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パリこでかけモロッコ編① 砂漠とピンクとコバルトブルー

もはや“こでかけ”ではない感じもしますが、夏休みと言う事でモロッコのマラケシュに来ています。今回はパリを離れて、フランス人のリゾート地、モロッコはマラケシュのこでかけ事情をお伝えします。

◆何故“こでかけ”?

無理やり感のある“こでかけ”の理由を説明しますと、パリのオルリー空港(日本でいうと羽田空港、国際線中心のシャルルドゴール空港よりもパリ中心部から近く、国内線・国内線両方就航)からマラケシュまで3時間、時差は1時間と言う事で、日本でいうと台湾的な距離感です。搭乗時間も短い上に、フランスは元宗主国でモロッコでは仏語が第二言語として学校で教えられるため、フランス人にとっては、年配の方から小さな子供連れの家族が気軽に旅行に行くリゾート地という位置付けの様です。こちらの写真はマラケシュ・メナラ空港、2016年のCOP22開催に合わせて空港や市街地を大幅に改修したそうで、ピッカピカでモダンな造りです。

◆砂漠

空港から少し離れると一面に砂漠が広がります。鳥取砂丘のようなサラッサラの砂漠はオプショナルツアーになっているくらい少し離れた場所に有りますが、マラケシュのほとんどがこの様に低木・ナツメヤシ・オリーブ(生産量世界7位)が疎らに生えています。

一転、高級住宅街やホテルではこの様に花が咲き乱れています(要スプリンクラー)。マラケシュはモロッコ第4の都市で観光が主要産業の為、お金を掛けている場所か否かが明確で、荒々しい美しさの砂漠と、お金と手の掛かった美しさのオアシスが同時に楽しめます。

◆ピンク

写真上はクトゥービヤ・モスクのミナレット、写真下はジャマ・エル・フナ広場の小道。近接するモスクと広場は、ユネスコ世界遺産“マラケシュの旧市街”であると共に、“ジャマ・エル・フナ広場の文化空間”はユネスコ無形文化遺産でもあると言う、観光業お墨付きW受賞という稀有なエリアです。
語る事が多すぎるエリアですが、一つ特徴的なのはピンク色の壁。周辺の歴史地区だけでなく、ホテル・高級住宅・庶民的なアパートまで、見渡す限りピンク色の建物が並びます。
建築途中の建物の様子を観察すると、レンガを積み上げた後に赤土を左官している様で、恐らく近隣で採れる赤土を使っているのだと思いますが、庶民的な新築の家でも最近開発されたリゾート住宅でも、統一感のあるピンク色の外壁が並び、町並みとして大変美しいです。
モロッコ政府がどれだけ強制力を持って統一しているかは窺い知れないのですが、この様な景観の統一性は、それ自体が観光資源になる程に重要であると、砂漠の中のピンク色の街並みを見て感じました。

◆コバルトブルー

こちらはマラケシュ観光でも最も人気のマジョレル庭園(Jardin Majorelle)。フランス人画家のジャック・マジョレルが最初に造り、その後はかのイヴ・サンローランが買い取って改修したという庭園です。竹林やサボテン等の植物の美しさもさることながら、一際目立つのは“マジョレルブルー”と言われる鮮やかな青の美しさ。植物の緑色と回廊の橙色に一際映える碧色は、現代社会における最大級の賛辞である所の形容詞がぴったり、そう“インスタ映え”なのです。
この碧色、こちらのマジョレル庭園のみならずピンク色の家々の差し色によく使われています。調べてみるとモロッコはコバルトブルーの原料であるコバルトの世界採掘量第8位であり、古くからこの鮮やかな碧色と親和性があったのだと推察されます。マラケシュ観光で外せない観光資源であるマジョレル庭園の美しさも一朝一夕ではなく、モロッコの資源の成せる技のようです。

◆観光とは何か

ノストラダムスの予言で死ぬと思っていたのにあっさり21世紀を迎え、虚脱感拭えぬまま何となく入った大学で何となく受講した“観光業”の授業の最初に先生が仰った言葉はあまりに鮮烈で今も覚えています。曰く、「観光とは“光を観る”と書きます。本来観光はその地の光を観て感じ、学ぶことなのです」。
その授業から時間も距離も随分と遠い所に来て思うのは、観光とは“光”と同時に“影”を観て・聴いて・嗅いで・触って・感じて、その全てを丸呑みする事だと言う事です。その解釈は何時でも出来るけれど、その場所に居られる時間は限られているので、光も影も全てを自分で感じ取る事が重要で、時にはその経験が、その人の考え方や生き方を変えてしまうくらい重要な事なのだと、それほどの力が観光にはあるのだと、20万年前の人類の祖先も、そして恩地元も観たであろうアフリカの大地に沈む夕日の光を観て改めて感じるのでした。

という事で、絶賛パリとは関係なさすぎるパリこでかけモロッコ編、あと何回か、気の向くままに描いてみたいと思います。

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