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放浪のとある1日/コスタリカ🇨🇷

こんにちは、ゆもです!
今回は少し物語風に笑
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バスの心地よい揺れと耐え難い暑さ、私はその快と不快の狭間でまどろんでいた。バスの中は満席で-というより超過しており-左右に2席ずつ並ぶバスの通路にもぎゅうぎゅうに人が押し込まれていた。湿気を多く含んだ島国特有の熱気と、することののない移動の時間。全身にじっとりと汗をかき続け、それでも昨夜2時間ほどしか寝ていないこともあり、常に眠気に引き込まれていた。半意識の心地よさの中で数時間後に見れるであろう海のことを想う。今は塩辛い水に全身を委ねたかった。すっぽり体を呑まれたかった。

海見えた時まじハッとした

計画を立てない放浪旅に必要なのは、タイミングである。どこにいつ行くかのか発つのか、あるいは誰かと共にするのか。そうした決断の瞬間を逃すと、だらだらと決められずに留まってしまうことがよくある。バックパッカーのドミトリー宿であれば、平均的に1泊1000円くらい。1000円だったらもう一泊延ばすかと甘えてしまって、つい思いがけず時間を消費してしまう。コスタリカの首都サンホセにやって来てはや4日目。そろそろ移動する時だと自分でも感じていた。悩み続ける私だから、決断できるタイミングを辛抱強く待つしかなかった。
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けれどその瞬間は意外にもあっさり来た。宿で出会ったみんなと飲みに行った土曜の夜。クラブに移動してすでに夜は白み始めていた。初めての国での夜、右も左も分からないから用心して全然飲んでいなかった私。共に来た友達含む周りが爆音のラテン音楽とともに踊り狂っているのを側から眺めていた時、「海に行こう」とふと思い立った。ここは十分見切った気がする移動しようと判断し、すぐにでも行こうと決断した。ここに来る前にあれほど悩んでいた自分が馬鹿らしい。再度だが、放浪旅を進めていくには人との縁に委ねてみることや、そこで起きる決断の瞬間を逃さないことなのである。

ラテンンンって感じでした

行くと決断できると気分はさっぱりしていて、明け方みんなで宿に戻ると、私はすぐに荷物をまとめた。リュックひとつだし大そうな準備は要らない。その日の晩はすでに払ってしまっていたから、私は顔を洗い歯を磨いて少しベットに横になる。けれど決断できたことの興奮で眠りは浅かった。数時間で目が覚め、ノンストップでチェックアウトを済ませる。そこでやっと自分がどうやって海に行くのか考えてないことに気づいた。夜勤明けで腫れぼったい目の受付スタッフにどうやって海に行けばいいのか訊ねる。サンホセからバスで最も移動しやすいと事前に調べて出てきたハコビーチに行こうと思っていた。ただその時に調べて出て来たGoogleマップのルートを見せても、スタッフはなんだかポカンとしている。「7/10バスゲートに行くんだよ。バスがあると思う。ただその辺は治安が良くないから人に声かけちゃだめだよ」彼が言ったのはGoogleマップが指す場所とはかけ離れたところ。まあいいか、とりあえずGoogleマップのバス停に行くだけ行ってみよう。「グラシアス」スペイン語でお礼を行って、必要な荷物をアタックザックに入れて、残りを宿で預かってもらうことにした。コスタリカを出国する時は首都からだろうし、首都で1番安いこの宿に戻ってくることは絶対だ。人懐っこく荷物を預かってくれたスタッフに別れを告げて、いざ移動した。何も考えてない、海への道のり。時間は朝日が昇り終えた6時ごろだった。

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サンホセからハコビーチへの道のり

何とか土壇場でバスに乗れたわけだが、結論Googleマップが指すところは間違っていた。行ってみたらバス停さえないただの住宅路で、初めてGoogleマップにしっかり裏切られた(笑)というのも、インドコルカタをひとり徘徊していた時は、Googleマップのバスルートをめちゃくちゃ重宝したからである。正解は受付の夜勤スタッフのお兄ちゃんが教えてくれたとこだった。やはり宿の人の助言は強し

↑こいつは間違ってるよ!!!↑
↓正解は迷わず7/10へ↓

時間が近づいても全く気配がしないわけだから、道路をうろうろしてみる。サンホセはめっちゃバス停があって複雑。ハコビーチへはどのバスに乗ればいいの?って人に訊き回っても全部スペイン語で返ってくるから全くわからん。しかもみんなバラバラのことを言っている雰囲気(笑)現地人の助言は半信半疑
結局うろうろ訊き続けながら、7/10バスターミナルに辿り着く。ネットで日本人の旅ブログを見た時に、この7/10ターミナル周辺は治安が悪いと書いてあった。宿で知り合った人も、通ろうとしたら警察に通せんぼされたくらいらしい。自分が行ったのは朝方だったが、やはりダウンタウンの雰囲気は感じたかな。中でもバスターミナルの周辺はホームレスがめちゃくちゃいた。ちょうど路上配給みたいのがやっているのに立ち合わせて、路上でホームレスたちが配給されたご飯を食べてた。貧困というのはどこでも見かけてしまう、いろんな感情が動く。

