見出し画像

月7冊本を読む人の 読書の楽しみ方

読書は楽しい。

本の内容はもちろんのこと、
「おおっ」と唸りたくなる文章の表現や、
紙の質感、本を読む時間と場所など、

読書には、悦なポイントが随所にある。

それら全てが、「読書が楽しい」に含まれる。

その「楽しい」を続けているうちに、
読む体力がついてきた。これぞ、読む筋トレ。
気づけば、だいたい月7冊以上は読むようになっていた。

おかげで、
1冊をどれくらいの時間で読みきれるのか
マイペースがわかってきたことも収穫だった。

けれど、
読書を続けていると、結局どの本も
似たような内容であると気が付く。

それは、自分が選ぶ本が
似たり寄ったりであることが
原因のひとつだからだと思う。

なので、飽きてくるのも事実。

続けるには、工夫が必要だ。

そこで実践し始めた読書習慣があるので、
それについて書いてみたいと思う。

私の3つの読書習慣は、

  1. 自分の専門、好きなジャンルを深掘りする。

  2. 読み切らなくてもいいことにする。

  3. いつも選ばない本にチャレンジする。

である。





①自分の専門、好きなジャンルを深掘りする。


・体験を読む


私の専門、好きなジャンルは
心を扱うものが多い。

それは、自己啓発や専門書などの実用書、
小説、ノンフィクション問わずである。

心を扱う実用書の多くに、
「自分を大事にすること」についての話がある。

それが大事な結論であることはわかるけれど、
毎回同じ内容・結論ばかりでは、正直「耳タコ状態」だなぁと思う。

ただ、それでも楽しく読書ができるのは、著者の体験談を読めるからだ。

様々な立場の著者が、「自分を大事にすること」について
著者の体験を通して語っているところがおもしろい
のだ。

その体験を読むからこそ、自分自身の体験とも照らし合わせることができるし、新たな気づきが生まれるのだ。

さらには、専門外からの視点を得られることとなり、
知らなかったことがまだまだあることに気がつけるのだ。

こんなふうに、元ある知識に肉付けされていき、
腹落ちする知識が増えていくおもしろさがある。


・言葉を深める

また、「言葉の定義の多様さ」にも
気づくことができる。

例えば、
「セルフラブ」の言葉の定義について。


私は「セルフラブ(self-love)」とは
自分を愛すること、自他を思いやること
の意味だと認識している。

そして、
「自己愛」という言葉も「セルフラブ」と同義であり、self-loveの日本語訳という意味で捉えていた。

けれど、様々な書籍を読んでいく内に、
その見解が分かれていることに気がついた。

自己愛を、私と同様の認識をしている人たちがいる一方で、

「自己愛=ナルシシズム」と
認識している人が少なくないのだ。

調べてみるとナルシシズム(narcissism)も、
心理学用語では「自己愛」だと
定義されている。

しかし、自他を思いやる気持ちというよりも、
利己的な意味合いである。

(この2つの言葉の定義については
また別途記事を書いてみたいと思う)

このように、自分の専門、好きなジャンルこそ
深掘りして読んでいくことで、
認識の違いがあることを知ることができる。

すると、
言葉選びに慎重になれるし、
伝わるような表現方法を選べるようになるのだ。

▽言葉の定義について、もう少し深めた記事はこちら


②読み切らなくてもいいことにする


「1冊全てを理解しよう」という気持ちは、
いつからかなくなっていた。

文章との相性というものが
あると思っているからだ。


夏目漱石の名著『吾輩は猫である』を
読んだ時のこと。

読みにくくはないものの、
小説の世界になかなか没頭できなかった。

名著であるし、
多くの人が読んだ本であるにもかかわらず
読み切れないことに、むず痒さを感じた。

けれど、読めないものは、読めない。
途中で離脱してしまったため、
その先を読み進めることはしなかった。

ここで、大切な価値観に気づくことができた。

読書を通して知識を得たい、
思考の幅を広げたい
という考えはもちろんある。

けれど、それ以上に
読書の時間は、その世界に没頭したい。

「没頭する時間を体験したい」ということが、
私の読書時間の大きな目的だったのだ。

だから、全てを理解して読み切ることは
重要とする必要がなかったのだ。

全てを読み切らなくてもいいし、
ざっくり読み飛ばしながら読むこともある。
もちろん、じっくり読むこともいい。


読み進めたページに
少しでも心に残った文章があれば、
それをメモして「既読」としている。

(ちなみに、タイトルの「月7冊読む本」とは、読み切れた本を指しています)

多読するよりも
どれだけ本に没頭し、そこから得られたことを
自分の体験として血肉にしていくか
のほうが
重要だと感じている。


③いつも選ばない本にチャレンジする



いつも選ばないことを選ぶ、ということは
継続するための最も重要なコツだと思う。
特に「飽き性だ」と自覚している人には、
ぜひともおすすめしたい。

池上彰さんの著書『なぜ読解力が必要なのか』で書かれていたのが、NHKが出版している『100分で名著』シリーズのススメだった。

先ほど『吾輩は猫である』が読みにくかったという話をしたが、「名著が読みにくい」という現象は多くある。


なので、先に解説本を読むことで
原著を読まなくても本の大切なことを
楽に理解することができる。

おかけで今まで理解できなかった内容が
わかるようになってくるし、
興味や親近感が湧いてくるのだ。

それを知ってから早速書店に行き、
100分で名著シリーズの『存在と時間』を購入した。

驚いたのは、
ナチスの時代に「人間の在り方(being)」を
説いた著書があったということだ。

ここ数年の間で、肩書や学歴(doing)よりも
「自分が何者であるか(being)」が重要だ、
という考えが広まっている。

この思想が、およそ90年前に既にあったのだ。


そして素晴らしい著書の著者が、
ナチス政権の仲間になってしまった歴史があることも始めて知った。

いつも選ばない本を選んだとこで、
今まで触れてこなかった世界を
知ることができた体験だった。


また、美術について関心を深められたのが
原田マハさんの小説だった。

きっかけは、当時勤めていた職場の先輩に
楽園のカンヴァス』をおすすめしてもらったことがきっかけだった。
今となっては、大好きな小説家さんの1人だ。

小説という切り口から
美術の世界にも触れることができて
ピカソやルソーなどの画家や、
絵画鑑賞の面白さを体験することができた。

異邦人』もおすすめ。

いつも選ばない本にチャレンジをすることで
それがいつも選ぶジャンルになってくれる。

世界を広げ、刺激をもたらしてくれて、
今生きる世界への好奇心を
掻き立ててくれる
のだ。


池上彰さんの素敵な一文もご参考に。

「なんだかわからないなぁ」と思いながら漫然と読むのではなく、「自分はここがわからない」というポイントを理解しながら読むことが大切です。

池上彰 著『なぜ読解力が必要なのか』より


読書は楽しい


読書が楽しくなる秘訣は、
本の世界と実生活とどれだけ結び付くか

ではないだろうか。

ただ読むことが偉いわけではなく、
自分のためになる楽しい読書習慣を
続けられることが、

自分が嬉しいし、著者も嬉しい。

読む人、書く人、出版に関わる人
みんながハッピーになれることで

より面白い本がこれからも
世の中に出続けてくれるのだと思う。

まずは今日も、幸せな読書タイムを。


この記事が参加している募集

#習慣にしていること

130,488件

#わたしの本棚

17,884件

いつも楽しく読んでくださり、ありがとうございます! 書籍の購入や山道具の新調に使わせていただきます。