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【詩】瞳のうた

(※画像は「みんなのフォトギャラリー」からお借りしたものです。)  (※媒体により、不自然な改行となることがあります。)

はじめて会ったあの日                        あなたは子供らしくない冷めた目をしていた              肘をついて 空を見てる                       その瞳にひこうき雲一つ

遠くからあなたを見たあの日                     あなたは仲間たちと笑い合っていた                  肩を組み 声をそろえて                       その瞳にみなぎる自信

けれど世界はあなたから                       光を奪い去っていった

再会を果たしたあの日                        あなたの瞳は闇だけを映した                     狂気さえもはらんだその瞳に                     哀しみの欠片、見え隠れする

それから歳月とどまることを知らず                  風が告げるのは冷たい噂ばかり


あなたの本心を聴いたあの日                     あなたは慟哭とともに血の涙を流す                  刃を交え、拳を交え                         哀しみばかり増してゆく

私は手を組み天を仰ぐ                        どうか彼に救済を


手を取り合うことができたあの日                   あなたは仲間たちと前を向いていた                  全身からあふれる”信頼”                       その瞳、もう一度強く輝く

そして私は知ることとなる                      彼は安寧に棲めぬ者だと


もう一度私の前に現れたあの日                    彼の瞳に光はなく、こぼれた笑みすら痛ましい             己の終焉さえも見据えた                       その瞳、まだ希望を見ている


世界があなたに影を落としたあの日

あなたの瞳にもう一度だけ宿ったその光を

その輝きを

私は、生涯、忘れることはないだろう



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