バスターミナル周辺の様子
サンホセの町はとってもカラフル
この左側が7/10バス停

とにかく、この7/10バスターミナルにて無事にチケットをゲット。運良く9時からのバスを予約できた。3時間ほどの道のり、値段は1000円ほどだった。レッツゴー。

チケットは控えと2枚もらいます
いざバスに乗る
満席超過
通路での立ち乗り概念がある

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浅いまどろみから浮き上がってはっと窓を見るのを繰り返す。そのたびに景色が変わることにいちいち感動する。熱帯地域の鮮やかなみどり。そして海が近づくにつれ湿気が増し、温度もぐんぐん上がっていた。
バスが停まった頃には、服は汗でびしゃびしゃで、こじんまりしたターミナルに着くや否やすぐにトイレで水着とワンピースに着替えた。時刻は正午で太陽は燃さんばかりに照りつけている。急ぐ想いと止まらぬ汗をかきながら、日射の中を歩く。生暖かい湿った海風を思い切り吸う。ビーチの砂がサンダルの足に触れた時、ようやくため息が洩れた。

Jaco beach
ビーチに馬いてびっくり笑

ヤシの木の下でしばらくぼんやりした後、ワンピースを脱いで海に浸かってみる。ハコビーチの波は高くて、打ち寄せる波はこちらがなぎ倒されるくらいだった。波に負けじと踏ん張るのを繰り返す。お腹まで水に浸かって、一定にやってくる波を全身で受け続けた。波だけでどうしてこんなに心躍る時間が過ごせるのだろう。友達と海に行くと、何かをすることが満喫の手段になる。ビーチボールをしたりごはんを食べたり「する」ことを楽しむ。そのため夢中で波に流され続ける自分の満喫スタイルは、周りにはすぐに飽きられてしまう。ひとりで好きなだけ波と戯れることのできるこの時間は、とても贅沢だと思った。
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何てちっぽけな自分だろう。海の端くれにさえ踏ん張れずに流されるのに、この広い海は何か。顔の下半分を海水に浸け水平線を眺めると、真上で照らす太陽で、水面はきらめいている。その間にも白波は立て続けに打ちつけて来る。その度に両足がふわりと浮いて、私は海にすっぽり呑まれるのだった。楽しさと無力。孤独と哀愁。このまま海に溶けたかった。呑み込んでほしかった。それでもすぐに足が砂に着いて、私は全身を波に置いていかれるのである。
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家族のことを想った。ずっと遠くで繋がる海に面した私の故郷。祖母の顔が浮かんだ。会いたくなった。私はどうしてこんなにも遠く離れた海で、ひとりきゃっきゃと海と戯れているのだろう。旅をして一体私は何をしているんだろう。もっと他にやるべきことがあるのではないか、孤独は常に心の中に不安の巣をつくる。巣の中の醜い私の雛は、誰かを探し、飢えている。
ゆらめく私の心。
顔の下半分まで海に浸かり、揺れる水面を眺め、地球の裏側で涙した。
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ぜんぶぜんぶ、洗い流せればどんなに良いか。私の蝕まれた傷や、曇った想いや、埃かぶった記憶たち。さまざまな出来事を養分にし育った不安の巣も、それごと洗い流してほしかった。けれども海から上がれば塩水で体がベタつくように、私の心も変わりなく留まり、ベタつき、塩っけが残り続けるのである。
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波とひとりで格闘し続け、気づけば数時間が経っていた。私は名残惜しくも海から上がり、再びヤシの木の下に座り込んだ。濡れた髪や肌は湿気を含んだ海風にさらされる。身体中がベタベタしていた。けれど心はいかにも平穏で、ただただ寂しかった。今晩はこの町で泊まろうと思った。シャワーが浴びたい、髪をこれ以上傷ませたくないからね。ワンピースをすっぽりかぶり、ビーチを後にする。
ひとときのどうってことのない、放浪の1日。

ひとり海は、アリ。

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ハコからサンホセへの道のり

首都サンホセへは日帰りでも帰れたわけだが、せっかくなので一泊することにした。今日だけは個室がほしい…ドミトリー疲れしていた私はちょっぴり奮発したホステルを予約した(そこもドミトリーだったんだけど、運良く誰もいなかったからプライベートGET)。
サンホセ行きのバスは、ハコに来た時に停まったバス停で購入することができます。

ここで購入します!

サンホセ行きのバスは1日4本くらい通ってた。前日にすんなりとれたから、当日でも全く問題ないと思います(立ち乗り枠もあるしね)。私は15時のチケットを購入しました。値段も時間も行きと同じ、1000円で3時間ほどです

コスタリカの郷土料理はこの豆ご飯らしい
甘いバナナステーキとオムレツと一緒に

その晩はたっぷり寝て、朝も海に出かけた。一泊二日にして満喫、最高だった。ちなみにこの短期間でばりばりに日焼けしました(笑)
そしてこのミニ冒険でコスタリカには満足、次のパナマに移ろうと決断次回はコスタリカからパナマへの陸路移動の話ができたらなって思います。
以上、唐突の物語口調も挟んだが最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。ぜひInstagramも覗いてみてください!!
またね、ありがとう。
(完)


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