佐野恒平/さのこうへい

雪割納豆の製造・㈱ゆきんこ 代表取締役 雪割納豆について、山形・置賜地域を中心に納豆や…

佐野恒平/さのこうへい

雪割納豆の製造・㈱ゆきんこ 代表取締役 雪割納豆について、山形・置賜地域を中心に納豆や発酵文化・食品について紹介します 番外編は魚についても書いていきます。 山形県米沢市出身、東北芸術工科大学芸術学部芸術学科(歴産)卒業。

最近の記事

雪割納豆のあれこれ㉔ごと納豆の起源!を探る、大きな謎⁈

本日のお話は、「ごと納豆」の起源について。雪割納豆の歴史・文化を語るうえで、最大の謎になる。これまで「雪割納豆のあれこれ」でお話したとおり、雪割納豆は、ごと納豆を商品化したことは周知のとおりだ。私自身、引き継いで10年、ごと納豆や雪割納豆について様々な資料を収集し、調べてきた。郷土資料や地元の大学資料など、少なからず様々な立場の方が雪割納豆やごと納豆についての記録している。ただ1つ言えることは、歴史的な資料(文献や古文書)にはごと納豆の文字は見当たらない。昭和40年以降の納豆

    • 雪割納豆のあれこれ㉓塩こうじ納豆!雪割納豆の仲間たち!

      本日は塩こうじ納豆のお話。スーパーマーケットの納豆売場を思い浮かべていただきたい。納豆売場には、ナショナルブランド(タカノフーズさん【おかめ納豆】・ミツカンさん【金のつぶ・くめ納豆】・あずま食品さん)など、いわゆる大手メーカーさんが、そして地域の大手メーカーさん(東北地方の場合、ヤマダフーズさんなど)、そして地場の納豆製造者さんの商品が、陳列されている。スーパーマーケットの納豆売場は、納豆業界のシェアや現在のトレンドを読み取るに最適なのだ。また、その地場の納豆屋さんも必ず品揃

      • 雪割納豆のあれこれ㉒お米と米糀のお話!地域の仲間と共に!

        6月も終盤、6月にしては暑い日が続いています。田んぼの稲も少しづつ成長し、空の青・田んぼの緑と初夏の風景を感じる置賜盆地です。梅雨入りが遅いので、雨が降らず、田畑は喉が渇いているように感じます。そろそろ恵の雨を期待したいです(本日は降ってます!)。本日は雪割納豆の原料のお米と米糀についてお話いたします。反復ですが、雪割納豆の原料は、大豆・お米(米糀)・塩・納豆菌がです。主原料は大豆とお米。そのお米と糀のお話になります。 雪割納豆は自社でひきわり納豆をこしらえ、その後、米糀を混

        • 雪割納豆のあれこれ㉑ゆきんこの設立と雪割納豆の継承!

          2014年4月、株式会社ゆきんこを設立した。今年で11年目になる。ゆきんこの設立の第1の目的は雪割納豆の継承になる。当初、株式会社ゆきんこにしようか、雪割納豆株式会社にしようか、多少考えたが、ゆきんこに決めた。 ゆきんこの信念  ①「雪国の食文化と子供たちの未来のために」 地域の伝統発酵食品である「雪割納豆」の製造をスタートに、雪国地域の伝統食文化の継承と子供たちの豊かな食文化を育むために活動する ②「old is new」=「考古造新」 古きを考え、新しきを造る。地域の歴

        雪割納豆のあれこれ㉔ごと納豆の起源!を探る、大きな謎⁈

          雪割納豆のあれこれ⑳まるよねさんの功績。手前ごと納豆から専門化に!

          書き始めて3ヵ月、今回で節目の20話目となる。本日は、雪割納豆の誕生の立役者、そして前製造会社・まるよね食品工業さんの功績についてお話をしたい。(誕生秘話については雪割納豆のあれこれ③をお読みいただきたい) なんと言っても、1番の功績は「ごと納豆」を「雪割納豆」して商品化をしたことになる。それまで雪割納豆の元となる「ごと納豆」は各農家や家庭で、必要な分を、必要な時に、作れる分だけ、と言う事になる。地域の食文化として、昔から食べられている物、各々の「ごと納豆」が存在した訳だ。言

          雪割納豆のあれこれ⑳まるよねさんの功績。手前ごと納豆から専門化に!

          雪割納豆のあれこれ⑲納豆汁(雪割納豆入り)最高の肉汁!

