ガネーシャ神に導かれてカレーを食す(西新宿五丁目)
仕事で、東京23区内をうろつく機会が増え、歩き疲れて、特に何も調べずにフラッとお店に入ることが多くなった。
最近は、グーグルマップで「カフェ」と入力すると自分のいる場所の近くにあるカフェを提示してくれ、一般の方々のコメントや写真まであり、とても探しやすくなったが、あえてコメントを見ずに入るのも楽しい。
本日は新宿五丁目を朝早くからウロウロ。新宿中央公園におしゃれカフェができて、こんなに素敵な公園でしたっけか?なんて思いながら歩く。
朝早くから仕事をしたもんだから11時くらいに腹の虫がなり始めた。ここいらでランチタイムとしますか・・・と歩きなれない西新宿五丁目の住宅街の中をさまよう。
そして突然現れたのがガネーシャ神!
バックパッカーで訪れなければならない国NO1インドで、見事に沈没し、毎日ダラダラと街をうろついていたとき、安宿のご家族が毎日お祈りをしてプージャー(供養)をしていたのが象の頭をもち、4本の腕をもつ一度見たら忘れられないガネーシャ神。
「毎日、ただウロウロするだけなら、あなたもガネーシャ神にお供えして、手を合わせなさい。これからの人生において素晴らしいカルマ(功徳)となるから」
といわれ、よくわからないまま毎日、宿にあったガネーシャ神へお水をお供えしたり、お香をたいたりして手を合わせた。
からかどうかわからないが、その後の旅で危険な目にもあわなかったし、いい人たちに巡り合えたし、とてもよい旅ができた。
という経験から、ガネーシャ神があるとつい立ち止まって、手を合わせてしまうクセがついてしまったのだ。人様の家の前で、そっと手をあわせていると、スパイスの複合的な香りとともにカレーの匂いが漂ってきた。
カレー屋さんだったのかと今更ながら気づく。今日はカレーで決定!
「OPEN」の看板が掲げられているから、ガラガラと音を立てながら入っていった。
「まだですよ~。11時半からですよ~ちょっと待ってね~」
口ひげをはやしたインド人(たぶん)が笑顔とともに微妙なイントネーションで言ってきた。あと20分待ってまで食べるべきか・・・いや、食べるべき。ガネーシャ神にきちんとプージャをしているお店が作るカレーはうまいに決まっている。
待っているから、少しは早く開けてくれるかなと淡い期待を抱いたが11時半ジャストにオープン。そんなところだけ日本ルールになっているカレーや。
狭い店内にはカレーの香りが充満し、もう早く食べたくてうずうずしてきた。
初めての店ではオーソドックスなメニューを注文するのがセオリーだが、おいしいキーマカレーになかなか出会っていないので、ここは思い切ってガネーシャ神に祈りつつ、エッグキーマセットをオーダー。
いたってシンプルな見た目ながら香りが鼻腔をずんずん刺激する。卵を混ぜる前にまずはキーマの実力のほどを。
一口含んだだけで、スパイスが織りなす辛味、甘味が重層的な味わいとなって口の中をかけめぐる。こ、これは南インドで食べたおいしい食堂のカレーの味わいによく似ている。
玉子焼きの黄身を崩し、まぜまぜして食べると、卵の甘味が濃厚な旨味を演出してくれる。お腹がすいていたのもあるがあっという間にぺろり。
あまりにおいしくて、一心不乱に食べていたから気づかなかったが、いつのまにやら満席。しかも、外にも人がずらり。
調べてみると食べログのアジア・エスニック部門で百名店に選ばれるほどの人気店だった。どうりでうまいわけだ。
ラッシーでも飲んでお口直しをしようかと思ったが外で待っている人たちもいるのでさっさと退出。
突撃で入ったお店が当たりだとなんだか得したような気分になる。こうなると食後のコーヒーが飲みたくなる。今日はついている。次なるターゲットは老舗喫茶、もしくは最近お気に入りの古民家カフェに出会えるかもしれないと期待半分で歩き始めた。
つづく・・・