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ポルトガルで大福を作ってスペシャリティコーヒーを飲む会

先日の土曜日の朝、大福の作り方教室を自宅アトリエで行った。

ワークショップは、8年前の店をオープンする前は定期的にやっていたけど、それ以来なので、ドキドキ緊張、準備中も心配で、何度も頭の中で段取りをシュミレーションして臨んだ。


今回の内容は、

苺大福と、みかん大福、そして、スペシャリティコーヒーの焙煎、販売を行なっておるsgt.martinhoのゴンサロを呼んで、テイスティング

も終盤に行なった。

個人的に、小豆とコーヒーはとてもよく合うと思う。甘すぎない小豆はさっぱりしていてあまり主張をしないから、香り豊かなスペシャリティコーヒーとぶつからずに、両方楽しめる。

そういうわけで、参加者を募ったら、いつもの顧客さんを含めてすぐに満席になり、6名の生徒さんを迎えて行った。

リスボンはとても小さい街で、その中でも飲食業界や、フード関係の仕事はさらに狭い世界なので、当日来てみたら、「あれ、あなたも来てたの?!」なんてこともよくある。私にとっては常連さんでも、彼ら同士が集合することは今までなかったので、こうやって再開の場になったり、新たにこの場で知り合って友達ができたりするのっていいな、と思う。

大福は、こちらでも根強いファンがいて、店をやっている時も、電話で「今日は大福ありますか?」という問い合わせがよくあった。 こちらで人気がある大福は、苺大福やみかん大福、無花果大福などのフルーツが入っているもの。それから、スペインではクリームやアイスが入った大福が流行っていたそうで、一度苺大福を予約までして楽しみに来られたスペイン人の若い女性のお客さんにお出ししたら、「これは大福じゃない」とずいぶんがっかりして残して帰られたことが今でも忘れられない。

個人的には、餡子と求肥だけの大福が一番好きだけど、それはこちらではあまりにシンプルすぎて、和菓子に不慣れな人たちにはとっつきにくいらしい。だから、味がわかりやすいジューシーなフルーツを中に入れた大福の方が断然注文が入る。

そうそう、最初はなんだろう?とすぐにピンと来なかったことの一つに、大福のことを「Mochi(もち)」と呼ぶ人がたくさんいること。「それにはモチは入っているの?」「モチはある?」「モチが好きだから作り方を知りたい!」とかよく言われて、え?モチって、あのお餅のこと?お餅好きなんだぁ。。でも焼き餅とか、そういうこと?とか、お餅の作り方が知りたいなんて、渋い人だなぁ、とか思ったけど、実はそれは大福だったり、白玉だったりの意味だったと、会話していく中で気づいた。

このクリームあんみつに入っている白玉も、モチと呼ばれていた。

今回の教室の生徒さんは、ポルトガル人が5名とブラジル人が1名だったけど、最初の質問が「モチと大福って何が違うの?」から始まった。確かに、どっちも餅米だから、わかりにくいよね。

求肥よりも時間を割いたのは、餡子。せっかくだからこし餡の作り方を伝えたかったので、今回は苺大福用に小豆のこし餡と、みかん大福用の白餡を教えた。個人的には、大福はやっぱり漉し餡派!こし餡は工程が多いし、時間もかかるから、作り方を説明しながら、「そして、こちらができあがったものです!」とテレビ番組みたいに、出来上がったこし餡も別に用意して。小豆の方が美味しい、という人と、白餡が一番美味しい、という人と分かれて面白かった。でも、出来上がったものの中では、みかん大福が断然人気!今年は柑橘が豊作らしく、どれも甘くて美味しかったのも手伝ったのかもしれない。

ワークショップって面白いな、と思うことのもう一つの要素は、人によって参加の仕方が違うこと。料理人の人や、普段から料理している人は、率先して一緒に作業してくれる。知識をもっと取り入れたいタイプの人は、観察に徹する。私の常連さんで、フードジャーナリストの男性がいるのだけど、彼は、作業の時間になっても「いや、僕は大丈夫です。」と、もっぱら熱心にメモを取り続けたり、携帯で動画を撮ったりしている。

求肥で餡を包んでいるところ

それから、これは日本の料理教室なんかと大きく違う点だと感じるのは、こちらは参加者の割合が、男性と女性が半々だということ。男性の方が多い時だってある。私の印象では、日本食が好きで、家で和食を作っては人を招いて腕を振るっているのは、ポルトガルでは断然男性が多い。しかも、写真だけを見せてもらうと、結構な懲りようで、寿司や刺身の他に、丼物やかぶと煮なんかまで作っていたり、結構すごいのである。


今回のスペシャリティコーヒーの説明とテイスティングのために参加してくれたゴンサロは、普段は「スペシャリティコーヒーなんて、高いし味も普段飲んでいるものと違いすぎて、これはコーヒーではない!なんて言われるんだよ」とよく言っているけど、お客さんの顔ぶれを見て「今日のお客さんは自分よりコーヒーに詳しい人が何人もいる、、。」と少し緊張して準備していた。

ドリップとフレンチプレスの2通りで作って比べる

ゴンサロが説明している時も、たくさんの質問が投げかけられたし、コーヒーの輸入に関する問題や定義まで話題に上り、私的にもとても意義のある、面白いテイスティング会となった。味わった中でもやっぱり私が個人的に大好きなのは、エチオピアのGidamiという豆で、本当に素晴らしい香りと味わいでうっとりする。

ワークショップを終えて何人かが言ったことは、「ものすごく楽しくて素晴らしいワークショップだった!でも家で大福を作るかはわからないなぁ。材料を揃えるのもハードルが高いし!」ということだった。確かに、材料揃えるのが一番ハードル高いよね。でも、まずは本来のこし餡などの味わいや作り方を知って欲しかったから。次は簡単に作れるお手軽大福を紹介してみようかな!


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