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歌う森(環境音楽制作エピソード)

今年の新緑の季節に、千葉県印西市の自然農園「はる農園」にて、お世話になっているサウンドデザイナーの沖田さんに機材のアドバイスをいただき、一部マイクをお借りしてAmbient ad lib(即興環境音楽)の収録をさせていただきました。快くご協力してくださった、はるさん、沖田さんには感謝です。


1.初めての野外同時収録

これまで、現地で収録した環境音とスタジオ収録した即興演奏を組み合わせていくつかのアンビエントミュージック(環境音楽)作品を制作してきましたが、現地でマイクを立てながら、演奏を同時収録したのは今回の作品が初めてとなります。

天候の状況で一度延期し、5/26に実施しました。今年の5月は例年より雨が多かったので無事日程が合い、ひと安心です。ピアニストの益山真理子さんと共に8時半から現地でセッティングし、9時半すぎからおよそ3時間かけ15テイクほどの即興演奏を収録しました。

緑の中で演奏するピアニスト益山さん

2.自然と共に奏でる感覚

3時間もの間演奏していると、時間によって吹く風や、鳥・虫の声が少しずつ変化していきます。収録の最初の方はここちよい風が吹いていて、風に揺れる木々や葉っぱと共に奏でているようでした。

益山さん&ゆうなみ

なるべく自然に馴染むような、目立ちにくい色の服装にしました。演奏していくうちに鳥たちも近くで鳴いてくれるようになり、同時収録した音源には息を合わせたかのようなタイミングで鳥や虫の声が聞こえてきます。

3.ほぼ修正不可の集中レコーディング

演奏していると、今ここに見えている生命だけでなくて、目に見えないような土の中にいる菌や微生物、空気とも繋がって歌っているように感じることがあります。曲によって益山さんと何も打ち合わせせずに録音したものもあれば、ゆうなみが先に歌い、後からピアノが入ってくる、といった簡単な構成の打ち合わせをして録音したものもあります。

くすの木とブランコ・この奥で収録しました

現地で演奏している時はほぼ何も考えていませんが、「繋がっている」ただそんな感覚はあります。
今回あまりに集中しすぎて、レコーディング終了となった途端に腹痛に気付きました。無意識に体が冷えてしまったようで、終了と同時にその痛みに気づき、はる農園の皆様のやさしさで休ませていただきました。ありがとうございました。

はる農園さん

4.アルバムジャケット撮影

別日にアルバム作品用のジャケット撮影を写真家の下机拓さんにしていただきました。この日は汗が止まらない、猛暑でした。実際に演奏した場所の他にも多くの写真を撮っていただきましたが、ジャケットは、はる農園の畑の広がる場所で撮ったものを採用しています。ここでは他の写真を少し掲載したいと思います。

5.音源の編集から完成まで

まず収録した15程のテイクの中から、5つの曲に絞りました。そして修正ができないといっても、環境音左側、右側、中央左側、中央右側、ピアノ左側、ピアノ右側、ボーカルなどそれぞれ別の音源で収録されていて、それを一つずつクリーニングして音質を整えエコライザーなどをかけてバランスをとっていきます。

吉村弘さん「風景の音 音の風景」

この音質やバランスの正解は好みによるところではありますが、様々なアンビエント作品を聞き、実際に美術館や専門店にも足を運んでみたり、いろいろな空間でスピーカーやイヤホンから聞いてみて自分の好みを探っていき、何度も作業し直し完成させました。

春の雨 cafe&records

6.「小さな世界展」BGMコラボ

できたての音源でイラストレーターの岡坂果林さんの作品展「小さな世界展」にコラボレーションさせていただき、会場のmuni coffeeさんで5曲から成る組曲を流していただきました。BGMとして流していただくだけではなく、mp3プレイヤーとヘッドホンもご用意しました。

岡坂果林さんが、今回の展示のために私の歌声を聴きながら作品を書き下ろしてくださいました。しかも展示終了後いただきました!宝物です。

岡坂果林さん作品「歌声の中」

★「Singing Forest / 歌う森」ダウンロードはこちら

最終手直しを加え、2023年9月bandcampサイトでのリリースをしました!
以下のサイトでは一定回数無料でご試聴いただけます。

「Singing Forest / 歌う森(Ambient ad lib)」
1.breeze / 風の谷
2.quiet / 静けさ
3.sparkling leaves / 潤い
4.forest life / 共生
5.appreciate / 美しき森

singer : Yunami
pianist : Mariko Masuyama
music : Yunami&Mariko Masuyama
販売金額:1,000円(+αで応援していただくことも可能です)

最後に

私たちがその場で感じていた農園の心地よさを、音楽から体感していただけたらとても嬉しいです。誰かの日常にそっと寄り添える作品でありますように。

作品の制作お仕事のご依頼もお待ちしております。今年からいよいよAmbient ad lib作品として展開していきたいと思っています。通常の歌モノ作品とはまた違ったものではありますが、ゆうなみとしては、今後続けていきたいと心から思っているジャンルです。お問い合わせは以下よりお待ちしております。

最後に、現地での収録において全面的に力を貸してくださったピアニストの益山真理子さん、本当にありがとうございました。今や益山さんとの演奏なくして私の音楽は成り立ちません。
また、私たちをいつも励ましてくださるファンのみなさん、近くで支えてくれる家族や友人、力を貸してくれたりアドバイスをくれる仲間、見えないところで私たちの音楽に触れて心を寄せてくださるみなさんにも、心より感謝しています。

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