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小説『衝撃の片想い』シンプル版

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大長編小説『衝撃の片想い』のシンプル版。読みやすく直しました。よろしくお願いします。
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#PTSD

小説『衝撃の片想い』シンプル版【第二話】⑧

小説『衝撃の片想い』シンプル版【第二話】⑧

【本当の恋人】



「ルームサービスで部屋に入ってくる女性は、レベル1だから安心してください」
ゆう子はAZを触って、そう教えたが、こっそり『原因』ボタンで、友哉のPTSDについて調べていた。
――病院の水着の写真は誰のこと?
入力で「水着の写真」と入れて、さらにAZに問いかけるように訊く。口には出さない。頭の中で話しかける。
『相手の女性のプライバシーに関わることで答えられません』
――天井

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小説『衝撃の片想い』シンプル版 【第二話】⑦

小説『衝撃の片想い』シンプル版 【第二話】⑦

【水着の写真】

カバーイラスト 藤沢奈緒さん



ゆう子がメイクを直して、部屋に戻ってきた。
「俺が車の影に隠れたのを見てた?」
「うん」
ベッドの横に椅子を持ってきたゆう子は、なぜかショーツを白に替えていた。
「す、すまん。かわいいけど、ちょっと見えないようにしてくれないか」
苦笑いして頼むと、ゆう子は何も言わずに太ももの上にバスタオルを置いた。
「レストランから出てしばらくは体調が良かっ

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小説『衝撃の片想い』シンプル版 【第一話】⑨

小説『衝撃の片想い』シンプル版 【第一話】⑨

【二度目の衝撃】



奥原ゆう子は、今日、初めて会った佐々木友哉にひどく緊張していた。
眠れないのだろうか。何度も彼はトイレに立ったが、その背中を目で追っている自分を止めることができない。
――思ったよりも、ずっと、ずっとかっこいい。しなやかに歩く所作と言い、緩急をつける喋り方。サングラスの外し方…。しかもなんてスリムで筋肉質なんだ。
「体重は何キロですか」
と、寝る前に訊いたら、「57kg」

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