          本日は納豆汁について。納豆汁と言えば、東北地方の郷土料理、特に秋田県や山形県の内陸部の食べ物という印象をお持ち方が多いのでは。また、季節的には冬のイメージが。11月から2月いっぱい、地元山形では、量販店や小売店で季節的に品揃えされる。そして温かくなる3月ぐらいから売場から姿を消していく。また、俳句では納豆汁は冬の季語として使われる。やはり、寒さの厳しい、東北そして冬のイメージです! 納豆汁は、納豆のとろみで冷めにくく、寒い冬に体を温める汁物として各家庭でつくり、食べられてきま

          雪割納豆のあれこれ⑲納豆汁(雪割納豆入り)最高の肉汁!

          雪割納豆のあれこれ⑱山形県納豆組合に初参加!

          先日、5月25日(土)に最上町瀬見温泉にて、第73期・山形県納豆組合・通常総会が開催された。ゆきんこ設立、11年目で初参加となった。言い換えれば、これまで組合には所属していないという事である。現理事長の高畠納豆の加藤社長にお願いをして参加の運びとなった。そして、この度の総会で組合員のみなさんの承認を頂き、晴れて山形県納豆組合の会員になったのである。山形県納豆組合の設立は昭和28年(1953年)、設立当初の加盟数は存じないが、「納豆沿革史」の発刊された昭和50年の組合企業数は3

          雪割納豆のあれこれ⑱山形県納豆組合に初参加!

          雪割納豆のあれこれ⑰納豆の消費量は典型的な東高西低!いったいなぜ?

          総務省の家計調査から、都道府県別納豆消費ランキング(県庁所在地と政令指定都市)が毎年発表されている。福島市や盛岡市・水戸市などが1位を争っている。この調査で注目したいことは、北海道・東北・関東と全国的に見て、典型的な東高西低型で、北日本が圧倒的に高いことである。昔から、関西人や西の人は納豆が嫌いと言われることがあるが、嫌いの一言で終わるようなお話では勿体ない(笑)。長い長い歴史と文化が大きく食文化に関係していると考えたい。そこで、本日はいったいなぜ東高西低なのかある1つ資料か

          雪割納豆のあれこれ⑰納豆の消費量は典型的な東高西低!いったいなぜ?

          雪割納豆のあれこれ⑯お客様から聞かれる2つの質問!

          本日は2つの質問について。1つ目は、「雪割納豆は常温で配送できますか?」お答えとしては、「商品特性上お勧め致しません。また弊社としては常温発送はお断りしております」。心情的には出来ます(笑)。では詳しくご説明いたします。第15話でお話した通り、雪割納豆は発酵を止めておりません。納豆菌と麹菌は発酵し続けています。ただ雪割納豆は3つの方法で微生物の活動を抑制しています。1つは塩による塩分濃度、2つ目は完成した納豆を袋(ビニール)に詰めて、真空包装を施し空気を無くす事、3つ目は、低

          雪割納豆のあれこれ⑯お客様から聞かれる2つの質問!

          雪割納豆のあれこれ⑮雪割納豆いつでも発酵中!

          雪割納豆は、いつでも発酵中!という事で、雪割納豆は発酵し続けています。言い方を変えれば、発酵を止めていないという事です。スーパーマーケットの売場を思い浮かべてください。納豆は冷蔵ケース、お味噌は常温棚、お醤油は常温棚、同じ発酵食品でも温度帯の扱いが違っています(全部ではありません、ほとんど。お味噌もお醤油も冷蔵商品はもちろんあります。お醤油はなかなか見ないけど)なぜ温度帯に違いがあるのか、1番の要因は発酵を止めているか、止めていないか。2番目は塩分濃度になります。納豆は発酵し

          雪割納豆のあれこれ⑮雪割納豆いつでも発酵中!

          雪割納豆のあれこれ⑭雪割納豆かんずり入り ご当地発酵コラボレーション!

          本日は、5月3日の祝日(憲法記念日)。ここ米沢では春のお祭り、上杉祭りが開催されいる。午前中は武者行列となり米沢市内をねり歩く。また、午後からは松川河川敷で、川中島合戦が行われる。川中島合戦は上杉謙信と武田信玄による戦国時代の戦になる。永禄4年(1561年)の第4次川中島合戦の一騎打ち、三太刀七太刀の逸話が有名である。そこで本日は、上杉繋がりという事で、雪割納豆のかんずり入りについてご紹介していきたい。なぜ上杉繋がりか、雪割納豆の誕生の地米沢は、上杉氏の城下町、そして雪割納豆

          雪割納豆のあれこれ⑭雪割納豆かんずり入り ご当地発酵コラボレーション!

