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本当はね、ケルコル。



「本当はね、本当はね、」
これ、6歳次男の口癖です。
1日に何度も、何回も言います。

「あのね、」って感じで使っているようですが、
「本当はね、」って言うのでドキッとすることがあります。



「ママ~!」
「なにー?」

「本当はね、本当はね、ちっこ行きたいの」

「そんなに行きたかったのね!
 話してくれてありがとう!行こう!
 今すぐ、ただちに、大至急!!」



必要以上に焦っちゃってること多いです。多分。
「本当はね、」って言われると、
ひぇっ!って、ひょわっ!って、ゾクッときます。これ人間の本能かと。。



次男はカルピスが大好きなのですが、
最近は、たまたま飲んだ『ピルクル』にはまっていて。

カルピスと、ピルクルという2つの名称が頭の中でからまって、「なんだっけ?え~と~、あれ~、なんだっけ?」と混乱している様子。
そして、言いました。

「本当はね、本当はね、
 カルクルが飲みたいの」

「カルクル!??」

「これのことだよ~~~」

少し困った顔で、次男は、冷蔵庫にあるピルクルを指さしました。

「あ~、これね!
 ピクルスが飲みたかったのね!」

「うん。これこれ~。カルクル~」

とっても嬉しそうな次男。
この時すでに、私の口からは、ピクルスが飛び出していました。自分の脳内処理の限界が近づいているのを、わずかに感じていました。


「あれ・・・、今ママ(自分)さ~、
 もしかして、ピクルスって言った?」

「言ったよ。」 長男が即答。


ごめんごめん~と、
ピクルスというのは~と、
焦りながらもしっかり説明しました。

次男はピルクルに夢中。全く聞いていません。

長男がフフッと笑いました。


「ピクルスじゃなくて、ピルクル。」
「ピクルスじゃなくて、ピルクル。」
「カルピスからの、ピルクル。」
「次男は、今、ピクルスが好き。」「ちがう」
「次男は、今、ピルクルが好き。」「そうだ」


自主練しました。何度も。何度も。
私にとって、必要な復習でした。


ママがこれだけ迷うんだから、6歳の次男にとってはもっともっと?例えば突然、知らない国に迷い込んで、知らない言葉しか耳に入ってこなくて。飲みたいものを飲めない。聞きたいけれど、聞けない。言えない。伝わらない。通じない。あぁ、それは、、、超きついかも。

ちょっとウルウル涙目。。 心が痛みました…


そうだ!
ピルクルのジェスチャーを考えてみよう!
体をpにして、ピルクル!
ピ~って顔して、ピルクル!
ピ~って顔は、どんな顔? こんな顔?

前向きに考えはじめた私の耳に、
遠くから発せられた次男の声が届きました。



「ママ~! ケルコーーール!!!」



・・・ケルコル?

・・・ケルコル。

・・・ケルコル?



異国でひとり苦しみもがくらしい次男に、何それ、と聞けませんでした。次男から、次の言葉が発せられました。


「ママ~~~、
 本当はね、今日はね、
 ケルコルが飲みたいの」


( ・・・ケルコル。 何ぞ? ))


口あけて上向いて、ポカーーーン、、というジェスチャーしか続けられない私を見て、次男が動きました。


「こーれ。これだよ?
 今日は久しぶりに、これを飲みたかったの」


次男が遠くで指さしたのは、カルピスでした。
この時私は、カルピスという単語を忘れていました。


何だっけ、それ・・・
何だっけ、それ・・・
ピルケスじゃなくて・・ ピ・・ピ・・・


次男が言いました。


「マーマ、これ本当はね、
 カルピスだよ。
 カルピスは今日から、ケルコルだからね。
 しっかり覚えてね!」







えっ・・・・・・・・・・・・・・・







はい。 ( ;∀;)

welcome、ケルコス。(ケルコルだよ)
welcome、ケルベロス?(ケルコルだって)
ようこそ我が家へ。

「ケルコル、今日もあるかー?」

今では夫も、ケルコルと仲良しです。







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