見出し画像

私たちのスタートライン|再び働きたい女性に対して、私ができる支援を考える

ー 主婦になっても、もう一度就職したい ー

結婚、出産、子育てによりキャリアの最前線を一度離れたとしても、再就職をしたいと願う女性たちが少なからずいます。私もその一人でした。

夫の転勤や自身の出産などをきっかけに、女性が自分のキャリアを捨て、家庭に専念する時代が長く続きました。それが「女の幸せ」だと、世間も女性も受け止めていた時代は過去のものになりつつあります。実際の専業主婦経験者である私は、男性、女性に関わらず精神的・経済的に自立して生きるということが、人生100年時代を生き抜くための1つの方法だと考えています。

私は以前、日系企業の総合職として働いていましたが、夫の転勤をきっかけにキャリアの最前線を離れ、専業主婦を7年経験しています。自分のキャリアは一旦途切れましたが、その後専業主婦からキャリア復帰し、今は東京のコンサルティング会社で人事として働いています。自分自身がキャリア復帰した経験があり、人材業界におけるキャリアアドバイザーの経験が長いことから、今回の講演のご依頼をいただきました。

◾️岐阜市で講演


2023年11月2日、「“ぎふRe:スキル” 岐阜市 女性の就労・活躍促進 女性の就労に向けた学び直し講座」で講演をしました。

“ぎふRe:スキル”岐阜市 女性の就労・活躍促進女性の就労に向けた学び直し講座

新横浜駅から名古屋駅まで新幹線に乗り、JRに乗り換えて木曽川を渡ると、のどかな風景が広がる岐阜市が見えてきました。私は岐阜市に隣接する愛知県の出身なのですが、JR岐阜駅に今回初めて下車しました。講演会場はJR岐阜駅の隣にあるハートフルスクエアーGでした。

新幹線の中で最終チェック。講演で使用した44枚のパワーポイントです。

◾️主婦になった女性のキャリア復帰は可能

現在の日本では、主に大企業において職種を限定しないメンバーシップ雇用が主流になっています。企業はメンバーシップ雇用の考え方に基づいて毎年新卒採用を行いますが、就職時の景気の良し悪しや企業の業績によって、採用数は変動します。就職の難易度は景気に左右され、新卒のタイミングで正社員雇用を逃してしまうと、その後のキャリアのレバレッジが限定的になってしまいます。また中途採用市場においては、正社員雇用を一旦外れてしまうと、再び正社員として雇用されることが、男女ともに難しくなります。

このような背景から、学卒の男女は正社員雇用を目指して一斉に就職活動をします。しかしいざ就職してみると、旧来の人事制度や評価基準は、ライフイベントを考慮した設計にはなっていませんでした。よって主に体に子どもを宿す側の女性は、出産などのライフイベントによって、キャリア形成の主流から外れ、正社員雇用から離脱したり、マミートラックにハマりながら結婚後のキャリア設計を考えざるをえませんでした。

一方で女性のキャリア継続に関する世間の価値観は男女ともに変わっており、3年前、5年前、10年前、20年前と比べてみても、格段に制度面は進歩したと感じます。私が家庭とキャリアの両立に悩んでいた20代の頃は、産休に入る女性に対して冷たい視線が向けられていました。採用面接では「あなた、結婚しても本当に仕事続けられるの?」と平気で聞かれた時代でした。

そんな時代に就職した女性たちは、現在は子育て真っ盛りの30代から40代になっています。彼女たちはPCやインターネットの台頭した世の中で就職し、基本的なITリテラシーを持っている世代でもあります。転職が当たり前になってきた時代背景もあり、考え方は柔軟で転職活動にも意欲的です。彼女たちは子育ての経験を経て、人とのコミュニケーションにも長けており、戦力として再びビジネスの世界で活躍できる可能性を秘めていると感じています。

そんな女性のキャリア再構築を応援したい、そんな強い気持ちが私にはあります。私自身の経験から、一旦キャリアの最前線を離れても、再就職は可能だと言いたいのです。それは特別な人だからできることではなく、ごく普通の主婦の方でも、再就職に向けて戦略を立てて、したたかに、そして徐々にキャリア復帰することは可能なのです。

◾️出産後のキャリアは意外と長い

今回の講演のタイトルです。新たなスタートはいつでもできるのです。

人生100年時代と言われ、人々の健康寿命は伸びています。健康寿命とは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」(厚生労働省)を指します。WHO 世界保健統計2023年版に掲載されている健康寿命の統計によると、日本人の健康寿命は74.1歳で世界1位ということです。

つまり45歳で再就職したとしても、あと30年は働けるということです。再就職を目指す主婦にとって、今まで構築してきたキャリアの期間よりも、はるかに長い年数働くことになるということです。

あと30年…あなたはどんな働きかたをしますか?

