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【春映画】『ドラえもん』をコロナ禍のメタファーだと捉えると味わいが深かった件♯057

先日、子どもたちと一緒に見に行った今年のドラえもん春休み映画。

これが思いのほか良かった。

スートーリーはこんな感じ。

学校の音楽会に向けて、苦手なリコーダーの練習をしているのび太。
その前にあらわれた不思議な少女・ミッカは、のび太の吹くのんびりのんきな「の」の音を気に入り、
音楽がエネルギーになる惑星でつくられた“音楽【ファーレ】の殿堂”にドラえもんたちを招き入いれる。
ミッカはこの殿堂を救うため、一緒に演奏をする音楽の達人【ヴィルトゥオーゾ】を探していたのだった!
ひみつ道具「音楽家ライセンス」を使って楽器を選び、ミッカと共に演奏することで、少しずつ殿堂を復活させていくドラえもんたち。
しかし、世界から音楽を消してしまう不気味な生命体が迫ってきて、地球にも危機が・・・!!
はたして、“音楽の未来”、そして地球を救うことができるのか!?

『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』公式サイト (doraeiga.com)より

今回「なんで音楽がテーマなんだろう」と思ってたんだけど、ある点に気づくと合点がいった。
以下、私の考察。
(ネタバレを含む可能性がありますが、この点を踏まえて映画を見ると、味わい方が全然違うので是非、読んでいただけたら嬉しいです)

これ、先ほどの引用文に書かれた「世界から音楽を消してしまう不気味な生命体」がコロナウィルスのメタファと捉えて映画を見ると、非常に奥深い話になることに気づいた。

この生命体は、音楽があるところに寄ってきて、音楽を消していっては、どんどん増殖していく黒いスライムみたいな生命体なんだけど、途中でドラえもんの声までも奪おうとしてしまう。

今までのドラえもんって私が知る限り、悪者が人として存在していたように思うのだけど、今回はどこから湧き出たのかがわからない謎の生命体が敵。

そう、この生命体が増殖していく描写が、コロナウィルスが拡大していった様子にそっくりなのだ。

そして、この生命体に浸食されると、どんどん地球から音楽が無くなっていく。映画にも音楽が消えた世界が描かれていて、はじめは架空の現象として見ていたけれど、謎の生命体がコロナウィルスだと捉えると「これ、実際に起きた出来事やん!」と気づくことになる。

そう、今から3,4年前、コロナの真っただ中には、皆が集って歌うこと、音を奏でることをやめなければならなかった。軒並み幼稚園、学校が休園。当時年中児だった息子の幼稚園では、園が再開しても「歌は当面控えます」とのお知らせが届いた。コンサートも無くなり、"世界から音楽が消えた"と言っても過言ではなかった。

音楽がいかに人間にとって大切なものなのかも映画に描かれている。

それを実感する経験がコロナ禍にあった。
幼稚園も休園になり、お友達とも遊べなくなった時、東京に住む友人親子と、デジタルツールを駆使してお互いが弾ける楽器で"パプリカ"を演奏しあったことを思い出した。
息子は当時習っていたウクレレを一生懸命練習し、私も0歳だった娘と一緒に弾ける楽器を探した。
同じ空間ではないけれど、コロナ禍に、誰かと一緒に音を奏でられる喜びを感じた時間だった。

今やすっかりアフターコロナだけど、芸術が楽しめるって、イコール平和な世の中だということ。
ドラえもんの映画を見てたら、それをしみじみ感じ入ってしまった。

コロナを経験した私たちだからこそ、今回のドラえもん映画は心にしみる要素があると思う。
ドラえもんのメインターゲットの小学生にとっても、当時学校や幼稚園、保育園でコロナの影響をもろに受けた世代。自分の体験と重ねられるのではないだろうか。
我が子たちも、あの時期にできなかった経験をどうか取り戻し、この映画が示唆する「音楽のすばらしさ」をこれから先の人生で沢山経験してほしいな、と思う。

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