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フリーダ・カーロの日記ー新たなまなざし
メキシコを代表する画家フリーダ・カーロが、自ら描き綴った絵日記。待望の日本語版(カラー)刊行です。解説は堀尾眞紀子先生。
度重なる手術、流産、離婚、復縁…精神を保つために絵を描き、ディエゴを愛し傷つき、間違いを繰り返し、それでもディエゴでないとダメだと気づく。彼との関係性を探り、母となり、同志、分身となりながら模索する軌跡。
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フリーダのペンネーム、そして隠語(フリーダ・カーロの日記#16)
フリーダのペンネーム
フリーダの日記には、署名や隠語など謎めいた言葉や数字が使われています。たとえばサダハ(Sadja)。フリーダが手紙や絵画によく使用した署名ですが、これはロシア語で「ヤマウズラ」、「親愛」を意味するのだそうです。ヤマウズラは、フリーダが親しんでいたイソップ物語の中で常に他の動物に追われる狩りの対象で、孤独で理解されない可哀想な動物のシンボルでした。そこに自身を投影したのでしょう
フリーダと植物(フリーダ・カーロの日記#15)
植物との融合
1946年の脊椎接合手術以降、フリーダ・カーロは度重なる手術と病状の悪化により寝たきりの生活が多くなりました。1951年以降になると、自画像ではなく果物や植物を描くようになっていきます。テーマは主に「生命」。病状の悪化により絵のタッチも以前のような緻密さを欠いていきます。
日記にも、植物や根が描かれているページが所々あります。例えば、涙が流れ悲しみを表現する西洋風の男女の横顔を描
ディエゴとの関係性(フリーダ・カーロの日記#14)
ディエゴとの一体化
1944年、ちょうど日記を書きはじめたころ、フリーダは結婚15周年の記念日に『ディエゴとフリーダ』 というオブジェをディエゴに贈っています。これはディエゴと自分の顔の半分を一体化したオブジェで、私たちはかけがえのない存在であるという表明でもあったのでしょう。
母子に見る包括的な愛
いっぽうディエゴは、1945年、壁画『アラメダ公園の日曜日の午後の夢』の一部に、母親のフリーダと
ピカソとフリーダ(フリーダ・カーロの日記#13)
フリーダはピカソと1939年にパリで知りあいました。ピカソはフリーダの作品を賞賛し、親愛のしるしに手型のイヤリングを贈っています。メキシコでは病や事故の快復に感謝して、手や足など身体の一部を型どった「ミラグロ(奇跡)」と呼ばれる奉納物を祭壇に捧げる風習があるため、こうした身体の部位を型どった飾り物はよく見られます。フリーダはこのイヤリングを大変気に入っていたようで、1940年に製作した「エレッサー
もっとみるインクの染みから(フリーダ・カーロの日記#12)
フリーダは日記の中で、滲み出たインクと裏抜けした部分を3頁にわたって想像力に富んだ絵に仕上げています。はじめは犬らしき動物、それは次のページでさらに獰猛化し、その次のページではターバンらしきものを髪にまいた女性が空を飛ぶ絵に変化しています。また、はじめに登場するインクの犬らしき動物の下には別のインクの染みもあり、こちらは葉脈が描かれた1枚の葉から、次ページでは「戦死した兵士」というコメントをつけて
もっとみる点と線の国の奇妙なカップル - ネフェリシスとオホ・ウニコ -(フリーダ・カーロの日記#11)
1945年の絵画作品『モーゼ』に、フリーダはネフェルティティを描き、「ネフェルティティは非常に美しかっただけでなく、“解放された女性”であり、賢明な夫の協力者であったに違いないと思う」とコメントしています(Hayden Herrera, Frida: A Biography of Frida Kahlo)。
フリーダの日記の中で、「点と線の国の奇妙なカップル」と題するページがあります。フリーダは
チョコレート伝説 ~メキシコのカカオから~ (フリーダ・カーロの日記#10)
フリーダの日記には、メキシコ原産のカカオが生き生きと描かれているページがあります。まず、色のイメージを書いたページでは、茶色を連想するものにチョコレートソースの「モレ」をあげています。「モレ」はメキシコで肉料理に使われる辛味のチョコレートソースのことです。チョコレートが菓子としてではなく、料理に使用する身近な食材でもあるのです。その数ページ後に、ページの真ん中に巨大なチョコレートを描き、ナワトル語
もっとみる『La llorona:ラ・ジョローナ』~泣き女の伝説とチャベラ・バルガス(フリーダ・カーロの日記#9)
Eloisa Aquino, THE LIFE AND TIMES OF BUTCH DYKES,B&D Press 2010
フリーダの日記には、たくさんの涙と泣き顔が登場します。8頁に及ぶディエゴへの愛の手紙の最後に添えられた線描は、複数の瞳が木の根やこぶの隙間に描かれたもので、いくつかの瞳からは涙がこぼれています。フリーダが好んで使用したと思われる涙のモチーフは、彼女個人の痛みや悲しみを表
アウソクローモとクロモフォーロ(フリーダ・カーロの日記#8)
Fabian Negrin, FRIDA y DIEGO, Editorial Ateneo, Grupo ILHSA, 2014
日記の中で、フリーダは自分とディエゴを特別な名称で呼んでいます。
・・・
フリーダのディエゴへ宛てた愛のメッセージは、ほとばしる情熱のままに綴られた暗喩に富んだ散文になっています。ディエゴを語る時、フリーダはあまりにも饒舌になり、語り尽くせないほどです。
「三文オペラ」の劇中歌の一節(フリーダ・カーロの日記#7)
Stamp from the former East Germany depicting Brecht
and a scene from his Life of Galileo
フリーダ・カーロは、日記の中で、ドイツ人劇作家ベルトルト・ブレヒトの戯曲『三文オペラ』にある劇中歌「マック・ザ・ナイフ」の歌詞の一部を、ドイツ語で書き写しています。
『三文オペラ(原題:Die Dreigrosche