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尾道にいました。

 というわけで1月29日〜2月3日まで、広島県は尾道のみはらし亭というゲストハウスに泊まっていました。にゃんしーさんに誘われて、尾道の古民家再生計画のなかのひとつ、「ライターズ・イン・レジデンス」という企画にのっかって、これは尾道で創作をするなら光熱費だけで泊まって良いという創作家の為の企画であり、古い民家をゲストハウスとして使うという形でも実現していたわけです。

 みはらし亭は坂の上。というか、尾道は坂(若しくは階段)のうえと、平地にひらりと分かれています。平地の方にゆくと、渡し船があって、向島にゆけますね(去年向島に逃げた脱獄囚もいましたがそれは兎も角)

 1日めの到着後と2日め、3日めは、美味しいものを求めて夜になると坂を降り(私は足が悪いのでひーひー云う)お店で食事をして階段をぜいぜい云いながら登り帰りました。ゲストハウスは8畳間をふたりで使わせていただいて、自宅のリヴィングより広いし、なんなら4畳くらいしか使わずにあとの畳は遊んでいました。

 尾道といえば志賀直哉、そして林芙美子、ほか文学ゆかりの地です。本当はそのあたりのツアーにゲストハウスの方から呼ばれていたのですが、そのへんのゆかりの地は大体訪問済みなので、遠慮しました。部屋でペンばかり動かしていましたね。にゃんしーさんは着々と原稿を進めるのですが、私はひとが(にゃんしーとかいうひとであっても)1.2mの距離で書きものをしているときに自分の小説を書くのはわりとごめんですので、300字ssとかゼンタングルとか描いて、夜中に目が覚めたらにゃんしーさんが起きるまでのあいだ、少し原稿を書きました。ポメラとMacBook Airです。身体がかちかちになるので、11時になると裏庭でラジオ体操をしました。

 ただ、正直に云うと、原稿を書かせて貰えるというより、志賀直哉のゆかりの地を訪ねてみましょうと誘われるような、悪いことをいうと部屋は夜は薄暗く(ノートに字を書く電灯ではないですね)コピー機は坂をくだって町のコンヴィニにゆかなくてはならず、あと私のiOS、MacBookはwi-fiを安全なWEPパスではないと判断して受信してくれなかったので、これは原稿を書けというより、尾道を感じろということなのだな、ということですね。その点ではかなり良い感じだったと思います。

 と、ゆかりの店というわけでもないのですが、お薦めのお店。

1日目「やまねこ」
 12年ぶりに来ましたが美味しい雰囲気は健在。ピザやサラダもよかったのですが、牡蠣のアヒージョにやられました。もう尾道終了ってくらい美味しかったです。8粒くらい詰まった牡蠣のアヒージョ680円は安過ぎた。

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2日目「千光寺」「彩工房」「牛ちゃん(尾道ラーメン)」

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 原稿を夕刻まで書くと、階段を上がって千光寺へ。にゃんしーさんはお参りをしたりおみくじを曳いたりしていましたが、私は宗教上の差異の為、紫蘇ジュースをのんで景色を観ていました。千光寺は17時までで、「お抹茶あります」という看板のある茶店は、実は冷たい紫蘇ジュースとか飴湯だとか色々あります。全部看板を出したらもっとひとが集まるのでは? こちらの茶店のお姉さんは合掌してお話してくださる信心深い方で、私も宗教上のなんちゃらは別として丁寧に言葉を交わせて気持ちが良かったです。勿論、風景が良い! 尾道の頂上にだいぶ近いです。ロープウェイが上がってくるのが見えます。

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 辞して坂を更に登ると、この町の特色、人懐こい野良猫がいました。「ねこさんねこさん」と声を掛けると、岩から降りてきて道を歩み、どんぐりを前足ふたつで拾っては、あれ、上手く拾えない、ころっころっ! とかやってくれる猫さんでした。どんぐりを食べたいのかと思いましたが、ただどんぐりを上手く摑めない猫氏、という芸だったようです。そうなのでしょうか。芸人か。尚、どんぐりが欲しいのかと思って拾い集めてきて余計にころころさせてしまった私でした。

 車で下山して「彩工房」へ。尾道帆布にも幾つかありますが、ここがにゃんしーさんのお気に入りです。そして私はにゃんしーさんに12年まえ「尾道に連れていってください」とお頼み申して婚前旅行をした身なので、基本的に(「やまねこ」もそうです)チョイスはにゃんしーさん任せです。

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 友人にお土産を買いました。
 そして尾道ラーメン。食べたかったよ! 「牛ちゃん」という焼肉屋さんも兼ねている店に入ったら、カープ選手のサインがどの椅子にも書かれていました。すごーい。

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3日目「ベッチャーの胃袋」
「お掃除のひとが入るんで」と云う風にきいていたので、お掃除の方が部屋を出てから、帆雨亭・昇福亭・梟の館のどれかのカフェに行きたいね、と話していたのですが、お部屋にひとが来る気配は無い(あと、ナンバ・キーが掛かっています)「……これ、もしかして廊下とか掃除するだけの話?」と結論を出したので、カフェは後日にして「ベッチャーの胃袋」へと、心を整えつつ、書きものなどしていました。人がいるから原稿が書けねえよ! という私ですが、手紙の下書きや手帖(誕生日祝いに新調した♪)などを触っていて色々こなせて良かったです。

「ベッチャーの胃袋」は数年前に、夕食の店を決めかねて歩いていたらお兄さんに呼び込まれて入った以来なのですが、あれは美味しかった……そしてこの度も美味しいのだ……。

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 ベッチャーというのは、ベッチャー祭りという尾道のお祭りの鬼なのだそうです。そしてこの店は海の幸が旨い。実は私は魚貝類が苦手で、貝なんて二十歳過ぎても食べられなかったし(一昨日牡蠣のアヒージョ食べたけど!)ベッチャーは突き出しが貝だったのですね。普通私が怯むやつ。だって正体が分からないし、私は食べたことのないものは食べたくない人間なので、それは躊躇するのです、が、ここでは俺はひとあじ違うんだぜ。見知らぬ貝も変妙な形の身を取り出して食べてしまうんだぜ。穴子も食べたことが無かったけど食べたんだぜ。そして美味しかったんだぜ。
 「ベッチャーの胃袋」というお店は、「私これ美味しいからこれ食べる!」という宣言する私がいるのではなく、
「これが【旨さ】です」と差し出され「あ、ハイめっちゃ美味しいです(平伏)」という感じのお店ですね。22時になったら絞めのラーメンが解禁されるらしかったのですが、満腹になった時点で21時頃だったので、お雑炊を食べて終わりました。えっとね、山芋の雑炊、ってこんなに美味しいものなの? にゃんしーさんはじゃこ山椒のお茶漬けでした。観光客よりも地元の子が女子会していたりもする雰囲気で、そういう子は気負って魚に寄ることもなく色々居酒屋料理を楽しんでそうで羨ましかったです。地元にあったら楽しいだろうなあ〜。

 この3日間、美味しいものを食べ続けた吾々は「飽食は罪」「この美味しさを上書きしたくない」などと呟きながらセブンイレブンで適当なものを買い込み、残りの日数を籠城することに決めたのでした。ていうか美味しいものを食べつけてない、って感じですね。

 旅行記でした。続きがあるかどうかは今は分からない。

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