事態に陥る。

「見えない理想」からの解放

先日、以前から気になっていた「フラクタル心理学」の白石美帆さんの個人カウンセリングを受けた。いつも何か「達成できていない」感を持ってしまう自分を変えたくて。今回わかったことは、私の場合、幼少期から、自分は「何か見えない理想」をずっと持ち続けていた、ということ。これは他人に対しても、自分に対しても、であり、等身大の自分や人をそこに当てはめて、その通りでないことに不満を持ったり、劣等感を持ったり、ということを繰り返してきたようだ。

もちろん、うまくいかないことばかりではなかったし、今は比較的幸せな人生を送ることができているとも思うのだが、心の中にいつも目に見えない「渇望感」があった。それは今思うと、その「理想」と現実のギャップに存在していたのだと思う。そのせいなのか、私はいつも身体に力が入っていて、緊張感を抜くことがうまくできない(実際に私はいつも肩に力が入っていると言われる)。

先日読んだ『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー 」の教え』にも「ありのままの自分でいること(普通であること)の勇気」を持とう、ということが書かれている。「いつまでも他人の評価ばかり気にしている(承認欲求)と、『他人の人生を生きることになる』」というフレーズにドキッとした。せっかくこの世に生まれてきたのだから、「他人」ではなく、「自分」の人生を生きたいに決まっているではないか。


この世界はあなたの思考の投影

「フラクタル心理学」によると、世の中の事象は全て自分の思考が作り出しているという。自分の深層意識が目の前の相手にも投影される。これは私自身の例だが、思春期の娘がわがまま放題で、親の自分達を悩ませている、と感じていた。では、娘がなぜわがまま放題と感じるのか~これは私自身が「いつも話を聞いてあげる、やさしい、完璧な母」を理想像として描いているから。

できている、いないは別として、私は幼少期から「母とはこうあるべきものだ」という思い込み(目に見えない理想)があったようだ。娘にも私のその思考が投影され「母はこうあるべきだ」と思い込み、過大な要求をしている「ように見える」のだと。そして私はその理想の姿になれなくて落ち込むのだが、この思考がある限り、(私の目に映る)娘の態度は変わらないらしい。自分がこの「目に見えない理想」を手放した時、娘にもそれが反映されるはずだという。

この現象は親子関係だけでなく、あらゆる人間関係、世の中の事象などに反映される。フラクタル心理学については、美帆さんの『ひとを変える魔法 フラクタル心理学で過去と他人を変える法』を是非お勧めしたい。美帆さんは音声型SNSのClubhouseにも時々登場されるが、いつも的確に状況を観察し、嫌みなくサラッと心理状態の分析ができる方。美帆さんとお話ししていると、本当に「魔法が解けて」いくような感覚を感じるから不思議だ。

自分を受け入れる

よく「自分を好きになる」ためには「自己肯定感」を上げることが必要といわれる。一方、自分も含め「自己肯定感が低い(低かった)」という人はあまりにも多い。では、自分を肯定できる人はどんな人かというと「(欠点があっても)ありのままの自分を受け入れられる人(自己受容できる人)」だということが、一連の本を読んでわかってきた。『嫌われる勇気』でも、「自己受容」の大切さについて触れているが、「自己受容」なくしては自己肯定はできない。そしてこれは上述の「理想を手放す」こととも繋がる。

「欠点のある自分」をまず自分自身が受け入れてあげること、「完璧でないと好かれない、愛されない」という思考を手放すこと、自分にも、人にも「こうであるべき」という思考を手放すこと、これが私の当面の目標である。これが達成できたら、きっと私の残りの人生は、もっと楽で生きやすくなるはずだ。

『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』

『ひとを変える魔法 フラクタル心理学で過去と他人を変える法』


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