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【本】天職の見つけかた⇒『マルチ・ポテンシャライト 好きなことを次々と仕事にして、一生食っていく方法』

アジアで働くワーママ ユキコ(@SanoYukiko)です。

このnoteでご紹介する記念すべき一冊目はこちら。

『マルチ・ポテンシャライト 好きなことを次々と仕事にして、一生食っていく方法』です。

こんな人は読まないで!

天職を探してる人はたくさんいると思うけど、ぶっちゃけ、読み手を選ぶ本。なので、以下に当てはまらない人は、時間の無駄だと思うから読まないでください。

1)自分は器用貧乏だと思う
2)「飽きっぽい」という自覚がある/言われたことがある
3)好奇心旺盛、いろんなことに興味があり、一つに絞りこめない
4)スペシャリストになりたい。けど、なりきれない。
5)自分の天職がみつからない/わからない

そして、これに当てはまるひとは、「自分のための本だ!」という感覚を大なり小なり持つのではないかと思う。

私自身はといえば、この5つすべてにあてはまっている。「全国の器用貧乏あつまれー!」と呼びかけたかったくらい。まさに長年の悩みと迷いの軌跡を言語化してくれたのがこの本だ!という感じ。と同時に、この本を読んで、今の仕事は天職なんだなとも思った次第。

天職は一つとは限らない

「大きくなったら何になりたいの?」という質問。誰しも一度や二度、聞かれことがあると思う。私自身、息子に聞いたこともある。

(ちなみに、息子の答えは、「ん?知らない」でした。本当は「わからない」と言いたかったんだろうけど、I don't knowを英語優位の6歳児が日本語変換すると「知らない」になってしまうようだ…)

著者は、この「大人になったら何になりたいの?」というには、「一つに絞れ」という含みがあり、心を打ち砕くパワーをもっていると書いている。

確かに、これにもなりたい!あれにもなりたい!というと、だいたいの場合、「え、ぜんぶは無理でしょ?」という答えが返ってくるだろうし、進路指導もキャリア相談にしても、専攻や職業は「一つに絞るもの」という暗黙の了解がある。

社会に出てからも、「スペシャリスト志向」で専門分野を持つことが成功への近道だと考えている人は多いと思う。私の業界(=国際開発)もそうだ。どこの組織も、ポジション名は「◎◎スペシャリスト」であり、採用プロセスでもその専門分野に関する知識と実務経験が決め手になる。

でも、この固定観念ともいえる「一つに絞ってスペシャリストを目指す」的な枠組みにはまらない人もいると思う。複数のテーマに興味があったり、やりたいことを一つに絞れこめなかったり、それに対する否定的な風潮が「天職が見つからない」「目的がない」という風になってしまうんじゃなかろうか。

天職もやりたいことも一つでなくていい。You can be ”EVERYTHING".

私自身、キャリアの悩みはここ10年くらいだけど、飽きっぽくて器用貧乏な自分を受け容れるのに何十年もかかったから(今もまだ途上)、「あなたは何にだってなれる」「一つじゃなくていいんだよ」と子どもの頃に誰かから言われていたら、もしかしたら、違う人生になってたかもなー。

だから、お子さんがいる人は、「大きくなったら何になりたいの?」という質問は今日から封印しよう。

マルチ・ポテンシャライト(マルポテ)とは?

コメディアンの片岡鶴太郎さん、又吉直樹さんや山崎静代さん、イラストレーターのリリー・フランキーさん、サッカーの本田選手、俳優の斎藤工さん…この方たちの名前を聞いて、何を思い浮かべるだろう?

共通するのは、日本で「マルチ・ポテンシャライト」(以下、マルポテとします)として活躍していらっしゃる方々であること。(「訳者あとがき」より。実は、私自身、この方たちの活躍ぶりを存じあげない…)

「マルチ・ポテンシャライト」(以下、マルポテ)とは、

さまざまなことに興味を持ち、多くのことをクリエイティブに探究する人。マルチ=多くの、ポテンシャル=潜在能力、アイト=人

多方面に興味関心を形にしたり才能を発揮できたりするのは素晴らしいことだし、「そうか、自分はマルポテなのか」と気づくだけで、気持ちが楽になる人は結構いるんじゃないかと思う。

