ハクセイ

小説・シナリオ家です。英語と日本語の小説を投稿していきます。

ハクセイ

小説・シナリオ家です。英語と日本語の小説を投稿していきます。

マガジン

最近の記事

飛行機の窓側

    • 都市伝説「名捨て人」

      私――松本明音の地元に、こんな方言がある。 「なすて」 これは、一般的にいう所の「なんで」「どうして」などと同義であり、相手の言っていることが理解できなかった時に使われる言葉だ。 私は実家のある田舎で、両親、祖父母、または近所の人たちがこう言っているのを聞いて、よく真似をしていた。 「なすて、なすて、なすてー!」 こんな風に無邪気に走りながら「なすて」と口ずさんでいた。 父方の祖母もそれを笑いながら見ており、嬉しそうにコロコロと笑う顔を見て、私はさらになすてを繰り返してい

      • 読んでみてください。

        • True Love Loop Death

          The person I love died. In front of the coffin containing her body, I saw her off for the 101st time. This time the death was suicide. Last time, she was killed by another person. There was no set sequence to her death. Every time, on a cer

        飛行機の窓側

        マガジン

        • 報われない恋話
          4本
        • English Story
          2本

        記事

          とぅるーらぶ・るーぷです 三・終

          彼女は僕の部屋から出て行った。 これからまた、僕の灰色の2日間が始まる。 少し違う点がある。それは、僕の心がポッキリと折れたことだ。 これまでだって、何度もめげそうになった心を持ち直して、ひとりで頑張ってきたけど、これ以上は何もする気にはなれなかった。 いや、本当はもうとっくの昔に、限界は超えていた、 ただ、彼女が生きない限り、このループから抜け出せないから、僕は頑張っていた。でも、それももう終わり。 僕は部屋に閉じこもった。 親は僕の心境を慮ったのか、特になにかを言ってくる

          とぅるーらぶ・るーぷです 三・終

          とぅるーらぶ・るーぷです 二

          彼女との付き合いは、うんと長い。 小さい頃、彼女が僕の家の隣に引っ越してきてから、およそ8年。 両親たちの気がとても合ったことから、僕らはほとんど毎日を共に過ごしていた。 彼女の母親がこの前、「あなたたちならきっと良い夫婦になれるわ」と言われたとき、僕は結構本気で動揺した。 でも、僕もそんな気がしていた。 きっと僕らは、これからも共に人生を歩むために出会ったんだと、信じて疑っていなかった。 彼氏となった人は、知人の先輩だった。 人当たりの良い、同じバトミントン部の先輩。 顔立

          とぅるーらぶ・るーぷです 二

          とぅるーらぶ・るーぷです 一

          好きな人が死んだ。 彼女の遺体が入っている棺桶の前、僕は101回目の見送りをした。 今回の死は自殺だった。前回は他殺された。 彼女の死に方には、決まった流れがない。毎回決まった日に、決まった時間に、運命に導かれるかのように突然、僕らの前から姿を消す。 気づいたらこうして棺桶の中にいる。 ああ、まただ。またやってくる。 僕は自分の身体が白いモヤに包まれていくのを、ただ呆然と眺めていた。 これから僕は、時間を飛ぶ、彼女が死ぬ二日前に。 耳の奥で、彼女の声が聞こえてきた。 彼女の

          とぅるーらぶ・るーぷです 一

          Short stories|Pleasure and anger(喜怒◇楽)

          "You have only four months left to live".  Ever since that day when the doctor told me that, I've been feeling somewhat dreamy.  People will die someday. That's why I have always tried not to have any regrets. It would be a lie to say that

          Short stories|Pleasure and anger(喜怒◇楽)

          短編小説|喜怒◇楽

          「あなたの余命は、あと四ヶ月です」  あの日、医者からそう言われた時から、私はどこか夢心地だ。  人はいつか死ぬ。だから常に後悔をしないよう努めてきた。後悔がないと言えば嘘になるが、それでも私はそこそこ有意義な人生を歩んできたと思う。  だけど、一つだけ、心残りがあった。  私が受け持つクラスに一人、大切な人達の死によって、感情を押し殺してしまった生徒がいる。  私は、彼を救いたい。  そう思い、私は、ノートに計画を書き留めた。   ◇黒崎文香の最後の計画 1 感情を

          短編小説|喜怒◇楽