          雪割納豆のあれこれ⑬納豆菌・バチルス ズブチルス、オール山形県産!

          バチルス ズブチルス、何かの呪文のように聞こえるかも知れないが、納豆菌の学名になる。納豆菌は枯草菌の1種、枯草菌とは、土や植物に普遍的に存在する細菌で、その1つの納豆菌を利用して、日本人は古来から納豆を食べてきた。日本では、縄文時代中期から大豆の栽培が始まり、縄文晩期に稲作が伝えられたと言われる。大豆と稲藁の併存は、各地に納豆の発祥伝説を生み、長い年代に渡り、日本人に愛好されきた。そして、日本独特の伝統発酵食品として、現代にひき継がれている。古来の納豆造りは、煮豆を稲藁で包み

          雪割納豆のあれこれ⑬納豆菌・バチルス ズブチルス、オール山形県産!

          雪割納豆のあれこれ⑫昔ながらの引き割り納豆!

          雪割納豆の製造で、まず一番始めに行うことは、引き割り納豆をつくる事。昔ながらの伝統的な、引き割り納豆造りについてご説明する。まず始めに、丸大豆を焙煎し、引き割って、実と皮を選別し、大豆を半分割った状態にする。皆さんがイメージし易いのは、ビールのおつみの枝豆。枝豆は青々として、鞘の中に表面が皮に覆われた豆がある。その青々とした枝豆を、その時収穫せずに、茶色く枯れた秋頃に収穫すると大豆となる。品種などで大きい物や小さい物に分かれている。豆腐や味噌、醤油、納豆は、秋ごろに収穫した大

          雪割納豆のあれこれ⑫昔ながらの引き割り納豆!

          雪割納豆のあれこれ⑪おにぎりのスーパー具材!

          本日は雪割納豆とおにぎりについて。雪割納豆の食べ方として、私の1番のオススメはおにぎり。雪割納豆は、しょっぱい熟成塩こうじ納豆、お味噌と同じくらいの塩分があるため、おにぎりの具にすると最適なのです。そして、熟成発酵により、大豆がアミノ酸、米糀がブドウ糖に分解されており、体にとっても吸収しやすい状態になっている。雪割納豆には必須アミノ酸(人間の体内で作れない9種類のアミノ酸)と非必須アミノ酸(体内で作ることができる11種類のアミノ酸)の人間に必要な20種類のアミノ酸がすべて含ま

          雪割納豆のあれこれ⑪おにぎりのスーパー具材!

          雪割納豆のあれこれ⑩変わらぬパッケージデザイン!謎なんです

          本日は雪割納豆のパッケージデザインのお話。現在、雪割納豆は8種類の展開になっている。量目・味・糀・企画といった違いがある。すべての商品のベースになっているのが、上記のオレンジ箱(雪割納豆150g)であり、箱のデザインになる。表記で「味付け納豆」を「熟成こうじ納豆」、「みちのく特産」を「山形・米沢特産」、「赤穂の塩」を「おいしい食べ方」に変更した経緯はあるが、68年前から基本デザインは変わらない。ミノボッチ(頭から背中にかけて被る、藁の蓑)と雪靴(藁の長靴)を履いた子供のデザイ

          雪割納豆のあれこれ⑩変わらぬパッケージデザイン!謎なんです

          雪割納豆のあれこれ⑨雪割納豆の米麹って!アスペルギルス・オリゼー

          本日は雪割納豆の主原料である、米糀についてのお話する。昨今、ニュースで紅麹について話題になっている。早速、弊社にも「紅麹製品の使用はありませんか?」といった問い合わせを頂いた。雪割納豆の麹菌は黄麹菌(白もやし)である。黄麹菌は二ホンコウジカビとも言い、日本醸造学会において国菌に認定さている。また、黄麹菌はアスペルギルス属でタンパク質をアミノ酸に、デンプンをブドウ糖に分解する酵素を生産することが大きな特徴である。黄麹菌の学名はアスペルギルス・オリゼーと言い、オリゼーはラテン語で

          雪割納豆のあれこれ⑨雪割納豆の米麹って!アスペルギルス・オリゼー