マルポテは、複数の分野にまたがり(あるいは融合させ)、それらが交わる場所で活動しているので、分野と分野の関連性について、深い知識と経験を得ることができる=それが専門分野になるのだ。

オリジナリティやクリエイティビティというのは、ゼロからつくりだすものとは限らず、「既存のアイデアのかけ合わせや組み合わせだ」というのは、よく言われていることだと思う。であれば、マルポテは「新しい価値」を生み出す力をもっているということなのだ。

マルチ・ポテンシャライト(マルポテ)のチャレンジ

そうはいっても、現代社会は、マルポテに追い風なわけではい。むしろ、日本の社会ではまだまだマイノリティといってもよいかもしれない。(実際、私もこの本を読んでいて、アメリカだから可能なのかもなという感覚は何度か持った)

著者は、マルポテというユニークな気質に恵まれたばかりに、課題を背負っているとも指摘している。それが、この3つだ。

①仕事、②生産性、③自尊心

マルポテは、一つのことを永遠にやり続けるなんておぞましいと思っているだろうけど(私も!)、興味関心が変わるごとに職を変えるのは現実的でないし、経済的にも不安定だ。

人に与えられた時間は1日24時間と平等なのに対し、マルポテは、複数の興味関心、プロジェクトを複数、時には同時並行でまわしていくことが求められる/本人が望んでいるため、生産性をあげることも必要になってくる。

そして、自尊心の問題。「マルポテ」を自認している私も、いまだに襲われることがある「飽きっぽいことへのうしろめたさ」、「多くのことに手を出せば二流で終わる」「一流になれない」という不安な気持ち。

この本では、これらの課題をどう乗り越えていくのか?についても、ワークモデル(働きかた)、生産性システムのつくりかた、不安への対処方法など具体的に提案されている。

正直、生産性システムや不安への対処方法は、マルポテ固有の要素も多少はあるけれど、解決方法としては、それなりに問題意識をもって生きているひとであれば、割と一般的なものなんじゃないかと思う。(ので、ここでは詳しく触れない)

マルチ・ポテンシャライト(マルポテ)の4つのワークモデル

やはり、この本の真骨頂は、4つのワークモデルを提示していることだと思うので、それを簡単に紹介すると、

①グループハグ・アプローチ:一つの多面的な仕事またはビジネスに携わることで、職場で多くの役割を担い、いくつもの分野を行き来すること

②スラッシュ・アプローチ:パートタイム的な仕事やビジネスをいくつか掛け持ちし、日常的に飛び回ること

③アインシュタイン・アプローチ:生活を支える十分な収入を生み出し、他の情熱を追求する時間とエネルギーを残してくれるフルタイムの仕事かビジネスに携わること

④フェニックス(不治鳥)・アプローチ:ある業界で数か月、もしくは数年働いたあと、方向転換して、新たな業界で新たなキャリアをスタートさせること

それぞれのワークモデルについて、1章ずつを割いて、特徴や働きかたの具体例なども交え、詳しく説明している。

各章の終わりに、セルフチェックのためのワークもついているので、自分がどのモデルに向いているのかわからないという人は、一通り読んでワークをやってみてもいいと思う。当たりがついている人は、該当する章だけを読んで、自分の来し方を振り返りつつ、これからの未来に思いを馳せながらながら読んでみるのもいいかもしれない。

著者も書いているけれど、マルポテにとって理想的なただ一つのキャリアパスなど存在していないので、それこそ、この4つのワークモデルを組み合わせてハイブリッド型にしたり、ライフステージにあわせて、モデルチェンジをしてもいいんじゃないかと思う。

そういう選択肢があるのかー!と思うだけで、ワクワクしてしまう私は、やはりマルポテなんだろう。笑

で、あんたはどう(どれ)なん?

ということについては、既に相当長くなってしまったので、次の記事にします。

少し前に、わが業界のスペシャリスト志向について飲みながら東京の同僚と話す機会があったのですが、その同僚が「肩書を絞らないからこそ、できる仕事があると思う」といっていたことを思い出した。

と余韻を残して(残ったのか?)、筆をおこう。

「飽きっぽい」「器用貧乏」といった悩みを持っている人が、これからの働きかたを考えてみるヒントがつまった本なので、アンテナに引っかかった方はぜひ。

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