講演の中盤の資料です。復職スケジュールは徐々に立てると現実的です。

現実的な主婦のキャリア復帰の方法としてはパートタイムが主流ですが、30年あれば新しいキャリア構築も可能なのではないでしょうか。人生という舞台の主人公として、再び自分自身のキャリアを作り、豊かな人生を歩むこともできるのではないかと考えています。

子どもは育ち、成人します。主婦になった女性の出産後の人生は、子育てが終われば意外と長いのです。

講演では再就職を願う主婦の方々の将来を見据えて、自分自身の人生を例に、キャリア復帰の戦略についてお話ししました。

◾️聴講者の女性の表情が変わっていく

実際の講演の様子です。聴講者の方々の表情が変わっていくのがわかりました。

私は決して特別な人生を歩んだわけではなく、スーパーウーマンでも環境に恵まれていたわけでもありません。就職氷河期ど真ん中で就活に苦労し、夫の転勤に翻弄された、ごく一般的な日本人女性の一人です。日本で大学を卒業した女性たちが悩んでいる姿そのものであり、たくさんの女性が当てはまる状況なのではないでしょうか。

だから、自分ごととして聞いてほしい。
私が特別ではないんです。

「私はあなたの隣にいる友人であり、ちょっとだけ先輩なだけです。」

講演ではそのように伝え、あなたにもできるよ!と勇気づけました。
そうすると聴講者の表情が変わっていき、やる気に満ち溢れていくのがわかりました。

有給休暇をとって横浜からはるばるきた甲斐があったと、本当に思いました。

◾️講演のアンケート結果

今回の岐阜の講演は、希望が持てる貴重な機会となりました。困っている誰かを支援する喜びを感じ、私の役割を果たせたことは、最大の報酬でした。

講演後に聴講者のアンケートを共有いただきました。以下は実際のアンケート結果です。原文のまま掲載します。

Q:今回のセミナーについて、総合的にどのくらい満足していますか?
「満足」:67%
「やや満足」:33%

Q:今回のセミナーで再就労に向けた意欲が高まりましたか。
「再就労の意欲が高まった」:59%
「やや高まった」:41%

Q:今回のセミナーに対してご意見・ご要望がございましたらご自由にお書きください。

・ブランクがあっても再就職しスキルアップが可能であることを経験に基づいて教えて頂き、大変参考になりました。再チャレンジする勇気が湧いてきました!

・非常にためになる、おもしろく、現実的でした。再就職に何が必要かなど考える事を具体的に示して下さっていた。

・次こそ、正社員になりたいと思いました!今日の学びを活かし、面接に備えたいと思います。ありがとうございました。

・書類、説明、話が分かりやすくプラスに考えることが出来ました。

・鈴木さんが子育てやご主人の転勤とかでキャリア中断されているので、自分の現実と結びつけて考えやすかった。今の会社(社会)の現実はどうなのかを知れたり、自分の現実はどうかを考えるきっかけとなり、大変満足しています。ありがとうございました。

◾️再び働きたい女性に私ができる支援とは

私は日本の女性たちが、自律的なキャリア形成をするにはどうしたら良いのかを常に考えています。自分が自分のキャリアの主導権を握り、しなやかにキャリア形成することができればいいなと考えています。

そして自らの専業主婦経験から、キャリアブランクができることは必ずしもネガティブではないと考えています。ちょっと休みたい時もあるし、子どもにたっぷり愛情を注ぎたい時もあります。仕事とは少し距離を置いて勉強をしたり、旅に出かけたり、そんな自由な寄り道の人生があっても良いと思います。

「これがキャリアの大正解だ」というものはなくて、キャリアの選び方は100人いれば100通りあるはずです。しかし「働きたいのに働けない」という状態があるのなら、直すべきだと思います。働く能力も気力もある女性であれば、自らのキャリアを自分でコントロールし、キャリア選択はできるのです。

再び働きたい女性に対し、私ができる支援とはなんでしょうか。

長い人生の中で、大きな時間を占める仕事に対する考え方は、しなやかに路線を変更しても良いのです。いつからでもスタートラインに立てるし、それはスーパーウーマンだけが可能なことではない、あなたにもできる、と伝えたいです。それが私にできる、ささやかな支援です。

私とあなたのスタートライン。

私のチャレンジは始まったばかりです。
あなたも一歩踏み出して、チャレンジしてみよう。

私たちのスタートラインは、今ここにあります。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?