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よき対話のために、よき問いを。

映画『ぼくたちの哲学教室』じわじわと人気が広まりつつあるなと感じます。
舞台は北アイルランドのベルファスト。カトリックとプロテスタントの紛争の傷が今なお色濃く残るこの地域で、対話で男子小学生たちに哲学を教える校長先生が主人公です。

この映画は平和教育に役立ちそう!と直感で思ったので、先日福岡まで行って見てきました。

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哲学とは、どこまでも日常なんだ

「怒りをどうやって鎮めるか?」
「他人に怒りをぶつけてもいいか?」
(目を閉じた状態で)「何も考えないことは可能か?」
「ロックダウンでの休校期間中、ネット上でどんなトラブルに遭ったか?」

こんな問いかけから児童たちとの対話を始める校長先生。
誰もが想像でき、経験したことがある内容の問いをすることで、みんなが対話に参加できることを学びました。

「問い」の力は強い。
いい問いは、相手の心に切り込み、思考整理を促し、問題解決を図ることができます。
しかし「誘導尋問」と紙一重。問う側が、自らが欲しい答えを引き出させるツールにしてしまいかねません。
だから、どこまでも「問う側」と「問われる側」は対等で、互いに問い合って答え合っていかなければ、と思いました。

価値のある意見って?

よくありますよね、今の意見はいいね!と言われたり、逆に意を決して意見を言ったのに反応が乏しかったり拒否されたり。
職場でもあります。誰しもそういう場面に立ち会うたびに嫌になった経験があるのではないでしょうか。

ですが校長先生はこう語ります。
「どんな意見にも価値がある」と。

映画では、少し突拍子もない意見を言った子に対して周りがざわつくシーンがありました。
すかさず校長先生がたしなめて「どんな意見にも価値がある」と切り返し。
この場面はとてもいいなと感じました。
私達は様々な意見を、それが地味でも奇抜でも革新的でも、つい自らの価値観や一般常識に照らし合わせて判断しがちです。
だからこそ「どんな意見にも価値がある」との言葉は忘れずにいたいと思いました。

互いが、見えないものに怯えている

カトリックVSプロテスタントの対立は、ヨーロッパにおける16世紀の宗教改革に遡ります。

映画の冒頭で、市民がこういう趣旨のことを語っていたのが印象的でした。

お互いが領土を奪われることや、住んでいる土地から追い出されることに怯えている。
お互いに、見えないものに怯えているのよ。

この考え方は、様々な問題に応用可能だと気づきました。
対立の具体的な火種は多くありますが、その中に「見えないものに怯えている」も含まれているかもしれない…そう教えられました。

これを解決するのは、時間がかかるかもしれませんが、良質な問いと対話だと感じました。

***

とても素晴らしい社会派ノンフィクション作品でした。

九州では長崎だけ上映されていないのが嘆かわしい!
仲間を集めて、映画館に上映を働きかけに行こうかな。ぜひ一緒に!という方、コメントください~(^^)/

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