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仕事・博士課程・育児、3足のワラジの履き方②学業・研究編

「仕事と博士課程と育児、どうやって両立しているの?」というご質問をいただくことが増えてきました。仕事はフリーランスのコンサルタントをしながら、2020年秋に子どもを出産、2021年春から早稲田大学商学研究科の博士課程に所属し研究を行っています。このマガジンでは、そんな私の3足のワラジの履き方について、ゆるゆると綴ってみたいと思います。今回は学業・研究についてです。

コロナ禍の学生生活スタート

希望に胸躍らせて早稲田大学商学研究科博士後期課程に入学したわけですが、2021年4月といえばまだまだ新型コロナウイルスの不安が世の中に渦巻いていました。コロナ禍の学生生活、ニュースでも色々と取り沙汰されていましたが、3足のワラジを履く者としては、悪い面以上に良い面もあったのではないかと感じています。

最も良かったのは、授業もゼミも学会もオンラインやハイブリットが広がり、子どもや仕事があり時間制約のある学生でも受講しやすくなったこと。コロナ禍以前であれば、子どもがいる状態でのスケジュール管理に相当苦労していたと思いますし、学会などはほとんど参加できなかったと思います。

一方で残念だったのは、博士課程の学生同士のコミュニケーションの機会が減ってしまったこと。以前はいわゆる「博士部屋」のようなものがあり、各人が自由に研究をしたり、交流したりできる教室があったそうなのですが、施設の老朽化に伴う入れ替えにコロナ禍が重なり、終ぞ私が博士部屋に踏み込むことはありませんでした。学部からの進学でもない私は知り合いもほとんどおらず、博士課程とは何をする場所か、何をするべきか、と言った根本的なことが良くわからないまま手探りで研究を進めざるを得ませんでした。

良い面も悪い面もそれぞれありましたが、こうして手探りな中でも学生生活をスタートしたのでした。

神!の託児サービス

コロナ禍とはいえ、1つだけ対面の授業を受講していました。授業は4月に始まりましたが、保育園は絶賛慣らし保育中。最初の1-2週間は2時間程度ですぐにお迎え、家に帰る方が時間が勿体無いので、PC持参で登園し、保育園近くのモスバーガーでザザッと仕事してすぐお迎え、のような日々でした。対面受講の授業は午後、さて子どもはどうしようか…と悩んで調べてみると、なんと早稲田には職員・学生が使える「学生・教職員用託児室」があることが判明。ビバ早稲田!ビバダイバーシティ&インクルージョン!

ということで早速利用登録し、何度かお世話になりました。余談ですが早稲田が業務委託している託児サービスの会社がとても丁寧で、コロナ禍ということもあり利用人数も少なかったことから、まるで王族のような歓待を受けた我が子。お迎えの時にいただける連絡帳には「蝶々を見て微笑んでいらっしゃいました」とか「離乳食をたくさんお召し上がりになり満足そうでいらっしゃいました」とか、小さい王様のようなコメントがなんとも愛らしい。実は初めて託児サービスを利用したのが早稲田の学生・教職員用託児室でしたが、心から安心して預けることができました。

3度の飯より大事な指導教官選択

私が所属している博士ゼミはほとんどが社会人学生ということもあり、先生も配慮してくださってゼミは夜19時以降、オンラインでの開催がメインです。とはいえ2021年4月時点ではまだ授乳しており、お風呂から寝かしつけまで子どものスケジュールが最優先。遅れて参加したり、途中抜けたりと、毎回不安定な状況ではありますが、理解ある先生とゼミメンバーのおかげで、なんとか命辛々続けられています。

ゼミの運営方針は指導教官の先生により千差万別です。毎週絶対対面必須!の先生もいれば、私のゼミのように社会人学生が多く夜間にオンラインで開催、というゼミもあります。3足のワラジで博士課程で学ぶのであれば、やはり指導教官の先生のスタンスやバックグランドは非常に重要だと感じます。むしろ、博士課程を選ぶ上で最も重要な点かもしれません。

締切を、決めてからが、研究だ

ゼミの運営方針も先生それぞれなら、研究の進め方も学生それぞれ。(仕事もプライベートも同様に)私の場合は締切を決めないと動けないタイプ。いつかどこかで発表するために、コツコツ先行研究を読んでまとめていく、といった、いわゆる博士課程の学生がするべき研究活動が性分として全くできません(じゃあなぜ博士に入った、というツッコミは既に自分で何度もしているのでご容赦ください)。
そんな怠惰な学生である私にはこれ幸い、指導教官の先生やアカデミックな仕事をしている旦那様が、「こんな学会があるんだけど発表してみる?」「こんな研究公募が出てるんだけど出してみる?」と言った具合に、柔らかくも的確な締切を用意してくれるのです。サラリーマン時代、返事は「ハイか、イエスか、喜んで!」と教育されたので、その通り回答していたら続々と締切が設定され、慌てて先行研究を漁り出す…という、およそ模範的博士課程とは真逆の研究生活を送っています。
解き明かしたい問いや、突き詰めたい課題、そんな内発的動機づけから始まる研究が素晴らしいのは百も承知ですが、真逆のタイプでも、周りの方々に恵まれればなんとかやっていける、というダメな例として読んでいただければ幸いです。

ここまで読んで、既にお気づきかと思いますが、3足のワラジ全く履けていません。研究は中途半端にしかできていないし、仕事もフリーランスということでフルタイムの方よりもフワリと生きていますし、子育てもドタバタしていて、全く3足のワラジを履きこなしている感ゼロ、足の指に紐が引っかかっているくらいの感覚。それでも、今のところワラジは壊れずなんとか紐が引っかかってくれているのは、一重に周りの方々に恵まれているからです。大学、指導教官、ゼミ、そして家族の理解により、なんとかワラジの紐を引きづりながらここまで歩いてこれたという感じです。

というわけで、学業・研究編のまとめとしては、自分にとって無理のない環境を上手く選びましょう、ということになります。どんなに自分のやりたいことや解き明かしたい問いに近くても、どんなに高名な先生だったとしても、挫折して途中で歩けなくなってはもったいない。修士までは勉強だけど、博士は生き方。自分が続けていけるのに一番良い環境はどこか、という視点で選ぶのも、一つの選択方法だと思います。

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