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【連載小説】そして誰もいなくならなかった

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目が覚めたら──宇宙人・未来人・超能力者と一緒に無人島漂流していた!でも近くに島があるし天気もいいしでわりとすぐに救助が来るのでは?危機感ゼロ、対話能力ゼロ、まともな人間ゼロの無…
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#連載小説

第2話 「何て?」

第2話 「何て?」

第1話はこちら!

 野郎の微笑みを注視したところで何も楽しくはない。
 壮大な隠し事を何気なく打ち明けるように囁いた彼へ、俺は「ああそう」と努めて気のない返事をした。いや、心の底から強い想いを込めて感情の含まれない返事をした。

「それで、あんたは心当たりとかない? 漂流したとか……」
「いえ。向こう一ヶ月はそういったスケジュールは入ってないはずなので」
「なんでタイミングによっては漂流ワンチャ

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第1話 「秘密です」

第1話 「秘密です」

 人生は闇鍋だ。どれだけ慎重な選択をしても最悪の結果を引き当ててしまう。そう考えれば俺の現状も起こるべくして起きた結果なのだろう。

「つまり、あんたらは宇宙人と未来人と超能力者だって言うわけね」

 見知らぬ砂浜で目が覚めた俺が初めに得たのは、頭に電波の入った男女三人が自称した身分だった。それだけでも充分に頭が痛いくらいなのに、さらに悩みの種がもう一つ存在している。
 俺自身の記憶が欠落している

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