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フリーダ・カーロの日記から

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#シュルレアリスム

フリーダ・カーロの日記ー新たなまなざし

フリーダ・カーロの日記ー新たなまなざし

メキシコを代表する画家フリーダ・カーロが、自ら描き綴った絵日記。待望の日本語版(カラー)刊行です。解説は堀尾眞紀子先生。

度重なる手術、流産、離婚、復縁…精神を保つために絵を描き、ディエゴを愛し傷つき、間違いを繰り返し、それでもディエゴでないとダメだと気づく。彼との関係性を探り、母となり、同志、分身となりながら模索する軌跡。

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爆弾に結んだリボン(フリーダ・カーロの日記#4)

爆弾に結んだリボン(フリーダ・カーロの日記#4)

1938年にメキシコを訪れたアンドレ・ブルトンは、フリーダの絵を絶賛し、彼女の芸術を「爆弾に結んだリボン」と評しました。

ブルトンは、フリーダにニューヨークとパリでの個展を企画すると約束をし、フリーダはニューヨークでの個展終了後、1939年にパリに渡ります。しかし、パリで個展の準備は一向に進まず、フリーダはブレトンのいい加減な人柄に嫌気がさしてブルトンの家を出てしまいます。

その後、マルセル・

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日記の自動描画に見るシュルレアリスム的要素(フリーダ・カーロの日記#3)

日記の自動描画に見るシュルレアリスム的要素(フリーダ・カーロの日記#3)

フリーダ・カーロの日記には、絵画の下絵やいたずら書き等、数々の素描が描かれています。彼女の線画に描かれる宇宙観や思想感は不可思議で目が離せません。

たとえばこちら。

      P.38 EL DIARIO DE FRIDA KAHLO:UNA NUEVA MIRADA,         La vaca independiente

青インクで描かれた複数の点と線の結合からなる暗示的な描画。点

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自動筆記とシュルレアリスム(フリーダ・カーロの日記#2)

自動筆記とシュルレアリスム(フリーダ・カーロの日記#2)

「シュルレアリスム宣言」発表の頃のブルトン

フランスの詩人アンドレ・ブルトンは、シュルレアリスムの定義を「純然たるオートマティスム(自動筆記)によって、心の真の作動を文章もしくは他の方法で、逐語的に表現しようとするもの。理性のおよぼすいかなるコントロールも受けることなく、またどのような美的道徳的配慮をも超越した、思考による指令」と説いています。(ヘイデン・エレーラ『フリーダ・カーロ』 249 頁

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1916年について描いた(フリーダ・カーロの日記#1)

1916年について描いた(フリーダ・カーロの日記#1)

フリーダ・カーロの日記の最初の頁は、「1916年について描いた」という表題から始まっています。中央には仰向けに横たわった成人のフリーダの白黒写真があり、それを縁どる写真フレームが描かれています。下段は花輪によるリボンがスカートのひだのように装飾され、上段の左側には白い鳩が羽根を広げています。

1916年とは、フリーダが9歳だった年です。その3年前の1913年、フリーダは6歳の時、右足に小児麻痺を

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フリーダ・カーロの日記 から

フリーダ・カーロの日記 から

メキシコの女流画家フリーダ・カーロが、自身の日記で綴った一文です。

フリーダ・カーロは、1954年に没するまでの人生最後の10年間、自ら絵日記を綴っています。

1998年、神保町のイタリア書房でこの日記の本を手にした時、すっかり彼女の絵の迫力に引き込まれてしまいました。日記は、通常個人の記録を残すものです。けれど彼女の日記は違っていました。両方の目を見開き痛みに目を逸らさず、現実を見据え、自己

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