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②オンライン大学院生!ロンドンメトロポリタン大学 会議通訳修士課程で学ぶ

こんにちは!

私の住むオックスフォードは、冷たい風の吹き荒れる寒い週末となりました。でも大雨が降らない限り、みなこぞって長めの散歩に出かけます。もともとイギリス人は大の散歩好きな上、厳しいロックダウン中の数少ない娯楽ですから。

私は現在、ロンドンメトロポリタン大学の会議通訳修士コースで勉強しています。前回は、私が大学院に進学するまでの経緯について書きました。今回は、実際の通訳演習がどのようにオンラインで提供されたのか、詳しい授業の時間割や使用されたITツールについて書いてみたいと思います。

前期のモジュール

2020年の新学期は、10月から正式にスタートしました。しかし会議通訳修士コースは、前月の9月から、新入生へのオリエンテーションを兼ねた非公式のセッションから始まりました。この先行セッションは週1回オンラインで提供されました。実際の授業形態や、プラットフォームとして使用されるZoomに慣れるための目的もあったようです。Zoomで1コマ2時間の授業を、午前と午後で、1日に2コマ受けるための予行演習です。また、一緒に学ぶ18名のクラスメイトとも、ここで顔を合わせることができました。今年は、日本語の学生が私を含めて2人。その他に、英語、フランス語、イタリア語、中国語、ポーランド語、スペイン語、アラビア語、ドイツ語、を母国語(A言語)とする学生が集まっており、一般の授業は全て英語で行われます。その他に、言語別に特化した授業も、言語ごとにチューター(Language tutor)と呼ばれる講師が付いて指導してくれます。チューターの先生方は全員、経験豊富な現役の会議通訳者です。

前期(10月〜1月)のモジュールは、全部で以下の3つでした。
①会議通訳1: 逐次通訳(英語→母国語)
②会議通訳2: 逐次通訳(母国語→英語)
③通訳理論

以上の科目で週3日間、さらに週1日は演習のみの授業があります。つまりフルタイム(1年間)の学生は、合計週4日間のオンライン授業に出席することになります。しかし、私はパートタイム(2年間)学生のため、1年目の前期は、①と②のみの履修としました。それに加えて、週1回の演習にも可能な限り参加しました。また、日本語チューターの先生(グリンズでもお世話になっているグリーン裕美先生)との授業も、毎週2コマ行われます。私は仕事と家庭の事情からパートタイム学生を選んだのですが、全ての授業出席と提出課題を含めると、思った以上に過密なスケジュールとなりました。

オンライン授業で一日の流れ

各科目ごとに、授業は1日4時間となります。午前中2時間、午後2時間ですが、途中で15分ずつの休憩が入ります。そして午前と午後の間に、約1時間15分の昼休みが入り、オンラインでの授業に学生が疲れないよう配慮されたスケジュールとなっています。午前中の授業が10:30から開始、午後は16:30頃に終了です。前期は10月~1月の12週間で(間にクリスマス休暇あり)、1月の最終週に、前期修了試験がオンラインで行われました。

様々なテクノロジーの活用

授業の中でも、メインのZoom以外に、様々なツールが使用されています。まず毎回の授業やイベントの予定はZoomリンクも含め、google カレンダーで全員に共有されます。また授業中、学生に匿名で簡単なアンケートをとる場合には、google formMentimeterです。授業でマテリアルされるマテリアルや参照リンクなどは、Padletというプラットフォームが使われています。これは授業の中で扱う内容がトピックごとに整理できるし、学生が同時に意見を書き込んでいくこともできる便利なツールです。逐次通訳に欠かせないノート・ティキングは、Jamboardというイラストや記号を描いて共有できるアプリが活躍しました。このアプリは画像の共有も出来るので、紙で取ったメモを、各自写真を撮ってアップロードし共有したりしました。課題の提出にはgoogle driveが使用されます。また、授業中は数人のチームでZoomのブレークアウト・ルームに分かれてディスカッションし、その内容をgoogle docsに入力して共有することも多々あります。授業以外でのイベントや、連絡事項などコミュニケーションは、MeWeというアプリが活躍しています。その他にも、学生のみでWhatsApp(日本だとLINEのような使わ方)のグループもあります。

後からわかったことですが、イギリスの大学が一斉にオンライン授業に移行した中で、コース提供者側のITリテラシーによって、授業のクオリティと満足度に大きな差があるようです。その点で、ロンドンメットの会議通訳修士コースでは、コースリーダのダニエル先生を始め、講師陣はあらゆるITツールを使いこなし、効果的な授業を提供しています。

オンライン vs. 対面

ヨーロッパ各国の学生の中には、ロンドンに移住することなく、それぞれの国に留まってオンラン授業に出席している人たちも少なからずいます。しかしこれに関しては、学生個々の事情によって賛否両論だと思います。やはり、対面のキャンパスで行われる授業を望む声が多数派なのが現実だと思います。学生同士で気軽に集まったり、放課後にちょっとおしゃべり、などという点は対面に勝るものはありません。

個人的には、通学がない分、在宅で仕事や家事、子育てが両立できることは、本当に有難いことでした。朝、授業開始前にスーパーに買い出しに行き→昼休みに夕飯を作り→授業終了と同時に子供を迎えに行く→夜と授業のない日は仕事と課題に取り組む、という生活です。決して時間に余裕はありませんでしたが、それでも私のような状況でも大学院で学ぶことが可能だったのは、オンラインの恩恵でしかありません。また、止むを得ない事情で授業に出席できなくても、授業は全て録画されているので、後で授業に追いつくことができますそれも有難い特典でした。

次回は、私が履修した逐次通訳モジュールの詳しい内容を書きたいと思います。

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