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『教育』という固定した枠では語りたくないあの子達のこと

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主に小学生から高校生までの、そこら辺にいる子供達のやりとりを中心に語ります。教員をしていた頃と、メンターとして課外授業に関わっている今。 知って欲しいあの子達、この子達のことを少…
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もっと抱きしめてやればよかったタロウのこと④

もっと抱きしめてやればよかったタロウのこと④

タロウが相変わらず授業中に暴れて、大騒ぎした後のこと。

私はその日も、タロウにブチギレた。

他の子供達に自習を伝えて、隣のクラスの先生にも様子だけみておいてくださいとお願いして、大暴れするタロウを引きずって、教室を出た。

私は泣いていた。

『もうこれ以上、あんたを守りきれん❗️先生、どうしてええか分からん❗️あんたはどうしたいの⁉️どうなりたいの⁉️先生、もう分からん‼️』

私の顔を見て

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もっと抱きしめてやればよかったタロウのこと③

もっと抱きしめてやればよかったタロウのこと③

タロウの家は父子家庭になっていた。

隣の校区にある父の実家から、タロウは校区外申請を出して通学することになった。

日常的に繰り広げられるクラス内での揉め事。
私がいてもいなくても変わらない、数々の友達に対する意地悪。

そんなことが起こる度に、お父さんの携帯に電話をして、「本当にすみません。私の目が行き届かなかったせいで、またトラブルを起こしてしまいました。」と謝ることばかりだった。

そんな

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もっと抱きしめてやればよかったタロウのこと②

もっと抱きしめてやればよかったタロウのこと②

タロウの言動がクラスをかき回していること、
私がそれに手を焼いていること...

それにいち早く気づいた1人の保護者(お母さん)がいた。

そのお母さんは、
毎日愛娘が学校から帰宅する度に

『あんた、今日は学校で嫌なことなかった❓』

と聞く人だった。

『嫌なことなかったか❓』と親に毎日聞かれる子供は、「自分が嫌だったことを伝えた方が、親が喜んでくれる」ということにじきに気づき始める。

だか

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もっと抱きしめてやればよかったタロウのこと①

もっと抱きしめてやればよかったタロウのこと①

タロウのことを思い出す。

タロウは私が教員3年目に担任した男の子で、当時は小学1年生。
今は高3になっている。
そろそろ卒業やな。

3月になって、余計にタロウを思う。

タロウはヒョロんと背が高くて、
運動神経がめちゃくちゃ悪いくせにやたらと動き回る、可愛い顔した男の子。

じっと座っていられない。
気になることがあると騒ぐ、動き回る。
機械的な計算問題は得意やけど、
読解問題や、相手の気持ち

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自分の嫌だをわかってくれない人とは一緒に居なくていい

自分の嫌だをわかってくれない人とは一緒に居なくていい

嫌だと表現できる力は
生きるために大切な力

私は嫌だ
どうしても嫌だ
なんで?って聞かれてもうまく説明できない
でも、嫌だ...

そんなことがある。

そんな時に、

なんで嫌なん?
何が嫌なん?
別に大したことないやん?
そういう意味ちゃうやん?

そう言われ続けると、動悸がくる。
しんどい。
ここから離れたい...
そう感じる。

私が今まで出会ってきた子供たちの中には
そんな感じ方をする

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HSPとかシングルマザーとか発達障害とか...全部ただのラベリングに過ぎないってこと

HSPとかシングルマザーとか発達障害とか...全部ただのラベリングに過ぎないってこと

ほんまに必要なラベリングなのか、
実は不要なラベリングなのか...

私、ここ数ヶ月くらい前に
『あ!私ってHSPなんや!!しかも、行動しまくり型のHSSなんや!』って、自分で気づいたタイプの人。

それが分かった時、めちゃくちゃホッとしたのを覚えている。

『私が努力不足でダメな人間やから、こんなに頻繁に心が落ち込む、、、わけじゃない!!』

生まれて初めてそう思えて、めちゃくちゃ心が穏やかにな

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夢や目標を持たねば価値がない!なんてことはない(夢と移住の関連性)

夢や目標を持たねば価値がない!なんてことはない(夢と移住の関連性)

近頃、今までの自分の考え方(価値観)を疑うことが増えてきている。

例えば、

“夢や目標は必要!!”

特に、若者には
夢も希望も絶対必要!

そう信じてきてやってきたわけなのだが、今はその思いを疑いまくっている。

ほんまに夢や目標がないとあかんのか?

仕事で高校生たちと関わる中で、よく出会う場面。

大人たちが、生徒を褒める。

『やりたいことや、目標が見つかって本当に良かった!その前向き

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怖いことはいっぱいあるけど、できることが増えたら嬉しいねん

私は黙って、
ただ彼女の指の間から
ハラハラと髪の毛が抜け落ちていくのを見ていた。

特別支援学校、職業クラス高等部2年の担任になったばかりの4月のこと。

ハラハラと、少しずつ、
ブチブチって小さな音がしてるのかどうか分かるか分からないくらいの感じで、
白い教室の床の上に
彼女の黒い真っ直ぐな髪の毛が落ちていく。

鼻をすする音と、
彼女の髪が落ちるハラハラ。

高校二年生の彼女は、
パニックに

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あんたに俺らの痛みが分かるんか?!分からへんやろ!

あんたに俺らの痛みが分かるんか?!分からへんやろ!

高校二年の彼に言われたこと言葉は、
いまだにはっきり覚えている。

その時の教室の空気感、
机の位置、彼の興奮した息遣い...

特別支援学校で高等部二年の職業コースの担任になってすぐ、クラスの男子にこう言われたんや。

彼が授業中、突然酷いことを言って、
ある女の子を泣かせた。

だから少し時間を置いた後、落ち着いてから彼を呼んで2人で話した。
『何があったの?』って努めて穏やかに聞いたんや。そ

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